50代。介護の限界は、救急搬送のずっと前から始まっている
みなさんこんにちは。いつも私のnoteを読んでくださり、ありがとうございます😄
お知らせがあります。
今回から、文章に添える音声も少しずつ残していくことにしました。
初回の音声は、6月21日からSpotifyでチャレンジします。
この記事の最後にリンクを置きます。
よかったら、文章を読み終えたあとに聴いてみてください。
今日の文章も、そんな「声に残しておきたいこと」のひとつです。
「まだ大丈夫」
家族は、よくそう言う。
本人もそう言う。
そして私たち医療者も、ときどきその言葉に救われたふりをする。
でも救急の現場にいると、分かることがある。
限界は、搬送された瞬間に始まるわけではない。
もっと前から始まっている。
コップに水を注ぎ足し続けるようなものだ。
あふれる直前まで、周りからはただのコップに見える。
でも中では、もう余白がない。
ニュースの向こうにある家族の沈黙
私はこの記事を、事件や制度の話としてだけ読めなかった。
そこに見えたのは、家族の沈黙だった。
「どうしたいか」を話す前に、「もう無理だ」とも言えない家族がいる。
「助けて」と言う前に、「私がやらなきゃ」と抱え込む人がいる。
ACP、つまり人生会議は、本人の希望を確認するためだけのものではない。
家族が壊れる前に、何を話しておくか。
そこまで含めて、ACPだ。
救急搬送の前に、家族は何度も迷っている
救急外来に来る人の背景には、いつも生活がある。
急な病気。
転倒。
脱水。
認知症の悪化。
介護者の疲れ。
それらはバラバラに見えるが、現場ではひとつにつながって見える。
家の中で、何度も小さな判断があったはずだ。
受診するか。
介護サービスを増やすか。
施設を考えるか。
親にどう切り出すか。
そのたびに、家族は迷う。
迷うのは、冷たいからではない。
愛しているから迷うこともある。
完璧に愛せないから迷うこともある。
人間の家族は、そんなにきれいにできていない。
完璧に愛せない自分を責めすぎない
私は、家族を完璧に愛せる人間ではない。
そう言うと冷たく聞こえるかもしれない。
でも、そこを認めないと始まらない。
家族だから何でもできる。
家族だから最後まで見るべきだ。
その言葉は、時に人を追い詰める。
正論という名のメスで、相手を切り刻むことがある。
介護も看取りも、気持ちだけでは続かない。
睡眠がいる。
お金がいる。
距離がいる。
誰かに任せる勇気もいる。
ACPで話すべきなのは、延命するかどうかだけではない。
「誰が、どこまで、どんな形なら関われるのか」
ここを話すことだ。
家族ができる小さな対話
大きな会議はいらない。
最初は、台所の会話でいい。
「最近、病院に行くのしんどくない?」
「もし動けなくなったら、家がいい?病院がいい?」
「私ひとりでは全部できないかもしれない」
この一言が、家族を救うことがある。
霧の中でランプを灯すようなものだ。
遠くまでは見えない。
でも、足元だけは見える。
ACPは、正解を決める作業ではない。
足元を照らす作業だ。
介護の限界は、救急搬送のずっと前から始まっている
私はそう感じている。
だから、ニュースを読んで終わりにしたくない。
制度の話だけにもしたくない。
家族の現実として考えたい。
話せない家族がいる。
逃げたい自分がいる。
それでも、少しだけ言葉にする。
それが、人生会議の入り口だ。
私にできることを、ここから探したい
私は、ACPをこれからの自分の軸にしたい。
ただ、専門用語を増やしたいわけではない。
救急搬送の前にあった沈黙を、少しでも早く言葉に戻す仕事がしたい。
家族が壊れてから「どうしますか」と聞くのでは遅い。
壊れる前に、「何がしんどいですか」と聞ける人でいたい。
そのために、私にできることは何だろうか。
まだ答えは出ていない。
でも、問い続けることはできる。
あなたなら、どうするだろうか
あなたは、親と何を話せていないだろうか。
そして、何なら今日、一言だけ話せるだろうか。
全部を決めなくていい。
一枚の紙に、思いついた言葉を三つ書くだけでもいい。
作業台に部品を並べるように、家族の不安をいったん外に出す。
そこからしか、次の対話は始まらない。
あなたなら、最初に誰と何を話すだろうか。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
この文章に添えるように、音声でも少し話しました。
文章では整えきれなかった気持ちや、働き方について考えたことを、声のまま残しています。
よかったら、こちらも聴いてみてください。
参考にした記事・資料
私は普段、こんなことをしています。⤵︎
自己紹介も、今後、音声を入れてリニューアルしたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いします。
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