「絵を描く・物を造る」拡張MI理論に含まれる「絵画造形的知性」の驚くべき隠れた驚異性!
今日もご訪問頂きありがとうございます。
今日は「絵画造形」についてです。先日も、空間認知能について「note」で扱ったところ、コメントを頂きました。空間認知能は「絵画」の分野でも重要な位置づけがされています。絵画造形については、人の持つ知性の総合体であると言えるほどの高次な知性です。今日はその点を纏めて書かせて頂きます。
ハワード・ガードナーのMI理論は8つですが、後期には自然科学的知性・存在的知性など、複数の発展的枠組みを示唆しています。
一方で、幼少期〜児童期において可視化されやすい知性は、ガードナーの8つだけでは不十分で、学習・認知心理学の観点から整理し直す必要があります。
そこで、以下のように、この時期の成長発達に鑑み、12の知性に拡張しました。
①言語学的知性 ②論理数学的知性 ③空間的知性 ④時間的知性
⑤自然科学的知性 ⑥対人的知性 ⑦社会的知性 ⑧内省的知性
⑨感情的知性 ⑩音楽リズム的知性 ⑪身体運動的知性
⑫絵画造形的知性
・「空間」「時間」「社会」「感情」など、発達心理学で独立性の高い認知
領域を別次元として扱っていること
・「手先の巧緻性」を含む身体操作能力を、身体運動知性とは別に細かく見
る視点があること
・美術(絵画造形)を“単なる表現”ではなく“独立した知性”として扱っている
こと
この観点は、21世紀教育心理学で求められている拡張MI理論と一致している内容になります。
▢絵画造形的知性の本質:この知性は「複合的な脳機能の統合体」
絵画造形的知性は、単なる“絵の上手さ”ではありません。実際には、次のような 5つの巨大領域を統合するメタ知性 です。
① 視覚情報処理能力(視覚の知性)
形の弁別、色彩認知、パターン認知、視覚的注意
これは脳の後頭葉・側頭葉の高度な処理です。特に幼少期に発達が急伸するのは「形の弁別(shape discrimination)」と「色のカテゴリー化」で、これらは言語発達や空間認知とも深く関わります。
② 再現性・模写能力(Working Memory × 精密運動)
視覚記憶(短期記憶と長期記憶)
位置関係の保持
手の微細運動(fine motor)
絵を描くとは、「見えたもの(または頭の中の像)を記憶し、それを手で再現する」という高度な行為です。これは 視覚ワーキングメモリ+運動の協調性 という、発達神経科学でも難易度の高い能力です。
③ 数学的構造の理解(数学的遠近・縮尺)
・遠近法、縮小・拡大、位置関係の比例保全
これらは本質的に “数学的思考” です。幼児が絵を描く際に
・人物の大きさバランス
・背景との位置関係
・奥行き表現
を自然に調整していく過程そのものが、数学的空間認知と同じ脳回路を使っています。
④ 感情の表出・象徴化能力(情緒の知性)
絵画造形的知性の最大の特徴は、「内面(情緒・思考)を外側に象徴化する能力」です。
・心の動きを色で表す
・経験を形にする
・観察した事象を理想化・変形する
これは言語化より早く現れる“前言語的コミュニケーション”で、発達心理学では極めて重要です。
⑤ 想像力・創造性(創造的知能)
「絵を描く」とは、“見える世界”と“見えない世界”を行き来する行為です。
・記憶 → 変容
・現実 → 抽象化
・具体 → 構造化
この能力は「創造性(Creativity)」の中心であり、将来の問題解決能力と密接に関わります。
3. 絵画造形的知性の「隠れた驚異性」と拡張領域
実は、この知性にはまだ教育が掘り起こしていない“巨大な宝庫”があります。
◆ 驚異性①:脳の統合能力の高さ
絵画造形は、「視覚×空間×数学×運動×情緒×創造」 という、教育で最も複雑な総合能力を要求します。
これはピアジェやヴィゴツキーも十分に分析しきれなかった領域になります。
◆ 驚異性②:読み書き(言語知性)の発達を促進
美術教育が
・文字の形の記憶
・線の制御
・視覚認知の精度
を高めることは、最新の認知神経科学でも証明されています。つまり
絵画造形知性を伸ばす → 国語力の土台が上がると言うことを指示しています。
◆ 驚異性③:数学力の土台
遠近感・対象の比率・形の構造化は、図形・算数・幾何的思考の基盤
になります。幼児期の造形活動が、算数の成績に強く影響する研究もあります。
◆ 驚異性④:情緒安定とメンタルヘルス
色彩・形・描画による表現は、
・ストレス軽減
・不安の緩和
・自己統合
を促すため、心理療法では“アートセラピー”が用いられます。絵画造形知性は、心の健康知性と深くつながっているのです。
如何でしょうか、私たちは学校で何気なく美術などを学んでいますが、その背景にはこれほどの内容が内包されています。こうして見ていくと、学校で取り上げている教科は、全てが、認知心理学の12に分類された知性であることがわかります。人の成長に欠かせないこれらの知性、美術であれ、運動であれ、それぞれに秀でた人は、算数や国語、英語と同等かそれ以上の能力の持ち主であることがわかります。
また次の機会に、他の知性についてご説明させて頂きます。今日は、頂いたコメントから、まだ、お話をしていなかった内容について書かせて頂きました。最後までお読みいただき有難うございます。
最後に
日々の実践の中で、学びの原点をあらためて問い直す必要を強く感じ、私の50年の教育観を次の世代へ継承する場として、石川教育研究所(イエリ) の公式noteを開設しました。“ことば”を起点に、これからの教育をどう立て直すのか──。その考えと取り組みを発信しながら、共に学び、未来を育ててくださる仲間と歩んでいければ幸いです。
noteはじめました。
イエリ流学問のすゝめ
イエリメソッドとは?
石川教育研究所オフィシャルnote
