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女戦士の恋|キノコで深酒スピンオフ

──ここは、街の片隅にひっそりと佇む老舗BAR、オシャンティ。

私はバーテンダーのジェイコブ。

夜の静けさは、まるで古いレコードの針が落ちる瞬間のように、
ゆっくりと店を包み込んでいきます。

いつも通りの夜。
いつも通りのカウンター。

……とはいえ、今日は少しだけ、いつもと違う気配がありました。

扉が静かに開き、 カラン……カラン……と音が響きます。

入ってこられたのは、白いブラウスに黒のジャケットを纏った女性。 視線は鋭く、しかしどこか疲れたような―― 白石さんです。

仕事帰りの戦士のようなその姿は、 店の空気をほんの少しだけ張りつめさせます。

白石さんが席に着き、 ふぅ……と小さく息を吐いた、その時。

再び、扉が開きました。

カラン……カラン……。

映画Tシャツの悠真君。 
ネルシャツをジーンズにタックインした高橋君。
 ふわふわとした雰囲気の荒川さん。

先日、毒きの子さんの話で盛り上がっていた三人が、 また同じ席に陣取ります(思わず聞き耳、若人三人のnote創作談義|老舗BAR オシャンティ キノコで深酒 Vol.12参照)。

そして――今日はもう一人、見慣れた方がいらっしゃいました。

控えめな足取りで入ってこられた男性。
ふくよかで恰幅が良い反面、少し気弱そうな雰囲気。
白石さんとよくご一緒に来られる、成瀬さんです
毒茸につままれた夜|老舗BAR オシャンティ キノコで深酒 Vol.7参照)。

どうやら、先日の夜に約束されていた“集まり”が、 今日、ここで開かれるようですね(女戦士と学生パーティの感想戦|老舗BAR オシャンティ キノコで深酒 Vol.13参照)。

毒きの子さんの正体を語り合うという、 なんとも不思議な会合。

人数が増えると、 店の灯りも少しだけ賑やかになるものです。

さて―― どんな夜になるのでしょうか。

そっと聞き耳を立ててみることにいたしましょう。


——白石
さて。前回の続きといきましょうか。
毒きの子さんの正体――今日は、決着をつけるわよ。

——悠真
いやぁ、こういう続編って、だいたい前回より話がこじれるんだよね。
「ナイブズ・アウト」の二作目みたいにさ。

——高橋
いや、悠真。構造的に言えば、今回は前回の議論の“補助線”だ。
毒きの子は複数人格説が一番整合性がある。俺はそう思う。

——荒川
いやいやいやいや、高橋。
毒きの子さんは妖精だよぉ。
だって、あの文章、胞子みたいに広がるでしょうにぃ。

——高橋
胞子で文章を読むなよ、荒川。

——荒川
読むよぉ。テンプレ的にぃ。

——高橋
テンプレって言うなら、まず人間であることが前提だろ。

——荒川
いや、テンプレの前提を裏切るのがテンプレだよぉ。

——高橋
それはもうテンプレじゃないだろ!

——荒川
えへへへへ

——悠真
まぁまぁ。荒川は荒川でいいんだよ。
こういう“異世界ギャンブラー説”みたいなぶっ飛び枠は必要だからさ。

(荒川、嬉しそうに頷きつつ、悠真の袖をつつく)

——悠真
まぁ、僕は複数人説が濃厚だと思っているけど…ん?
(気付いた悠真に、荒川が目線で白石と成瀬を示す)

——荒川
そんな訳ないでしょうにぃ。
あんな濃密な知識を持っている人が集まって書いていたら、もっと話がバラバラになるって白石さんも言っていたじゃない。
絶対、異世界ギャンブラーだった前世記憶をもつキノコの妖精だよぉ!

(ニマニマとした顔で、荒川にゆっくり頷く悠真)

——悠真
白石さんは、この知識のh…

——白石(そっと声を落として)
成瀬さん。今日、この後……少し話があるのだけれど…

(荒川の肩がビクッと跳ねる)
(ニマニマが止まらなくなる悠真)

——高橋
で、俺は思うんだが、毒きの子はお爺ちゃん説も捨てがたい。
文章のリズムが、妙に古典的なんだよ。

——荒川
ちょっと高橋、黙っててぇぇぇ!(器用に小声で叫ぶ!)

——高橋
なんでだよ?

——荒川
いいから!(器用に小声で叫ぶ!)

——高橋
は?
何が?

——悠真
まぁまぁ。高橋はいいんだよ。
こういう時に気付かないキャラって、映画でも必要だからさ。
ほら、話続けようぜ。

(言葉とは裏腹に、成瀬さんの方を向いたまま)

——高橋
よく分からんが、とにかくだ、あそこまでの知識量を考えると、毒きの子はお爺ちゃん説が有力だ。

——成瀬(白石に見つめられて照れながら)
あ、あの……白石さん。
すみません、今日ちょっと……早く帰らないといけなくて……

——荒川
(崩れ落ちる)

——悠真
(映画の主人公みたいに天を仰ぐ)

——高橋
で別の可能性として、毒きの子はメンヘラニート説もあると思うんだよ。

——白石(ほんの一瞬だけ目を伏せてから)
そう。なら仕方ないわね。
仕事の相談は別の機会にするわ。

——成瀬(ほっとしたように微笑んで)
はい……すみません……

——荒川
(机に突っ伏す)

——高橋
と言うのは、話の内容に高齢者とは思えない様な部分が多くて…

——悠真
(高橋に視線を戻してため息)

——高橋
なんだよ、悠真、何か意見があるのか?

——悠真
い、いや、そうじゃなくてさ、えっと、そうだな…、
だから、その若者っぽい部分と、老人っぽい部分は別々の人が……。


──夜が更けるにつれ、 店の灯りはゆっくりと落ち着きを取り戻していきます。

皆さまの声が遠ざかり、 グラスの触れ合う音だけが、 静かな余韻のように残りました。

今日も、賑やかで、楽しい夜でした。

毒きの子さんの正体についての議論は、 どうやらまだ答えが出ないようですが……

それでも私は、 その答えよりも、 今日ここに流れていた“空気”の方が、 ずっと興味深かったように思います。

どうやら毒きの子さんは、 ファンという強力な味方を得たようですが――

味方を得たのは、 彼女だけではないようですね。

人が集まり、 言葉を交わし、 時にすれ違い、 時に寄り添う。

そんな夜が、 また訪れることを願っております。

オシャンティは、 いつでも皆さまをお待ちしております。


スピンオフ関連のオシャンティシリーズ

大学生3人組初登場
思わず聞き耳、若人三人創作談義

白石さんと成瀬さん初登場
毒茸につままれた夜

大学生3人組2度目の登場
思わず聞き耳、若人三人のnote創作談義

大学生3人組と白石さんの邂逅
女戦士と学生パーティの感想戦



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