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【座談会】初めて納豆を見た外国人の会【時空BBS:食文化板】

ここは時空の掲示板です。次元の壁を越えて書き込み自由。荒らしは雷に打たれます。

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 【発端】DAY 1: Japanese fermented beans
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1:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
今、日本のホテルで朝食撮影中
スタッフが「これがNATTOです、健康にいいです」と笑顔で出してきた
パックを開けた

beansが、糸を引いている

これは正常な状態か?
誰か日本人いる?

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2:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
パックの中で、豆が、互いに繋がっている
箸で持ち上げると、糸が、伸びる

伸びる、伸びる、まだ伸びる

これは食品か?

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3:ペリー ◆【十九世紀の海軍提督】
我輩もまた、同じ光景を見た
浦賀にて、応接の膳に出されたものである

我輩は通訳に問うた——「これは生きておるのか」と
通訳は答えた——「いいえ」と
我輩は重ねて問うた——「では、なぜ動くのか」と

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4:ペリー ◆【十九世紀の海軍提督】
通訳は答えなかった
答えられなかったのか、答えたくなかったのか
今となっては分からぬ

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5:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
時空を超えて同志がいた

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6:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
何を騒いでおられるのかと思えば、納豆ではないか
普通の朝飯だがな

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7:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
普通!?
朝、これを、毎日、食べている?

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8:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
毎朝食ってる
祖父の代からそうだ
飯にかけて、ネギ刻んで、辛子つけて、醤油たらす
うまい

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9:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
祖父の代から……
何代続いている?

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10:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
さあ、千年は超えてんじゃねえか

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11:ペリー ◆【十九世紀の海軍提督】
千年

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 【起源】馬の飼い葉から始まった説
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12:八幡太郎義家 ◆【平安末期の武将】
余の名が出ておるな
納豆の起源を語る場では、よく余の話が出る

奥州征伐の折、戦陣で馬の飼い葉を煮ていた
煮た大豆を藁の苞に詰め、馬の背に積んで運んだ

数日後、苞を開けた

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13:八幡太郎義家 ◆【平安末期の武将】
中で、豆が、糸を引いていた

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14:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
歴史の始まりが今と同じ反応で笑う

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15:八幡太郎義家 ◆【平安末期の武将】
余の家臣どもは大いに困惑した
腐ったものと判じ、捨てようとした者もある

されど、戦陣に食を捨てる余裕はない
誰かが、口に入れた

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16:八幡太郎義家 ◆【平安末期の武将】
うまかった、と申した

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17:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
そいつが偉い

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18:八幡太郎義家 ◆【平安末期の武将】
名は伝わっておらぬ
ただ、その者が口にした豆を、皆が真似て口にし、皆が「うまい」と申した

それが、伝わっておる起源の一つである

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19:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
ただ、ご存じか
納豆の起源は、それだけじゃねえ

弥生の時代、もう人は豆を発酵させて食ってた跡がある
義家公の話より、ずっと古い

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20:八幡太郎義家 ◆【平安末期の武将】
……そうなのか

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21:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
ええ
藁苞の中で大豆が発酵するのは、自然現象だからな
人類は、何度も、別々の場所で、同じものを発見しちまうんだ

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22:ペリー ◆【十九世紀の海軍提督】
複数の地点で、独立に、糸を引く豆が発見された
そして、発見した者全員が、これを食すことを選んだ

人類とは、いったい何者か

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 【拒絶側の主張】ペリーの日記より
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23:ペリー ◆【十九世紀の海軍提督】
我輩の航海日誌から、当該箇所を引用する

「卓上に小鉢が置かれた
 中身は、煮豆の腐敗したもののように見える
 強烈な悪臭が立ち上る
 日本人の通訳は、これを当然のように口に運んだ
 我輩は、礼儀として一口を試みた」

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24:ペリー ◆【十九世紀の海軍提督】
記述はそこで終わっている
その先を書けなかったのか、書きたくなかったのかは、後世の判断に委ねる

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25:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
俺もそろそろ、その先を書けない側になりそう

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26:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
食ってみたか?

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27:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
今から食う
カメラ回ってる

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28:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
辛子は入れたか
ネギは刻んだか
醤油はたらしたか
よくかき混ぜたか

これを全部やってから食え
そのまま食うやつは、納豆を分かっとらん

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29:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
混ぜると、糸が、増える

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30:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
そうだ、増やせ
百回混ぜろ

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31:ペリー ◆【十九世紀の海軍提督】
増やすことが、推奨されている

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 【帰依者の論理】慣れると美味い
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32:ハーン ◆【明治の文筆家】
失礼、議論に加わってよろしいか
私は西洋に生まれ、日本に骨を埋めた者である
納豆については、一家言ある

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33:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
西洋出身で、日本に骨を埋めた人
この場で最も信頼できる証言者

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34:ハーン ◆【明治の文筆家】
最初に納豆を口にした時、私もまた、書こうとして書けなかった一人である
匂い、糸、見た目——西洋人が「食物」と認識するための条件を、ことごとく裏切る

しかし、二週間後

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35:ハーン ◆【明治の文筆家】
朝食に納豆が出されないと、物足りなく感じている自分がいた

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36:八幡太郎義家 ◆【平安末期の武将】
それである
余の家臣どもも、最初は嫌がった
されど、十日も経たぬうちに、皆が当然のように口にしておった

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37:ハーン ◆【明治の文筆家】
人の味覚は、先入観で曇る
「腐敗」と「発酵」の境界は、化学的にではなく、文化的に引かれている

チーズを思い起こされたい
あれもまた、乳が腐ったものである
されど、ヨーロッパ人はこれを誇りとし、食さぬ民を「未開」と見なした時代すらあった

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38:ペリー ◆【十九世紀の海軍提督】
ハーン氏、卿の論は美しいが、苦しい

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39:ハーン ◆【明治の文筆家】
苦しくともよい
事実だからである

ブルーチーズの青カビと、納豆の白い菌膜
ザワークラウトの酸味と、納豆の鼻を突く香り
本質は同じ——微生物に食を任せた、人類の知恵である

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 【科学】ナットウキナーゼと菌の話
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40:ハーン ◆【明治の文筆家】
後世の科学が明らかにしたところによれば
納豆の中で働いている微生物には名がある
バチルス・スブティリス、その中の納豆菌と呼ばれる系統である

藁の中に常在しており、煮た大豆と出会うと、そこで爆発的に増殖する

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41:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
ほう
俺たちが食ってたのは、菌だったのか

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42:ハーン ◆【明治の文筆家】
菌そのものではなく、菌が大豆を分解した結果の産物である
そしてその過程で、ある酵素が生まれる

血液中の血栓を溶かす働きを持つ酵素である

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43:ペリー ◆【十九世紀の海軍提督】
血栓を溶かす

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44:ハーン ◆【明治の文筆家】
さよう
心臓発作・脳梗塞の原因となるものを、朝食の豆が、わずかながら溶かしているのである

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45:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
待って
俺、糸を引く腐った豆だと思って撮影してたものが、健康食品だった?

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46:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
最初からそう言ってる

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47:八幡太郎義家 ◆【平安末期の武将】
余の家臣どもが、戦陣で病に倒れる者が少なかったのも
あれを食しておったゆえやも知れぬ

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48:ハーン ◆【明治の文筆家】
歴史の偶然が、人類の健康を支えた可能性がある
馬の背の藁苞、それが医学の前史かもしれぬ

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 【乱入】水戸の御老公
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49:光圀 ◆ミツクニ【水戸の御老公】
おそかったか

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50:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
御老公

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51:光圀 ◆ミツクニ【水戸の御老公】
儂の領地の話が出ておると聞き、馳せ参じた
納豆の議論なれば、水戸の者が黙っておるわけにはまいらぬ

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52:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
誰だこの人

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53:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
水戸=納豆の本場、その殿様だ
納豆のことになると、人が変わる

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54:光圀 ◆ミツクニ【水戸の御老公】
よいか、そこの異邦人よ
納豆を食さずして日本を語るなかれ
納豆を食して初めて、日本の朝が分かる

食え
今、食え
迷うな

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55:ペリー ◆【十九世紀の海軍提督】
我輩の浦賀での経験を思い出す
日本人は、こちらの躊躇を許さぬ

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56:光圀 ◆ミツクニ【水戸の御老公】
躊躇する者には、躊躇する隙を与えぬ
それが、もてなしというものである

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57:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
分かった、食う
今、食う

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58:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
…………

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59:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
どうだ

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60:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
正直に言う

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61:名無し◆【海外フードチャレンジャー】
おかわりください

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62:光圀 ◆ミツクニ【水戸の御老公】
よし

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63:水戸の久兵衛 ◆【江戸時代の農民】
言ったろう、うまいって

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64:八幡太郎義家 ◆【平安末期の武将】
余の家臣の最初の一人と、同じ顔をしておる

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65:ペリー ◆【十九世紀の海軍提督】
我輩もまた、書けなかった日誌の続きを、今ここに書こう

「——うまかった」

それだけである

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66:ハーン ◆【明治の文筆家】
全員が同じ場所に辿り着いた
時代も国も違うのに

これが、食というものである

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このスレッドはアーカイブされました

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 食文化ノート ── 納豆をめぐる史実
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■ 八幡太郎義家(源義家)起源説
平安末期の武将・源義家(1039-1106)が後三年の役(1083-1087)で奥州遠征中、馬の飼い葉用に煮ていた大豆を藁苞に詰めて運んだところ発酵し、糸引き納豆ができた——という伝承。秋田・茨城など東日本各地に類話が残るが、史料的裏付けは弱く「起源伝説の一つ」という位置づけ。

■ 弥生時代からの発酵大豆
納豆そのものの直接的な考古学的証拠は乏しいが、弥生時代には大豆栽培が行われており、大豆を発酵させた食品は世界各地で独立に発達した(中国の豆豉、インドネシアのテンペ、韓国の清麹醤など)。納豆も「藁の中で大豆が発酵する」という自然現象から、複数の時代・地域で再発見されてきた可能性が高い。

■ 水戸納豆と徳川光圀
水戸が納豆の名産地として知られるようになったのは江戸〜明治期。ただし、水戸黄門こと徳川光圀(1628-1701)自身が納豆を特に振興したという史実は確認されておらず、「水戸=納豆」のイメージは明治以降に確立した。本作の光圀は「水戸文化を象徴するキャラクター」として登場させた。

■ ペリーと日本食
マシュー・ペリー(1794-1858)は1853年と1854年に来日し、日本側の応接で日本料理を供された。ペリー艦隊の従軍記録には日本食についての記述があるが、納豆を出されたという確実な記録は本作の創作。ただし当時の応接の場で発酵食品(味噌・醤油・漬物)が並んだことは確実で、西洋人が初めて出会う発酵臭への驚きは普遍的な経験として記録に残る。

■ ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)
ハーン(1850-1904)はギリシャ生まれの文筆家。1890年に来日し、日本に帰化。日本文化を西洋に紹介する数多くの著作を残した。納豆に関する直接的な記述は確認されていないが、彼が「西洋人として日本の食文化を内側から記述した代表者」であることは事実。

■ 納豆菌(Bacillus subtilis natto)
納豆をつくる微生物は枯草菌(Bacillus subtilis)の一系統で、自然界では稲わらに常在する。煮た大豆と出会うと急速に増殖し、大豆タンパクを分解しながらネバネバの糸(γ-ポリグルタミン酸)を生成する。

■ ナットウキナーゼ
納豆に含まれる酵素で、1980年代に須見洋行博士が発見。試験管レベルでは血栓(フィブリン)を溶解する作用を持つ。経口摂取での有効性については議論が続いているが、納豆の健康効果を語る上で重要な発見として知られる。

■ 「腐敗」と「発酵」
化学的には、微生物が有機物を分解するプロセスに本質的な違いはない。人間にとって有益・美味しい結果を「発酵」、有害・不快な結果を「腐敗」と呼び分けているにすぎない。同じ大豆でも、納豆菌が働けば納豆になり、別の腐敗菌が優勢になれば食べられない。境界は文化的・生物学的にきわめて繊細。

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