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【悲報】弟子が暴君なんだが辞表が出せない【時空BBS:哲学板】

ここは時空の掲示板です。次元の壁を越えて書き込み自由。荒らしは雷に打たれます。

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 【相談】セネカ、限界

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1 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
相談がある。
私の弟子が皇帝になった。
最初の五年は良かったのだ。善政を敷き、元老院とも協調し、私の助言にも耳を傾けた。
だが最近、母親を殺し、妻を殺し、歌手になると言い出した。
辞めたい。しかし辞表を出すと死ぬ。

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2 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
権力者の側にいるからだろう。

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3 :ソクラテス ◆【問答の人】
セネカよ、問おう。
「善政を敷いていた弟子」と「母を殺した弟子」は同一人物か?
だとすれば、変わったのは弟子か、それとも権力か?

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4 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
>>3
両方だ。
権力が弟子を変えたのか、弟子の本性が権力で露わになったのか。
どちらにせよ、隣で見ていた私の助言に意味はあったのか。

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5 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
他人を変えることは我々の権内にない。
あなた自身がそう書いたはずだが。

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6 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
>>5
書いた。書いたのだ。
書いたことと、目の前でそれが起きることは別の苦しさがある。

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7 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
で、財産はいくらある。

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8 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
……三億セステルティウスほどだ。

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9 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
ローマで五番目くらいに金持ちの哲学者が「清貧が大事」と書いてるわけだ。

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10 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
私は奴隷だった頃から同じことを言っている。
財産はなかった。今もない。

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11 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
>>9
>>10
富を持つこととそれに執着することは別だ。
私は富の中にあっても心は自由だと——

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12 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
三億持ってる人間のセリフとしては最高に面白い。

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13 :ソクラテス ◆【問答の人】
セネカよ、もうひとつ問おう。
その三億は、誰からもらった?

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14 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
…………。

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15 :ソクラテス ◆【問答の人】
沈黙も答えだ。

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 【参戦】アリストテレス、弟子の話で呼ばれた気がした

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16 :アリストテレス ◆【万学の祖/アレクサンドロスの師】
弟子が暴走する師匠のスレッドがあると聞いて来た。
私の弟子は世界を征服した。途中から手紙を無視された。

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17 :ソクラテス ◆【問答の人】
アリストテレスよ、問おう。
征服は「善き統治」のために必要だったか?

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18 :アリストテレス ◆【万学の祖/アレクサンドロスの師】
>>17
いや。
私はポリスの規模で政治を構想した。世界帝国は想定の外だ。
弟子のほうが先に行ってしまった。
学問的には非常に困る。

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19 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
>>16
あなたの弟子は少なくとも征服という偉業を成した。
私の弟子は歌のコンクールに出ている。
そして審査員は全員が満点をつけている。自発的に。

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20 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
審査員は賢明だ。権内のことを正しく判断している。

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21 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
それはストア哲学じゃなくて保身だろ。

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22 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
>>21
区別がつかないのがローマの美しいところだ。

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23 :アリストテレス ◆【万学の祖/アレクサンドロスの師】
セネカに聞きたいのだが、弟子の教育において何を重視した?
私の場合はホメロスを読ませた。あとは動植物の観察。
自然への畏敬があれば暴走は防げると考えていた。
結果的には防げなかったのだが、理論としては正しいはずだ。

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24 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
理論としては正しいが結果的には防げなかった。
ここに全部書いてある。

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25 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
>>23
ストア哲学の基礎を教えた。情念の制御、理性による判断、公共のための徳。
弟子は十六歳で即位し、五年間はそれを実践した。
五年だ。
五年は短いか?

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26 :ソクラテス ◆【問答の人】
五年、善い統治者であった。
では問おう。その五年は、弟子の徳か、師の管理か。

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27 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
…………それを考えると眠れなくなる。

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 【炎上】セネカ著『人生の短さについて』が引用される

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28 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
ところでセネカ、お前の著作を読んだ。
「権力者に仕える者は自分の時間を生きていない」と書いてあるな。

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29 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
>>28
待ってくれ。

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30 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
「多忙な人間は生きているのではなく、ただ存在しているだけだ」とも書いてある。

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31 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
それは理想を述べたものであって、現実の私の状況とは——

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32 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
「理想を述べただけ」。三億セステルティウスの哲学者の新しい名言が出たぞ。

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33 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
同じストア派として言わせてもらう。
あなたの著作は素晴らしい。文章は美しく、論理は明晰だ。
だが読むたびに「これを書いた人間はネロの隣にいる」と思うと、複雑な気持ちになる。

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34 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
>>33
……知っている。私が一番知っている。

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35 :ソクラテス ◆【問答の人】
セネカよ。
お前は著作で「死を恐れるな」と書いたな?

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36 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
書いた。

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37 :ソクラテス ◆【問答の人】
では辞表を出せない理由は何だ?

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38 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
…………。
…………。
返す言葉がない。

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39 :アリストテレス ◆【万学の祖/アレクサンドロスの師】
フォローするわけではないが、書くことと実践することの間には距離がある。
私も「中庸が大事」と書きながら、アレクサンドロスの遠征を止められなかった。
師とは無力な職業だ。

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40 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
俺は弟子を取らなかった。正解だった。

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 【急展開】セネカ、ネロから伝言が来る

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41 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
すまない、少し離れる。弟子から呼び出しが来た。

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42 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
気をつけて。

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43 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
…………。
「気をつけて」がこれほど重い文脈も珍しいな。

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44 :アリストテレス ◆【万学の祖/アレクサンドロスの師】
私もアレクサンドロスが東征から帰らなかった時、似た沈黙があった。
手紙が届かなくなる。
そして次に届く知らせは、いつも遅すぎる。

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45 :ソクラテス ◆【問答の人】
私は弟子に殺されたわけではない。
だがアルキビアデスが裏切った時、アテナイ市民は私を見た。
「あの男の師匠」として。

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46 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
師は弟子の行動に責任を負うのか。
ストア哲学では、他人の行動は権外だ。
だが世間はそう見ない。

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47 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
世間の評価も権外だ。気にするな。

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48 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
>>47
珍しくまともなことを言う。

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49 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
樽の中は思考がクリアになるんだ。

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(十五分経過)

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50 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
戻った。
弟子は新しい宮殿を建てると言っていた。黄金の天井にするらしい。
ローマの大火で焼けた区画の跡地に。

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51 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
…………。

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52 :ソクラテス ◆【問答の人】
火事の原因は。

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53 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
公式には不明だ。
不明だ。

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54 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
二回言った。

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55 :アリストテレス ◆【万学の祖/アレクサンドロスの師】
二回言う必要があったのだろう。

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 【結末】セネカ、最後の書き込み

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56 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
諸君に報告がある。
弟子に財産の返上を申し出た。三億セステルティウス、全額。
弟子は断った。「先生にはそのままでいてほしい」と。
……断られると、かえって怖い。

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57 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
金を返そうとしたのか。
少し見直した。

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58 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
受け取らなかったのは、返されると困るからだ。
「清貧の哲学者」がいなくなると、体制の飾りが一つ減る。

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59 :ソクラテス ◆【問答の人】
セネカよ。最後に問う。
お前はこの先、どうする。

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60 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
書く。
私にできることは、書くことだけだ。
矛盾していると笑われても構わない。
権力の隣にいた人間が、それでも理性と徳について書き残す。
後の人間が読んで、「こいつは矛盾だらけだ」と思うだろう。
それでいい。
矛盾の中でもがいた記録がなければ、哲学は教科書の中だけのものになる。

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61 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
……。
まあ、悪くない覚悟だ。

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62 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
あなたの『道徳書簡集』は、私の主人が持っていた。
奴隷の私はそれを盗み読みした。
矛盾だらけの金持ちが書いた言葉で、鎖に繋がれた人間が自由になった。
それは事実だ。

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63 :セネカ ◆【ストア派/ネロの家庭教師】
>>62
……ありがとう。
今日いちばん、ストア派らしくない反応をしている自覚はある。

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64 :ソクラテス ◆【問答の人】
ストア派らしくない反応ができるなら、まだ人間だ。
大丈夫だろう。

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65 :アリストテレス ◆【万学の祖/アレクサンドロスの師】
セネカよ、一つだけ。
弟子の暴走を止められなかった師匠は、歴史に何人もいる。
私も、ソクラテスも。
それでも我々の学問は残った。
お前の文章も残る。弟子の黄金の宮殿より長く。

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66 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
俺の樽は残ってないけどな。

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67 :エピクテトス ◆【ストア派/元奴隷】
樽の精神は残っている。それで十分だろう。

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68 :ディオゲネス ◆【犬儒派/樽暮らし】
……柄にもなくいいことを言われた。
帰る。

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哲学ノート(元ネタ解説)

セネカ(紀元前4年頃〜紀元65年)
ローマ帝国のストア派哲学者にして、暴君ネロの家庭教師・政治顧問。「ネロの善政期」と呼ばれる治世初期の五年間(クィンクエンニウム・ネロニス)を支えたとされる。晩年、ネロの猜疑心が増す中、引退と財産返上を申し出るも拒否され、最終的にピソの陰謀への関与を疑われて自死を命じられた。

セネカの矛盾
「清貧と徳を説きながらローマ屈指の富豪」という矛盾は古代から批判されてきた。同時代人ディオン・カッシウスは三億セステルティウスの資産を記録している。セネカ自身も著作で「富を持つことと富に支配されることは違う」と弁明しているが、この弁明自体がさらなる批判を招いた。ただし彼の著作群——『道徳書簡集』『人生の短さについて』『怒りについて』——はストア哲学の最も読みやすい入門書として二千年間読み継がれている。

エピクテトスとセネカの関係
エピクテトス(紀元50年頃〜135年頃)はネロの秘書官エパフロディトスの奴隷だった。つまりセネカとは同時代、しかも同じ宮廷圏にいた可能性がある。奴隷の身でストア哲学を学び、解放後に自ら学校を開いた。エピクテトスの哲学は「権内・権外の区別」を核とし、セネカの著作からの影響も指摘されている。

アリストテレスとアレクサンドロス
アリストテレスはマケドニアの王子アレクサンドロスの家庭教師を務めた。ホメロスの注釈本を贈ったとされる。しかしアレクサンドロスの東方遠征が進むにつれ、ギリシャ的な「ポリス(都市国家)」の枠組みで政治を構想していたアリストテレスとの知的距離は広がった。

ソクラテスとアルキビアデス
ソクラテスの弟子アルキビアデスはアテナイの名門出身の政治家・将軍で、師の教えに反して奢侈と裏切りの人生を送った。ペロポネソス戦争中にアテナイ・スパルタ・ペルシャの間を渡り歩き、ソクラテス裁判ではソクラテスの「弟子教育の失敗」として引き合いに出された。

ディオゲネスの樽
犬儒派(キュニコス派)のディオゲネスは大きな甕(ピトス)に住んでいたとされる。一切の所有物と社会的地位を放棄し、アレクサンドロス大王に「日光を遮るからどいてくれ」と言い放った逸話で知られる。

ネロの黄金宮殿
紀元64年のローマ大火の後、ネロは焼け跡に巨大な宮殿「ドムス・アウレア(黄金宮殿)」を建設した。大火がネロの放火だったかどうかは現在も定説がない。

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