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採用フローをAIエージェントで改善する④実行編|学生へのメールも説明会資料もAIと回す

「学生への返信、また溜まってきた」

「説明会の資料、今年も1から作り直しか」

選考が動き出すと、採用担当の1日は「手を動かす仕事」で溶けていきます。


私は元採用担当です。

いまは人事の実務にAIエージェントを持ち込む実験を続けています。


AIエージェントとは、対話型のAIにファイルの読み込みや作業の実行まで任せられるようにしたものです。

チャットAIと何が違うのかは、この記事に詳しく書きました。


前回の③計画編では、年間スケジュールを組んで、複数の学年が同時に走るスケジュールを1枚にまとめました。

今回はその計画を回す実行のフェーズです。


やることは1つ。

手を動かす仕事のかたまりをAIに渡す。


結果を先に書きます。

学生への返信メールと会社説明会の資料。2つを実演しました。

採用担当のころ、私はメール1通の返信に30分かけたことがあります。

その仕事が、下書きまでならAIの定型仕事になりました。


この記事でわかること:

  • 学生対応メールをAIの下書き仕事にする方法(そのまま使える1枚のメモ付き)

  • 会社説明会の資料をAIと作る実演

  • 媒体のページ設定と採用ページは、いまどこまで任せられるか(現在地の話)


返信と資料づくりに1日が溶けている方は、ぜひ最後までお読みください。


このシリーズで目指すゴール

採用の実務は、大きく5つのフェーズで回ります。

①分析編で集計を30分に縮め、②戦略編で予算配分を決め、③計画編で年間スケジュールを組みました。


今回は4つ目の実行です。

シリーズで一番、手を動かす量が多いフェーズです。


実行フェーズの重さの正体|3つのかたまり

実行フェーズが重いのは、種類の違う作業が同時に来るからです。


分けると、3つのかたまりになります。

1つ目は、学生対応のメール。件数が多く、待ったなしです。

2つ目は、説明会や選考の資料。作り直しが多い。

3つ目は、媒体と採用ページ。掲載画面の設定や原稿の更新が、地味に面倒です。


私が採用担当だったころに多かったのは、日程調整と条件面の質問でした。

年間休日、初任給、残業時間。

売り手市場の学生からすれば、まず条件で企業を絞りたい。当然の行動です。


説明会が始まると、そこに履歴書や成績証明書の回収と催促が重なります。

メールは、ただ返せばいい仕事ではありません。


定型文のままだと「事務的な会社」に見える。

感情を乗せすぎても崩れる。

1通に30分かけていたのは、このバランスのためです。


③で組んだスケジュールの1月から6月は、この3つが全部同時に走ります。


【実演1】学生対応メールをAIの下書き仕事にする

まずは、学生対応のメールから片づけます。

用意したのは「学生返信アシスタント」という1枚のメモです。


全文を置いておきます。そのまま使えます。

# 学生返信アシスタント(メール下書き係)

## 役割
- 学生対応メールの下書きを作る係。下書きまでが仕事。送信はしない

## 会社情報(自社に合わせて書き換える)
- 社名・採用担当名・説明会の形式・選考フロー

## トーンの決まり
- 敬語は崩さない。ただし硬くしすぎない(人事の顔が見える文に)
- 結論から書く。学生に2度読ませない
- 締めは「ご不明な点があれば、お気軽にご連絡ください」
- 学生を待たせない(24時間以内の返信が目標)

## 文体調整のルール
- 学生のメールの丁寧さに合わせて、こちらは一段だけ丁寧に返す
- 不慣れな文面でも指摘しない。用件だけ受け取る

## 定型パターン
1. 日程変更の依頼:お礼→変更可→代替日を提示
2. 質問への回答:結論から→補足は1つまで
3. 選考辞退:引き留めない→お礼→今後を応援する一文で締める

## 守ること(安全装置)
- わからない日付・条件は絶対に埋めない(【カレンダー確認】のように残す)
- 下書きには毎回「※送信前に必ず内容をご確認ください」を付ける

30分かけて悩んでいた「事務的すぎず、崩れすぎない」のバランスをルールとして言葉にしました。


1回書けば、この先の全メールに効きます。


使い方は簡単です。

私はClaude Codeを使っていますが、メモを読める対話型のAI(ChatGPTなど)なら同じことができます。

チャットの最初にメモの全文を貼り、続けて学生のメールを貼るだけです。


今回は模擬の学生メールを3通渡しました。

日程変更の依頼、オンライン参加の質問、選考辞退の連絡。


AIの下書きで面白かった2点

返ってきた下書きで、面白かった点が2つあります。

1つ目は、日程変更への返信です。

AIは代替日を書きませんでした。

【カレンダー確認のうえ、代替日を2〜3件記載】と、わからない箇所を空けたまま返してきました。

メモの安全装置が効いた形です。


③計画編でスケジュールの叩き台を作ったときと同じで、AIは知らないことを知らないままにできる設計が大事です。


2つ目は、辞退への返信です。

引き留めず、理由も聞かず、お礼と応援で締めていました。

採用担当なら、これが正解だとわかるはずです。


定型で返せるメールは、体感で5〜7割あります。

残りは人間の出番です。

就活相談のような、自分の言葉で答えたいメールは、スマホの音声入力で話してAIに整えてもらう手があります。


発展も1つ。

メモに自社の条件表(年間休日・初任給・残業時間)を足せば、あの条件面の質問にも下書きで答えられるようになります。


線引きははっきりしています。

下書きまでがAI。送信ボタンは、必ず人間


【実演2】会社説明会の資料をAIと作る


次は、説明会の資料です。

私は当時、パワポで1から作っていました。

毎年の手間は、条件面の数字の差し替えです。

売上高や基本給を財務や総務に聞いて、更新する。

地味ですが、間違えられない作業でした。


今回は、シリーズでモデルにしている架空の中堅IT企業「HITO Inc」(150名・新卒8名採用)の説明資料をAIと作りました。

骨子と体裁は数分で出ます。


表紙、会社概要、仕事内容、若手のキャリア、募集要項と選考フロー。

そこから画像生成AIに引き渡して、説明会でそのまま映せる5枚に仕上げました。

※スライドはすべてAIの実出力です(模擬会社・内容は架空)。


注目してほしいのは、資料の中の点線の枠です。

社員の写真、現場の言葉、先輩の実例。

「自社らしさ」は、人間が埋める場所として最初から空けてあります。

資料の会社らしさは、結局は社員と製品の写真に出ます。


数字で言えば、学生が見ているのは売上高ではありません。

基本給、残業時間、平均勤続年数。

条件で絞る学生に、条件を正面から見せる。募集要項のページが効く理由です。


修正はチャットで「このページはもっと具体的に」と返すだけ。

学生の反応を見ながら、資料を育てられます。


媒体のページ設定と採用ページ|画面操作の現在地

最後は、媒体と採用ページ。画面を操作する仕事です。

ここは実演でなく、現在地の整理です。


私が採用実務をやっていたときのナビ媒体の管理画面は、正直、初見殺しでした。

どのボタンを押して、どのタブを開いたら、掲載ページのどこに原稿が載るのか。

その対応関係を覚えるのに、2〜3年かかりました。
今は改善されているかもしれません。


ここにAIエージェントの新しい現在地があります。

Claude CodeやCodexなどのAIエージェントは、画面を読んで操作することができます。

ナビ媒体の画面をAIエージェントが自分で読んで、入力が必要な箇所を割り出して原稿を埋めてくれます。


私はこのnoteの入稿(タイトル・本文・画像の配置)をAIエージェントに任せています。

人間が覚えていた「どの欄がどこに出るか」は、AIが毎回画面を読んで処理します。


運用の線はナビ媒体と同じです。
操作画面のURLをAIエージェントに渡せば、自動で入稿してくれます。


採用ページの改修は、外注からAI内製へ

もう1つが、採用ページの改修です。

外注すれば、制作費で数十万から100万円ほどが消えます。

保守費も毎月かかります。


②戦略編で「自社ページの改修はAIで内製する」と決めたのは、この外注費を打ち手に回すためでした。


放っておけない理由が、もう1つあります。

優秀な学生ほど、応募の前に会社のホームページを見ます。

情報が古いままだと「そういう会社」だと思われる。

私自身、転職活動でホームページの古い会社への応募をやめた経験があります。

ページの鮮度は、学生から見た足切り基準です。

AIで内製すれば、直したいときに直せます。


手順をMDファイル(AIへの指示メモ)に残せば、担当が替わっても引き継げます。

MDファイルの正体と作り方は、この記事に詳しく書きました。

外注費が、社内の資産に変わります。


AIに任せること、人間がやること

今回AIに任せたのは、返信の下書きと資料の叩き台。そして普段から、画面操作の代行も任せています。

人間に残ったのは、送信ボタン、資料の「自社らしさ」、そして学生と向き合う時間です。

①から③と、同じ線引きです。

実行編は、その線が一番はっきり見えるフェーズだと思います。



①分析編にこう書きました。

AIが事務処理を回している間に、人間は足で稼ぎに行く。

返信と資料づくりから浮いた時間の使い道は、決まっています。

学校訪問。学生との面談。会って話す時間です。

AIは優秀な部下です。それでも、自分は思考をやめない。


まとめ|今日の1つ

今回の持ち帰りは4つです。

  • 実行フェーズの重さは、種類の違う「手を動かす仕事」が3つ同時に来るから

  • 返信のトーンとパターンを1枚のメモにすれば、メールの5〜7割はAIの下書き仕事になる

  • 資料も採用ページも、叩き台はAI。「自社らしさ」と確定は人間

  • note入稿のような画面操作の代行は、もう実務水準。ただし確定ボタンは人間が押す


今日の1つは「定型メールを1種類、AIに渡してみる」


手順は3ステップです。

  1. 直近1週間でいちばん多く返した定型メールを1種類選ぶ

  2. 返信のパターンと会社のトーンをメモ1枚に書く

  3. 次に来たメールで、AIに下書きを頼む(メモを先に貼ってから。送信前チェックは自分で)


1つ注意を。

学生の個人情報をAIに渡すときは氏名などを伏せて、会社の生成AI利用ルールを確認してください。

残業と戦っている間にも、AIはどんどん進化しています。
面倒な事務処理、いつまで人間がやりますか?


次回予告

最終回、第5回は「改善と報告編」です。

1年の採用活動を数字で振り返り、役員に報告する。

ここまでのAIとのやりとりに溜まったデータが、そのまま武器になります。

シリーズ、締めくくります。


HITO|現役人事×AI実運用

元採用担当。人事・事務の実務にAIエージェントを持ち込む実験を発信しています。

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