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社長室とティーラウンジと、占い師になるかもしれない私の話(占い師になったきっかけ2)

占いなんて、ずっと他人ごとだった。星占いのコーナーをちらっと見て、「へぇ」って思うくらいで、深く踏み込む気はなかった。

でも、人の心のなかにあるものって、不思議なきっかけで動き出すんだなと思う。

しかも、思ってもみなかった“占い”というテーマが、自分の未来の扉をトントンとノックしてくるなんて。

前回は、IT企業にて新人教育を担当することになり、プログラミング教育の一環として「占いプログラム」を新人たちに作る課題を与えた話を書いた。

プログラミングの初歩として、簡単な占いプログラムを組んでもらう予定だったのが、あれよあれよと言う間に本格的な開発になってしまった話だ・・・

あの時、まだ私は「自分が占い師になるかもしれない」なんて、これっぽっちも思っていなかった。

今回はその続き。
占いがきっかけで、少しずつ、私の人生の流れも変わりはじめた頃の話。


最初の感想メールは、まさかのあの人から

プログラム完成の翌日、私は緊張しながら、社内の全員にメールを送った。「この新人たちが作りました」という紹介とともに、占いツールのURLを添えて。

感想なんてもらえるかわからなかったし、みんな目の前の仕事で忙しかったから、正直「スルーされるかな」と思っていた。

でも送信後、1時間も経たないうちに、いちばん最初に返信をくれたのは、まさかのあの人だった。

50代のガンコな総務部長。やたら細かいことに厳しくて、申請書類に少しでも不備があればネチネチ言いながら突き返してくる人。
「あの部長が笑ったの見たことない」なんて噂もあった。

これ絶対怒られるやつじゃん・・・と、
どういう言い訳をしようか考えながら、どきどきしながらメールを開いたら、そこにあったのは、

「この占いプログラム、めっちゃ面白い!」

という、信じられない一言。

予想外すぎて、手が止まった。

その後も、続々とメールの返信が届いた。
さすが技術の会社なだけあって、テクニカルな細かいコメントもあったけど、それも含めて好意的だった。「技術的にちゃんと評価してもらえてるんだ」と思えたのが、何よりうれしかった。

返信メールは全部プリントアウトして、ホッチキスでとめて、新人たちに一人ひとり配った。デスクの上に並んだその束は、ちょっとした卒業証書のようで。

「これは、私からの最後のプレゼントです」

そう言って渡したときの、あの子たちの顔。ちょっと照れたような、でもうれしそうな表情が忘れられない。もう言葉なんていらなかった。


「俺、この会社入ってよかったです」

研修の最終日。全体のまとめをして、荷物を片づけて、ひとり静かに会社を出ようとしていたら——

「みんなで飲みに行きます!」と新人たちの明るい声。

そのままビルを出ようとした私に、後ろから声が飛んできた。

「ひなたさんも一緒にどうですか?」

振り返ると、Kくんが、ちょっと照れたような顔で立っていた。
あのKくんが、めんどくさい研修担当だった私を誘ってくれた。

会社の近くの魚民に入って、みんなで乾杯して、ちょっとだけ真面目な話になったとき、彼がふとこぼした。

「俺、この会社入ってよかったです」

言葉の一つひとつが、胸に染みた。泣いてる子もいた。笑いながら泣いてる子もいた。

「プログラム作るのって、こんなに楽しいんですね」って言った子の声も、きっと一生忘れない。

あの時間は、私にとってもひとつの答えだった。間違ってなかった、って。

ちなみに、そんなKくんとは、のちに私に「noteやったらいいのに」と言ってくれたケンボーである。↓


あのプログラムは、名刺代わりになった

新人たちが各部署に配属されてしばらく経った頃、思いがけずうれしい報告が届いた。

営業チームの先輩が、あるお客さんとの打ち合わせのとき、ふと例の占いプログラムを紹介したという。

「これ、新人研修でうちの新人たちが作ったんです」

って話したら、その場がパッと明るくなって、客先で人が集まってきて大盛りあがりになり、商談にプラスになったとのこと。

その後も、「これ、配属初日に自己紹介代わりに見せました」なんて報告がちらほら届いた。お堅い印象だった子が、占いの話で場をなごませてくれたとか。

名刺を持つより前に、自分たちが作ったもので心をつなぐ。そんな使い方をしてくれるなんて、思ってもみなかった。

プログラムを作ったのは研修カリキュラムの一つだったけれど、ちゃんと“あとに残る何か”になってくれていた。


社長室に呼ばれる、という謎イベント

そんなある日。いつも通りの昼休み、ふいに上司から声をかけられた。

「昼休み終わったら、社長室行ってきて」

え? 社長室?

内心、「え、なんかやらかした……?」と冷や汗。社長室なんて、入社以来、一度も足を踏み入れたことがない場所だった。

そして、なぜか新人のタカコ(例の“占い大好き女子”)も一緒に呼ばれていた。

ふたりで社長室のドアを開けると、そこにいたのは、社長と奥さま。

優しい笑顔で、「研修おつかれさま」って言ってくれた瞬間、すっと肩の力が抜けた。

奥さまは、なんと新人たちが作った占いプログラムの大ファンらしく、

「どんなふうに作ったのか、聞きたくて」

と言ってくださった。

タカコと一緒に、開発の話や、なぜこんなテーマにしたのか、どうやってメッセージを考えたか……思いつくかぎりのことを語った。

奥さまは、興味深そうにウンウンと聞いてくださり、
その様子を社長がニコニコしながら見守っていたのが印象的だった。


奥さまと、占い師と、ティーラウンジで

数日後、奥さまから「ぜひケーキでも食べながら、お茶でもしましょう」とお誘いがあり、とあるホテルのティーラウンジへ向かった。

案内された席には、奥さま、そしてもうひとり——落ち着いた雰囲気の女性がいた。

初めまして、と挨拶をして驚いた。

社長夫人の“顧問占い師”だという。

野球部顧問とか、顧問弁護士というのは聞いたことがあったけれど「顧問占い師」という言葉を聞いたのは初めてだ。

定期的に——奥さまは3ヶ月に1度、社長は年に1度、鑑定してもらっているとのこと。あまり公言していないけれど、社長は会社のことについて相談もしているらしい。

プロの占い師が目の前にいる。初対面だけど、たぶん凄腕だろう。
私たちが作った「素人占い」に何か言われるかもしれない——そんな緊張感が、一気に走る。

でも、その方はふわっとした笑顔を浮かべながら、私たちの話にじっと耳を傾けてくれた。 うなずきながら、あたたかい声でこう言った。

「占いから導かれることは、時代とともに変わっていくものです。だから、あなたたちが周囲の人の幸せを願ってメッセージを綴ったことは、占いの“正しい進化”と言えるでしょう」

「未来は、自分でつくるもの。占い師はそのお手伝いをするだけです。未来を決めつけるような断定は、かえってその人の可能性を閉ざしてしまいます」

予想していた反応とは、まるで違った。胸の奥にふわりと光が差したようだった。“怒られるかもしれない”って、あんなに身構えていた自分が、なんだかおかしく思えてきた。

もしかしたら私たちがやっていたことは、思っていた以上に、ちゃんと“誰かに届くもの”だったのかもしれない。


「あなたは占い師の星を持っている」

ケーキをいただきながら、ぽつぽつと会話が続いていたとき、ふいにその占い師さんが、じっと私の顔を見て言った。

「あなた、占い師の星を持ってるわ」

え、私? タカコじゃなくて?

正直、そのときの私はポカンとしていた。

でもそのあとも、

「なるかどうかはあなた次第。でも、あなたにしかできない占いがある」
「近いうちに、導く人が現れるはずよ」

って続けて言われて——

心の奥の方が、なぜか、ざわっとした。

自分には関係ないと思っていた「占い師」という存在が、急に、すぐそこに来たような感じ。

タカコが笑いながら言った。

「じゃあ私、ひなたさんのお客さん第一号になる!!」

彼女の声が、背中をちょっと押してくれた気がした。

その日、ホテルのティーラウンジで、私は、はじめて思った。

「俺、もしかしたら占い師になるかもしれない」

って。

ほんの少しだけ、未来の景色をのぞいた気がした。

タカコはすぐに、次の行動を提案してきた。

「占い師になるなら、まずはリサーチも兼ねて占いを受けに行きましょう!」

——ということで、次回はタカコと出かけた、人生初の“ガチ占い体験”について書いてみようと思います。

(次回へつづきます)↓

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