生ハムを貪る女
私の勤める会社はいくつかの異業種部所を構えているせいか、外部からの見知らぬ人の出入りも思いの外多い。
社屋の上階に割と広めの休憩室フロアがある。
先日の夕方、そこで缶コーヒーを飲みながらひと息座っていると、ひと席空けた右の席に見たことのないご婦人が座った。
ふうーっという大きなため息と同時にドカッと着座したかと思うと、おもむろにワシャワシャ音がするビニール袋から薄い透明パックを取り出し、そのパックをペリペリと開封し始める。
生ハムだった。
ピンク色の薄肉がキレイに重なっているのが見える。
開封し終わると、その生ハムをなんの躊躇いもなく指でつまみムチャムチャと食べ始めたのだ。
休憩時間、空いた小腹を満たすの者は多い。
きのこの山、豆大福、フィナンシェ、濡れ煎餅。
が、生ハムを食べる人は初めて見た。
しかも生指で。
うっそーーん
その明け透けな様子に、見てるこちらがもうワァーオッ、ベイビーカモンッみたいな感じになり、いっその事もうハイタッチでもしてやろうかみたいな気分になって来た。
横目で見ていた私に気づいたのだろう、ムチャムチャしていた彼女は私の方にくりっと顔を向け、咀嚼を一旦止めると、そのパックを私の方に差し出し
食べまふぅ?
と聞いて来た。口内に食物がある時の嫌いな言い様だったが、なんだか意味不明な興奮の塊がみぞおちあたりから迫り出して来る。私はしばらく考えた後、何も答えずその差し出されたパックから4〜5枚の生ハムをベロっとつまみ出し、口に詰め込んだのだ。
ここで目が覚めた。口の中がカラッカラだった。そうよな。こんなことあるわけがない。
翌朝、妻が焼いた朝食のパンがハムトーストだったのは偶然だと思う。
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モッツァレラと一緒に召し上がれ。ありがと。
