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Nidecの品質不正が教えてくれること。問題は人ではなく、構造だった。

はじめに

2026年5月、Nidec(日本電産)で品質不正が発覚しました。

検査データの改ざん、不合格品の出荷。 製造業として、あってはならない問題です。

でも私は、このニュースを聞いた時こう思いました。

「これはNidecだけの話ではない」

製造業の現場で15年以上働いてきた経験から言えることがあります。 同じ構造は、日本中の製造業に存在しています。

今日はその構造を、正直に書きます。


「言い訳できない状況」が不正を生む

品質不正はなぜ起きるのか。

多くの人は「モラルの問題」「担当者の意識の低さ」として片付けます。

でも違います。

「言い訳できない状況」が構造的に作られているからです。

現場の担当者は、最初から不正をしようとしていたわけではありません。

「この数値は基準を外れている」と気づいていた。
「このまま出荷するのはまずい」と感じていた。

でも、こう言えなかった。

「できません」 「問題があります」 「今月の目標は達成できません」

なぜ言えなかったのか。 それが今日の本題です。


カリスマ経営者のプレッシャーと構造の歪み

Nidecといえば、永守重信氏の強烈なリーダーシップで知られています。

「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」

この姿勢が会社を世界的な企業に成長させた原動力です。 これ自体は間違っていません。

問題は、そのプレッシャーが組織の下に伝わっていく過程で起きます。

カリスマ経営者の「できて当然」という基準が、 KPIや目標値として現場に落とされます。

「前年比〇〇%向上」 「不良率〇〇%以下」 「納期遵守率〇〇%」

数字自体は正しい目標です。 でも、その数字を「未達だと言えない空気」が組織に生まれた時、 現場は静かに歪み始めます。


「未達」と言えない組織で起きること

「今月の目標、達成できませんでした」

この一言が言えない組織では、何が起きるか。

現場は3つの選択肢を迫られます。

①本当に目標を達成する これが本来あるべき姿です。でも、無理な目標の前では限界があります。

②問題を隠す 「少しくらいなら大丈夫だろう」という小さな妥協が積み重なります。

③数字を作る データを調整する、検査を省略する、不合格品を合格にする。

②と③が積み重なった時、品質不正という形で表面化します。

これは担当者の「悪意」ではありません。 「言い訳できない構造」の中で、人が選んだ「生き残り策」です。


これは製造業全体の問題だ

Nidecの問題を「大企業だから起きた」と思っている中小企業の経営者がいたとすれば、それは危険です。

同じ構造は、規模に関係なく存在しています。

「社長の前では問題を報告できない」 「目標未達を認めると評価が下がる」 「現場から上に悪い情報が上がってこない」

こういう組織では、品質問題は必ず起きます。 そして起きるまで、経営者は気づきません。

私が製造現場で長く働いてきて、繰り返し見てきた光景です。


構造を変えなければ、再発する

Nidecはこの問題を受けて、再発防止策を打ち出しています。

でも、「言い訳できない構造」が変わらない限り、 再発防止策は機能しません。

なぜなら、再発防止策も「やりました」と報告しなければならないからです。

本当に必要なのは、こういう構造の設計です。

「問題を報告した人間が評価される」構造 問題を隠した人間が責められ、問題を報告した人間が評価される。 この逆転が起きない限り、現場は正直に報告できません。

「未達を正直に言える」構造 目標未達を報告した時に「なぜ未達なのか、次どうするか」を一緒に考える文化。 責める文化では、現場は数字を作り続けます。

「現場から悪い情報が上がる」構造 良い情報だけが経営者に届く組織は、崩壊する前まで問題に気づきません。 悪い情報ほど早く上に届く仕組みが必要です。


最後に

永守氏のリーダーシップはNidecを世界的な企業に育てました。
そのことは間違いなく事実です。

でも、強いリーダーシップは「言い訳できない構造」も同時に生みます。

これはNidecだけの問題ではありません。
強いトップを持つ組織が、必ず直面する構造的な課題です。

あなたの会社では、現場から「できません」という言葉が届いていますか。

その言葉が届いているかどうかが、 5年後の会社の姿を決めます。


YEES FACTORY|治部康臣(やすにぃ) 製造組織の構造改革者

製造業の構造的な課題でお悩みの経営者・社長の方、 まずはお気軽にご相談ください。


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