レポの基本⑧:円債における社債におけるレポ市場と共通担保オペ
例のように、レポの基礎的な内容について記載します。下記を前提としますが、今後必要に応じて加筆・修正します(これまで記載した内容については既に大きく加筆・修正しているので注意してください)。不正確な記述や追加したほうが良い点等があればご指摘ください(随時アップデイトしていきます)。
レポの基本:現先取引と現担レポ取引|服部孝洋(東京大学) (note.com)
レポの基本②:「国債決済期間短縮(T+1)化」と現先の普及|服部孝洋(東京大学) (note.com)
レポの基本③:ターム物のレポ取引|服部孝洋(東京大学) (note.com)
レポの基本④:レポとフェイル|服部孝洋(東京大学) (note.com)
レポの基本⑤:東京レポレート|服部孝洋(東京大学) (note.com)
レポの基本⑥:補完供給オペにおけるレポ取引の事例|服部孝洋(東京大学) (note.com)
レポの基本⑦:フェイル慣行の歴史と現状|服部孝洋(東京大学) (note.com)
ご存じの方も多いかもしれませんが、日本の社債市場にはレポ市場はありません。社債市場だけでなく、地方債や財投機関債のレポ市場も筆者が知る限りありません。
なぜ日本の国債市場にはレポ市場があるのに、社債市場にレポ市場がないのかなどと考えると、そもそも日本の社債市場は米国などに比べて小さいのか、などという新たな疑問が生まれてます。もっといえば、なぜ日本では銀行が強い(間接金融が強いのか)ということまで疑問が発展してしまい、かなり大きな話になってしまいます(このあたりについてさんざん色々な人と議論してきて、一定程度、私にも意見はあるのですが、文献調査などを将来的にRAなどにお願いしようと思っています)。
証券会社を中心に社債市場を盛り上げようという動きは私が新入社員だったころからありました。それは株式の保有を促そうという議論を昔からしており、今でもそれが変わらないのと同じです。株式投資が一定程度進んでいることと同様、社債市場の拡大も一定程度、進んでいることは間違いないのですが、いまだに社債市場が小さいと考えている金融機関の実務家が大部分だとおもいます。
社債のレポ市場についても、日本証券業協会が下記のように頑張っているようですが、なかなか進んでいません。日証協の資料では、第一段階においては、フェールチャージの導入やロール時のネッティング決済が課題とされていて、第二段階として、担保適格性の枠組みの構築やGC取引の導入、第三段階として、清算機関の導入という形で、段階的な導入などが掲げられています。

社債レポ市場の整備に向けた課題対応工程(マイルストーン)について | 日本証券業協会 (jsda.or.jp)
社債のレポ市場がないということは、社債のトレーダーから見る場合、その資金調達をする際に、社債を担保として出して資金調達をすることができないということになります。したがって、筆者の理解では、①資金部などから借り入れるか、②何らかの金融スキームを使って外部から調達する、という大きく分けて2つの方法があります(②については色々な具体的なスキームを知っているのですが、ここでは一般的に記載しておきます)。
以前、共通担保オペについて説明しましたが、共通担保オペも、このファンディングを一定程度度助けるように寄与します。共通担保オペは下記の通り、基本的には2週間などの短いファンディングを助けるオペレーションであり、月2回など、定期的に打っているオペになります。現先オペとは異なり、国債以外も担保に入れられる点が重要な特徴でした(詳細は下記のリンクをご覧ください)。したがって、社債だけでなく、地方債や財投機関債なども担保に入れるということができます。
現先オペに関するメモ|服部孝洋(東京大学) (note.com)
下記が共通担保オペがオファーされたときの事例ですが、2週間の貸し出しであることがわかります。

もっとも、このオペは、社債市場の市場形成という観点で、業者の資金調達を必ずしも常に助けているわけではないという意見もあります。というのも、前述のとおり、2週間のタームで貸し出しますから、社債を在庫として抱えている場合、投資家の売買によってはその在庫が変わる可能性があることから、必ずしも社債を出してファンディングすればいいということにはならないということのようです(担保は変えられるのか、変えられる場合、どうやって担保を変えられるかはちょっと調べられていなくて、分かったらここに追記します)。
ちなみに、米国では社債のレポ市場が存在しています。その背景には、トライパーティ・レポのような仕組みがあることも起因しているようです。米国のレポ市場については下記で私がかなり丁寧に説明したので、こちらを参照してください。
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202203/202203g.pdf
ちょっと今回はこれまでとは違い、違う視点になりましたが、社債市場やそのレポ市場については個人的には関心をもっているため、随時アップデイトします。
