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最高の仲間と真剣に1年を過ごしたら、皆に無理と言われた目標を達成した話 ~何をやったか編~

昨日、セルソースの202510月度KPI速報がリリースされました。

この発表の通り、我々が期初に掲げていた「ハイブリッド型整形外科向け・血液由来加工受託サービス 10月1,000件」という目標を達成することが出来ました!!

これはほぼ全ての人から「無理」と言われた目標値でしたが、これをなぜ我々は達成できたのか、自分の備忘録的に綴っていきたいと思います。

今回は「何をやったのか(Doing)」を綴り、次回は「何を心掛けたのか(Being)」をお送りします。

かなり分量多いですが、書けることは全て書いたので、良ければ最後までお読みください。

「自分のすること、しないこと」を決める

まず、COOのアサインメントを受けたときに最初に着手したのは「自分のやらないことを決める」でした。その理由は以下の3つです。

①そもそも営業や事業に携わった経験がない:細田の能力の問題

私は住友商事時代は完全に「M&A・PMI畑」であり、その後セルソースに来てからは2.5年間人事責任者を務めてきました。

「営業」という職域はCOO就任5か月前に営業本部長にアサインされてからの経験だけですし、「事業」なんて何の関係も持ったことはありません。

そんな人間がいきなりCOOになったとて、肩書が勝手に仕事をしてくれる訳もないので、「細田薫個人」がやれることには限界があります。

②非専門領域比率が上がるのは当たり前:そもそもの問題

そもそも一般論として、率いる組織や人の数が増えれば増えるほど、「自分の非専門領域が管掌領域に占める割合」は上がっていくものです。

61人も率いるのだから、「任せることが大半なのは当たり前」と割り切ることが大事だと整理しました。

③1年で結果を出す必要があった:会社・組織の問題

詳細は割愛しますが、セルソース自体、そして私が預かった組織の状態に鑑み、長期的な視点で事業成長させること以上に、「1年で変化と結果を見せる」必要がありました。

一方で、全てを立て直した上で、医療という長期スパンのサイクルを持つ領域において、結果を出すには「ジャスト1年かかる」と見越し、当初より「決算期最終月である10月」を目標に走ることを決めました。

その観点からもより優先順位を明確にして、リソースの投入先を厳選する必要があり、その言語化をまず最優先にしました。

「自分がすること」の六か条

僕がリーダーとしてやると決めたことは、以下の6か条でした。

ここにないことで時間を割いたのは、IR対応や監査法人対応などの「どうしてもやらなければならないこと」であり、それ以外にはほぼ時間を割いていないと思います。

1.心理的安全性の醸成

会社や組織の状態があまり良いといえる状況じゃなかったことに加え、「細田体制になってどうなるんだろう」「細田(さん)ってそもそもどんな人なんだろう」といった、変化に伴う不安は必ず発生すると思いました。

リーダーが必ず実現しなくてはならない状態は「ネガティブな情報や、些細な意見でも、何でも言ってもらえる状態」です。

僕は、Googleの心理的安全性の定義が一番しっくり来ていますが、一言でいえば「リスクを取ってもいい組織なんだ」と思えている、ということです。

心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。

Google Re:Work HPより)

その実現のために取り組んだことは2つでした。

1-①情報の徹底開示

セルソースは秘密主義の会社ではないですが、(その時点で)9年間の歴史のうち、大半の期間がグロース・プライムの上場審査期間であったため、情報の秘匿性をかなり高く設定していました。

一方、心理的安全性醸成の最重要必要条件は「自分に隠されている情報がない」とメンバーが信じられること、だという確信があったので、私の所のGoogle Driveの権限設定、Slackの鍵付き設定などを見直し、インサイダー情報を中心とした機密情報以外は全て公開する形としました。
(その後、これは全社に広がり、今は全ての情報がそうなっています)

1-②週報執筆

「自己開示しない人間には、誰も開示してくれない」ので、私からの積極的な自己開示のために、毎週月曜日・朝8時に「週報」を流すことにしました。

内容は毎週違っていて、その週末に読んだ本の話を書く時もあれば、直近の意思決定の解説をする時もあります。時事ネタに対する僕の意見を出す時もあり、本当に千差万別です。

スタンプ以外の反応があるわけではないので、「みんな読んでるのかなー」と思っていましたが、僕の360度評価の「Good」で一番多かったのは、まさかの週報でした。

情報と自分自身をまず徹底的に開示することで、一定の心理的安全性を作れたと思います。

2.コミュニケーションの質の向上

人間が集まって働く以上、「コミュニケーション」の問題からは逃げることが出来ません。その質量の程度によって、同じ能力を持ったメンバーが集まったとしても、成果は大きく変わってきます。

2-①「どこに行けば、何の情報がある」という確信を持ってもらう

コミュニケーションで一番無駄だなと私が思うのは「前に聞いたことや、過去に出た結論を再度聞く」ことです。また、その前の「どこにあるか探す」時間も信じられないくらい無駄です。

情報は大きく分けて「フロー情報」と「ストック情報」に分かれます。セルソースはフロー情報はSlack、ストック情報はNotion(資料格納はGoogle Drive)に入れているので、SlackとNotionのチャンネルやページの見直し、そして運用ガイドラインの徹底をしました。

特に混乱するのがFlow情報です。ですが、Slackのチャンネルが常にMECEになっていれば、「どこのチャンネルでやり取りされた内容か」で迷子になったりしないので、ここはどれだけ手間であっても、見直す時は一から見直すことをお勧めします。

なお、セルソースのSlackガイドラインは2022年に作って以降、ほぼ不自由なく、手直しなしでここまで来ています。参考にされた会社さんも複数伺っていますので、よかったらご覧ください。

2-②社内合言葉の醸成

リクルートに関する解説動画を見ていた時に、「社内の人しかわからない社内用語がめちゃくちゃある」のを聞いて、「これだ!」と思いました。

社内合言葉のメリットは二つあります。一つは「その言葉だけで、コンテクストとメッセージが両方同時に伝わり、コミュニケーションのミスが起きづらくなり、伝わる速度は上がること」。もう一つは「一体感の醸成」です。

キャッチ―なキーフレーズを考えるのは好きなので、色々な言葉を作り、それをとにかく繰り返しました。例えば、「勝負顧客」「現行犯逮捕」など。

「勝負顧客」と聞いただけで、メンバーたちは「どんな顧客の話をしているのか」が分かります。とにかく「ズレない」ことが一番大事です。

また、今回立てた無謀な目標であった「10月1,000件」も、語呂を優先して立てました。900件でもとても高い目標だったのですが、響かないなと。

「10月1,000件!」がとても言いやすかったので、とにかくこれを呪文のように永久に繰り返し、スタンプも作って「当たり前」にしました。メンバーは否定すると思いますが、僕は「10月900件」だったら、達成していないと思っています。

2-③グリスを挿し続ける

人間や組織自体も、また外部環境も日々変化していくので、一旦「良い状態」が出来上がったとしても、放っておいたらすぐに状態は崩れていきます。

全体としては上手くいっていても、とあるプロジェクトではA組織とB組織がうまくいってない、とか、ある日からCさんとDさんが険悪になったとか、普通に起こりますよね。

そういう些細なことに気を配り、そこに対してすぐに手を入れ、時には現行犯逮捕する(後述)。この「きめ細やかさ」を発揮するのが、組織を横断的に統括する者に求められる真骨頂ではないでしょうか。

僕はプライベートはかなり大雑把ですが、こと「組織運営」に関してはとてもきめ細かい人間なのが、一つの成功要因だったかもしれません。

3.フィードバックサイクルを回す

僕は「フィードバックサイクルが回っているかどうか」がその組織の趨勢を決定づけると信じているので、メンバー同士のフィードバックの状態にはかなり気を配っています。

「フィードバックする/される」のは、ヒトにとってとても嫌なことなので、61人全員が完璧にできたとは思いませんが、これらをやったことで、かなりサイクルが回ったと思っています。

3-①"現行犯逮捕"

上記でも触れたキーフレーズですが、私が年間で一番繰り返した言葉かもしれません。

「逮捕」というと何やら聞こえが悪いですが、「フィードバックは、その場その時その人に」を意味しています。フィードバックで一番の悪手は「寝かすこと」なので、それが起きないようにフレーズ化したものです。

そして、フィードバックは「Good/More/Bad」に分類することを義務付けました。

「フィードバックしていい組織なんだ」と皆が思うには、まずそれを使ったフレーズを作り、リーダーが誰よりも"現行犯逮捕"することが一番だと思い、行ったものです。

3-②"more/badだけフィードバック面談"

とはいえ、「全員がCOOに何でも言える」状態にすぐに持っていける訳もない一方、色んな取り組みを始めた&私自身がかなり特殊な人間なので(涙)、皆の本音は出来る限り吸収しないと、簡単に道を誤ります。

そこで、半期が終わったタイミングで、私にだけ「more/badだけフィードバック面談」をやってもらいました。

これは、普段私と直接仕事をすることの無い/少ないメンバーにお願いして、私に「More(改善してほしいこと)」「Bad(やめてほしいこと)」だけ、つまりGood禁止のフィードバック面談をしてもらいました。

想定外なmore/badを色々いただき、大分落ち込みましたが、自分の成長につながったと同時に、目詰まりの起こしやすい所(to COO)にグリスを挿し、円滑なフィードバックサイクルの実現にも貢献したと思っています。

4.徹底的な言語化

4-①「Why」と「WBS」をとにかく考えさせる

「営業マンの直感」というと、なんかカッコいいですが、僕の経験上、その大半は「ただ言語化が不十分なだけ」です。

私は「サイエンスとアートのバランス」は重要だと思っていますし、「放置するとアートはサイエンスに駆逐される」という山口周さんの意見にも強く賛同します。だからといって、ただの手抜きを「アート」として認めるわけにはいきません

自律的に動ける組織は、皆が「Why」を考え、答えを持っている組織だと思っていてるので、会話するときに、常に「Why」を考えてもらう癖をとにかくつけてもらいました

「?」と思ったら、すぐに「それはなぜですか?」と聞かれるので、メンバーはウザかったと思いますが、最終的には私が言わなくても皆が考えてくれるようになりました。

それと同時に「WBS(Work Breakdown Structure)」も常に考えてもらいました。つまり、

Aというゴールを設定し、まずはBをやります。Bをやるのは、Cという次のステップを見越したもので、うまくいけば、D, E, Fの手順を想定しています。Bをやってみた結果、思うとおりに行かなかったら、そこでゴールを再設定し、WBSを組みなおします

というような説明が常に出来るようになることをゴールに設定し、全員とコミュニケーションを図った結果、「なんとなく」の量が減り、最後に残った「それでも、なんとなく」は"アート"として各人を信用し、任せることで対応できるようになりました。

4-②常に「Why」を話す

その前提条件として「自分が話すときは、完璧に言語化する」ことがあります。

戦略や戦術を話すとき、目標を設定するとき、、、考え尽くした側はもうそれが「当たり前」になっているので、理由・背景である「Why」の説明が雑になっていたり、場合によっては抜けていることがあります。

ですが、上流の話の「Why」が分からなければ、そこからつながる動きに「Why」を考えろ、というのは不可能な話です。

自分が何かを発信するときに「本当にこのWhyで伝わるのか」ということを意識しながら発信することで、「Whyのあるコミュニケーションサイクル」が回るようになります。

5.有事の際は、誰よりも速く、前を走る

ここまでは平時の話ですが、これは有事の話です。有事とは主に「トラブル」か「想定外の外部環境の変化」です。

トラブルは「対外トラブル」と「対内トラブル」に、想定外の外部環境の変化は、「ルールの変化」と「競争環境の変化」に大きく分けられます。

いずれのケースにおいても、まず動き、それを見せることが大事です。「あ、リーダーが動いてくれているんだ」と思うことで安心感がまず生まれますし、部署間・メンバー間の連携を指示できるのはリーダーだけなので、課題解決のスピードが変わります。

言い換えると、「有事の際に前を走らないリーダー」はその瞬間に信頼を失うと思っています。

それまでどれだけ素晴らしいパフォーマンスをして信頼を積み重ねていても、「あれ、こういう時に矢面に立たないの?」「あれ、こういう時にオタオタしちゃうの?」と思われたら、平時も不安になってしまいます。

僕は、有事はリーダーにとってのチャンスでしかないと思っており、「ここが腕の見せ所」と考え、一心不乱に前を走りました。

おわりに:勇気があれば、なんでもできる。気がする

ここまで書いたこと、そしてここに書けない僕が導入した戦略や戦術は、古典を中心とした先人の知恵を借りながら、自分で考え、自分で「やる」と決めたことでした。

経験のないことばかりでしたので、最初は不安で仕方なかったですが、勇気を振り絞って、まずは若干サイコパス的に自分の道を信じて動いてみました。

そうしたら、上手くいっても行かなくても「反応」や「結果」が出てくるので、それに合わせて調整していけばよいことに気が付きました。

つまり、「始める勇気」と「変える勇気」さえあれば、あとはどうにでもなるなと。

勿論、自分で必死に考えた末のものであるからこそ、というのもありますが、結局はこれに尽きるなと。

勇気を持った上で、どんな行動規範を設定して動いたか、については次回のnoteに譲りたいと思います。

大分長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。

細田 薫


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