関税がもたらす“痛みの連鎖”|守るための政策が、生む副作用。
「国を守るための関税」が、実は他の国や人々の“痛み”を生んでいる。
アメリカの関税政策をきっかけに、世界に広がる“守りの連鎖”を見つめてみよう。
“守る”と“共に生きる”のあいだにある現実を、やさしく解きほぐします。
この記事は、「まこ式・AIと学ぶ。世界と経済をゆるく読むノート」シリーズの第5話です。
このシリーズは、我が子たちに「世界経済や政治に興味を持ってもらいたい」と思い、母目線で綴っています。
▼前回は、こちら
前回の振り返り:「守るための関税」が生んだ、新しい課題
前回、第4話では、
どうしてトランプ大統領は「高い関税」をかけているのか、
ということを一緒に考えたよね。
ここで、ちょっとだけおさらいをしよう。
トランプ大統領が、諸外国に「高い関税」をかけた理由は、次の2つ。
【理由1】関税をアメリカの財源にする
【理由2】アメリカの国内産業と雇用を守る
この2つは、アメリカという「国を強くするため」に必要な「守り」なんだよね。
そして、「高い関税」の良い面なの。
でも。
「高い関税」って、やっぱり“良いことだけ”じゃない。
トランプ大統領が、アメリカを守ろうとすればするほど、
実は、アメリカ国内でも良くないことが起こる。
さらに、日本はもちろん、諸外国でも悪影響が出ている。
「関税戦争」と呼ばれるほど、国際社会を揺るがす大きな出来事なんだ。
今回は、「高い関税」が引き起こした、負の影響を一緒に考えていこう。
関税の影響①:アメリカ国内の“守りの副作用”
アメリカって、世界経済のリーダーなんだよね。
アメリカのお金「ドル」も強いし、世界中の貿易の中心。
でも、「アメリカを守るための関税」が増えると、実はアメリカの中でも“痛み”が出てくる。
関税の副作用だね。
関税をかけると、海外から入ってくるモノの値段が上がる。
ということは……
アメリカ国内で暮らす人たちは、物価の上昇(インフレ)に直面するんだ。
前回話した、トヨタの車で考えてみよう。

それでも外国企業には大きな負担。
関税はアメリカ政府の財源になります。
車の金額はどっちも100万円だとして。
(※利益などは含まないで考えよう)
トヨタの車(日本から輸入)…115万円
アメリカ国産の車…100万円
という値段だったね。
車の関税は15%だから、
車の値段100万円+関税15万円=115万円
となるよ。
「安い車でOK!」
という人ももちろんいるけれど、
「私はトヨタが大好き。絶対トヨタの車がほしい!」
という人もいる。
ということは、「絶対トヨタ派」の人は、これまで
車の値段100万円+関税2万5000円=102万5000円
だったのが、115万円払って、トヨタの車を買わなくちゃいけない。
その差、12万5000円。
同じ車なのに、とても高くなっている!
これがインフレ。
今回は、車を例にしたけど、トランプ大統領は、車以外にも車の部品、食料、日用品などにも、“高い関税”をかけた。
つまり、アメリカ国内で、いろいろなモノの値段が上がるってこと。
今、日本でもインフレが起きているよね。
君たちはたくさん食べるから食費が上がって、母は大変なんだけど(笑)
アメリカでも同じようなことが起きている。
アメリカという“国を守る”ための政策が、いつの間にか“国民を苦しめる副作用”になっているんだよね。
これが、「高い関税」の負の影響。
関税が生み出す、新しい痛みなんだ。
関税の影響②:日本企業の“見えない痛み”
アメリカが高い関税をかけると、その“痛み”は、アメリカだけじゃなく他の国にも広がっていく。
日本も高い関税の“痛み”を感じているよ。
トヨタを例にして考えてみよう。
トヨタって、アメリカでたくさん車を販売しているんだよね。
ここ最近、その影響もあって業績がとても良かった。
そんな中、車に「高い関税」がかけられるようになった。
これ、トヨタにとっては、大きな出来事なんだ。
さっきも触れたけど、高い関税で車が115万円になると、
アメリカの人たちは「ちょっと高いな」と感じて、トヨタの車は買わなくなる。
すると、トヨタの販売台数は減り、利益も少なくなる。
まあ、そうなるよね。
当たり前といえば、当たり前。
でね。
問題は、その先。
まずは、アメリカにあるトヨタの販売会社や、現地で働く人たちだよね。
車が売れなくなるんだから、給料が減らされたり、仕事が減ってしまうかもしれない。
販売スタッフはもちろん、物流や整備工場で働く人たちも、何かしらの影響を受ける。
そして、日本でも同じようなことが起こる。
日本のトヨタの人はもちろん、部品を作る町工場、輸出に支える運送会社、そこで働く人たちの仕事にも、静かに影響が広がっていくよ。
“アメリカを守るための関税”が、“他の国の働く人の痛み”を生み出す。
これが、いま世界が抱えている現実なんだ。
経済って、国と国だけの問題じゃない。
その先にある人の生活にも繋がっている。
だから、ひとつの国が守るために動くと、どこかの誰かが痛みを感じる。
これが、様々な国を巻き込んだ「痛みの連鎖」。
そして、まさにこれが“世界の分岐点”でもあると、母は思うよ。
まとめ:守り合う世界の、その先へ
関税は、国を守るための手段。
トランプ大統領が「アメリカを守りたい」と思う気持ちも、それ自体は間違いじゃない。
だって、アメリカの財政も、他の国の財政も、今、借金で大変だから。
「それを何とかしたい」
その想いも、わかる気がする。
でも、世界中の国が同じように「守る」ことを始めたら、経済は成り立たなくなってしまうんじゃないかな。
だって、「守る」って、裏を返せば「閉じる」ってこと。
昔、鎖国をしていた日本みたいになっちゃう。
これからの時代、鎖国なんてありえないでしょう?
今は、ネットでつながり、自由に行き来できる時代。
もう、鎖国のような世界には戻れない。
経済も、人の暮らしも、つながりの中で動いている。
どこかで誰かが“守る”たびに、どこかの誰かが“痛み”を感じる。
それでも、私たちは生きていかなくちゃいけない。
生活していかなくちゃいけない。
だからこそ、これからの課題は……
「守る」と「共に生きる」をどう両立させるのかが、課題だね。
元をたどると、
「国の財政が苦しいからなんとかしなくちゃ」
というところから始まっているよね?
国の財政を破綻させるのは避けたい。
じゃあ、どうすればいいの?
高い関税だと、アメリカは守れても、誰かが“痛み”を感じる。
その人たちの生活が立ち行かなくなる。
じゃあ、どうすればいいの?
正直に言うと、母は答えが出ていない。
きっと世界中の誰もが、今、その答えを探している。
なにかいい方法があるといいんだけど……
君たちも、これから高校や大学で学びながら、その方法を探すのもおもしろいと思うよ。
この記事は、「まこ式・AIと学ぶ。世界と経済をゆるく読むノート」シリーズの第5話でした。
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