【Log.3-01】七不思議の幽霊が、俺たちの恋路を応援してくるんだが
怪異の正体は、だいたい「愛」でした。
変人オカルトマニア先輩 × 巻き込まれ体質の後輩。 距離感バグり気味の二人が送る、怖くない怪奇BLコメディ!
【怪奇同好会シリーズ3弾】BLコメディ×オカルト/ 全5話完結
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第1章:文化祭の準備は「憑かれ」の始まり
「文化祭。それは青春の1ページであり、リア充たちの祭典である」
1年B組の教室。段ボールとペンキの匂いが充満する中、俺こと悠斗(ゆうと)は、死んだ魚のような目でクラスの黒板を見つめていた。
黒板に書かれた出し物のタイトルは――『恐怖! 旧校舎の呪われた迷宮』。
「なんでうちのクラス、お化け屋敷なんだよ……」
「仕方ないだろう。お前があの『海神の祠の儀式』や『呪いの手錠事件』で有名になりすぎたからな。クラスの連中も『悠斗がいれば本物の心霊現象が起きるんじゃね?』と期待しているわけだ」
「……」
俺の隣で、我が物顔でペンキを塗っている男がいる。
3年生の真白(ましろ)先輩だ。
今日も無駄に顔が良い。そして当然のように、1年の教室に常駐している。
「先輩。なんでここにいるんですか。3年の出し物はどうしたんですか」
「3年は『執事喫茶』だ。俺が執事をやると、ご主人様(客)に対して『悪霊が憑いていますね、塩を撒きましょう』と接客してしまいそうだから、出禁になった」
「でしょうね!」
「それに、俺の最優先事項は悠斗、お前の護衛だ。前回の『手錠事件』で学んだだろう? お前は霊に好かれやすい。文化祭の浮かれた気に当てられて、また変なものが寄ってくるかもしれん」
先輩はもっともらしいことを言いながら、手にした刷毛(はけ)で段ボールに『呪』という文字を達筆に書き殴っている。
……悔しいが、否定できない。
あの手錠の一件以来、俺と先輩の距離感はバグったままだ。手錠は外れたのに、先輩は隙あらば俺のパーソナルスペースに侵入してくるし、俺もそれを完全に拒絶できなくなっている。
「で、悠斗。お前の役割はなんだ?」
「……『旧校舎の事前点検』と『脅かし役の配置決め』です」
「ほう! いわゆるロケハンだな。よし、行こう」
「え、ついてくる気ですか?」
「当たり前だ。旧校舎といえば『学園の七不思議』の巣窟だぞ? お前一人で行かせたら、神隠しに遭って文化祭当日に『展示物A』として発見されるのがオチだ」
先輩は爽やかに笑い、俺の手を引いた。
その自然な動作に、クラスの女子たちが「尊い……」「今日も夫婦だわ……」とささやいているのが聞こえる。
俺は赤面をごまかすように、乱暴に立ち上がった。
「わ、分かりましたよ! さっさと済ませて帰りますからね!」
こうして俺たちは、放課後の旧校舎へと足を踏み入れることになった。 まさかそこで、生きた人間よりも厄介な連中に絡まれることになるとは知らずに。
(続く)
▼怪奇同好会シリーズ第一弾はこちら
因習村の生贄に選ばれたんだが〜相手が変人先輩(男)な件〜
