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[JP] Ep.4|体か、顔か

From My Closet To You
~ファッションと心を綴る、創作エッセイ~

*この作品は大人向けです。ストーリーの一部に官能的な描写が含まれています。


1. 私が知らない、私

ある夏の日。外では蝉が鳴いている。私はイメージコンサルタントのサロンにいた。誕生日が近づき、自分への贈り物として「骨格診断」と「顔タイプ診断」を受けていた。担当の女性が丁寧に結果を伝える。「骨格タイプはナチュラル、顔タイプはフェミニンです」、続けて「スタイリッシュな骨格と、女性らしいお顔立ちで、華やかさがあります」と微笑んだ。「え?」私は思わず眉をひそめた。自分の話のはず。―でも、それって、誰?―

2. 私が知っている、私
サロンを出て、カフェに入った。アイスティーを飲みながら、考える。「スタイリッシュ」も「女性らしい」も、人から言われたことはない。自分で感じたこともない。私は…厚みのある体つきで、顔はボーイッシュ。華やかというより、クールな印象。だから、かっこいいものが似合うし、辛いスタイルが好き。でも、それはどうして?いつから、そう思っていたのだろう?窓から差し込む日差しが眩しくて、目を閉じた。記憶が巡っていく―

3. 体と、男Ⅰ
遠い秋の日。もう冬が目前で、寒さが深まってきた。彼とは、飲み会で知り合った。その場では、ほとんど会話をしなかった。背は私より少し高いくらい。髭が印象に残る、無骨な顔立ち。会が終わり、全員と別れたあとに、連絡があって誘われた。「次の休み、ごはん行こう」端的でストレートな言い方が、良かった。彼は言う。「細くないのが良い。ギャップあるじゃん。ツンとしてるのにさ」―褒めながら相手を嗤う。それが彼の品定め。

4. 体と、男Ⅱ
彼の家。古びたアパートの1階。ドアの手前にバイクが停まっている。広めの1K。玄関のすぐ横がキッチンで、その奥に部屋。「寒いよな、入って」暖房をつけながら、彼が言う。私は頷いて、部屋に入り、ソファへ座った。彼が隣に来て、腰を引き寄せる。目が合った瞬間、唇を重ねられた。熱が、熱を覆って混じり合う―強く、弱く。吐息が漏れる。耳元で彼がささやいた。「マジで嬉しい。正直、思ってたよりも。すごい良いじゃんか」

5. 顔と、男Ⅰ
遠い春の日。まだ冬が残りつつも、寒さが和らいできた。彼とは、ある講座で知り合った。大勢の人がいる中、声をかけられた。背がとても高い。少し幼さのある、整った顔立ち。帰宅後に、連絡があって誘われた。「なぁ今度、映画行かへん?」耳に残る関西弁が新鮮で、良かった。彼は言う。「明るくてかわいいって感じやない。中性的で、陰のある雰囲気っていうか。その顔が好みやねん」―褒めながら目利きを誇る。それが彼の品定め。

6. 顔と、男Ⅱ
ホテル。小綺麗な建物の中層階。内廊下に観葉植物が飾られている。部屋は広くない。ダブルベッドと、窓際にデスクとテレビ。「それなりに綺麗やない?」ジャケットを脱ぎながら、彼が言う。私はベッドの端に腰を下ろし、相づちを打った。見上げると、彼の顔が近づいてきた。唇が重なり合う。熱と熱が、ゆっくり混じり合っていく―弱く、強く。吐息が漏れる。上から彼の声が聞こえた。「もっと顔見せーや。ほんま、それがええねん」

7. 創ってきた、私
カフェの空調の冷たさで、我に返る。今は懐かしい昔の出来事―「私たち」は何を見ていたんだろう。彼らは、私を見抜いているつもりだったに違いない。でもそれが、私の無意識によって創り出された「私という虚像」だったなら…見抜いていたのは誰?見せたかったのは何?私は、気づかぬままに私を創り、彼らを通して、その姿に悦んでいたのかもしれない。けれど、それは歪んだ鏡に映るモノを見るのと同じ―私はまだ、私を知らない。

8. 創っていく、私
カフェを出て、買い物に行く。店には秋物の服が並んでいた。アイボリーのブラウスが目に留まる。ハイネックの首元からまっすぐ縦に入ったフリル。シンプルだけど、今まで選んでこなかった甘さを感じた。まだ「女性らしい」に慣れていないから、スラックスを合わせて「スタイリッシュ」に。その時、思った。私の良さは、体か、顔か―どちらも“NO”だ。私の全部が、良い!店を出ると、夏の熱気に包まれた―今日が、新しい誕生日―


Fin (Ep.4 体か、顔か)

© Hilda Tutu. All rights reserved.


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Ep.4 制作後記 –Hilda's Voice–
[Reel] Ep.4 作品紹介
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―フリルブラウスの着方―

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