【#シロクマ文芸部6月④】真保町のポンコツ魔女・最終回
シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。第1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。
上記プラス、おばあさんが読み聞かせをするというスタイルを今年は取ることにしました。そのため、シロクマ文芸部のお題から始まる部分が読み聞かせとなり、その後に会話が続く形で物語が展開します。2025年、12個のお話を上手く完成させられるか、お付き合いいただければ幸いです。
6月の物語1回目はこちら👇
6月の物語2回目はこちら👇
6月の物語3回目はこちら👇
「青い雨……?」
「え?雨?」
「やだ濡れちゃうっ」
観客が慌てて立ち上がった時、小さな男の子が叫ぶ。
「違うよ!花火だ!」
クリクリと輝く瞳に誘われるように、腰を浮かしかけた人々は夜空を見上げる。
パアアア
今までに見たことのない青色が、空と花火を眺める人々を優しく包み込む。青い雨と見間違えるほど、今まで見たことのない青い花火だった。夢のような青は、人々や真保町全体を優しく照らし続ける。
「今年の最後の花火はこれか」
「魔女の花火……」
「さすが真保町最高の魔女!」
手足が生え逃げ出したリドルの涙は、観光客の間をすり抜け、波打ち際にたどり着くと次々に浮かび上がる。
スウウウッ
一定の高さまで上がると涙はキュっと集まりパアアと広がり下へ下へと舞い降りた。いくつもの涙が花火となり、青い雨のように花火大会会場に降り注ぐ。
「今年もいい花火大会だった」
「来年も花火、見に来ようね」
ニコニコとしながら帰っていく観光客をボーっと眺めるリドル・ドリー・エル。
「なにがなんだか……」
呆然とするリドルにドリーがほほ笑む。
「占いは間違ってなかったんだね」
「へ?」
訳が分からない顔のリドルのところに、花火になり損ねた涙がチョロチョロと走り寄る。その涙をそっとエルがすくい上げフッと息を吹きかけた。スウウウと浮かんだ涙は小さな青い花火となり、リドルの前でパアアと花開く。リドルの顔が淡く優しい青に染まった。
「涙が全部花火にならないのがリドルらしいけど、今年の花火大会の占いは間違ってなかったみたいね」
「そう?」
「私達3人で力を合わせれば真保町最高の魔法になるのよ!」
ドリーがパッと手を前に出す。すかさずその上に手を重ねるエル。2人の勢いに押されるようにリドルが手を重ねた。
「これからも最高の魔法のために!」
「リドルのポンコツを全力でサポートします!」
「えええ?」
3人を取り囲むように、残りの涙が浮かび上がる。手をつなぎ輪になった涙はクルクルと回りながらリドル・ドリー・エルを青く照らす。涙の輪は微笑んで見えた。
📚📚📚
「リドルよかったね」
「涙さん優しいね」
最初は、魔女たちの成功の話だったのが、話はだんだんと花火へとうつります。
「おばあちゃん!花火見たい!」
「花火やろう!」
部屋から今にも飛び出しそうな孫達を見て、あらあらと笑うおばあさん。
「夏休みはパパとママと花火大会に行くんでしょ?」
「うん!」
「幼稚園の花火大会で花火もするのよね?」
「うん!」
「だったら……」
おばあさんは、そこでいったん言葉を止めます。
「だったら?」
「花火が楽しめるように、今はしっかり眠って元気でいないと!」
「僕、元気でいる!おやすみなさい!」
弟が慌てて布団に潜り込みました。ずるーいと言いながら姉も布団の中へ。
「いい子いい子。きっと今年も素敵な夏になりますよ」
おばあさんは孫達を愛おしそうに眺めながら、布団をかけ直しました。
(おしまい)
今月も無事1つの物語を完成させられました。
小牧幸助部長、来月も頑張ります!
※こちらのお祭りに参加します👇
#空想地名祭
