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思わず聞き耳、若人三人のnote創作談義|老舗BAR オシャンティ キノコで深酒 Vol.12

──ここは、街の片隅にひっそりと佇む老舗BAR、オシャンティ。

私はバーテンダーのジェイコブ。

夜の静けさは、まるで古いレコードの針が落ちる瞬間のように、 ゆっくりと店を包み込む。

いつも通りの夜。 いつも通りのカウンター。

扉が静かに開き、 カラン……カラン……と音が響く。

おや、いつぞや来て下さった三人の学生さんがまたいらして下さいましたよ(思わず聞き耳、若人三人創作談義 参照)。

ひとりは内気そうな青年、たしか作家志望でしたね。
もうひとりは、あか抜けたファッションの学生さん。
今日も映画Tシャツを着ています。相変わらず映画に夢中の様です。

そして、その間にふわふわした雰囲気の女学生さん。
前回はテンプレで切って斬ってキリまくっていましたねぇ、覚えていますとも。

ささ、まずはどうぞ。
お飲み物をお作りしますので、ゆっくりお座りください。

三人は前回と同じ席に陣取ると、熱っぽく話始めました。

グラスを磨きながら、そっと聞き耳を立てるとしましょう。


——ふわふわ女子
ねえ聞いてよ、悠真君。  
わたしの異世界転生のネット小説、最新話のビューが全然伸びないの!

——映画Tシャツ改め悠真
いや荒川、それはさ……  
設定が飛びすぎなんだよ。  
“死んだら巨大キノコになって、胞子で世界を救う”って何なんだよ。
しかも転生後の初仕事が“胞子の確定申告”って、お前は主人公に何をさせたいんだ?!

映画でもそんな展開ないぞ。  
三幕構成どころか、幕が多すぎて観客が迷子になるやつだよ

——ふわふわ女子改め荒川
えー? 面白いじゃん。
何をさせたいって確定申告に決まってるでしょ?
なんで分からないかなぁ?
絶対大事でしょうにぃ、確定申告ぅ。
読者がついてこられないのが悪いんだよ。

——内気青年
確定申告が大事なのは本当だけどさぁ、荒川……  
それ、戦略の土台がズレてるんだよ。  
大戦略が“読んでもらう”なのに、戦術が“振り落とす方向”に行ってる。

——荒川
えっ、なにそれ難しい。
わたし、読者を振り落としてるの?

——内気青年
振り落としてるよ。  
ちゃりんちゃりん魔法の戦略体系を読めば分かるけど、  
まず“誰に読んでもらいたいか”を決めないと……。

——悠真
ちょっと待って。  
荒川はちゃりんちゃりん読んでないんだよ。

——荒川
えー? 悠真君と高橋は読んだの?

——悠真
読んだよ。  
あれは戦略の映画だね。  
伏線の張り方がすごいんだよ。  
高価格戦略が最後のクライマックスでさ――

——内気青年改め高橋
映画の話じゃないよ、悠真。

荒川、ビューが伸びない理由は簡単だよ。  
お前の作品は“誰に向けて書いてるか”が曖昧なんだ。
ちゃりんちゃりん魔法では、読者を選別するんだよ。

——荒川
選別って怖くない?  
読者を減らすってこと?

——悠真
減らすんじゃなくて、“合う人だけに届ける”ってことだよ。

映画レビューもそうなんだ。  
ぼくは最初、全部の映画をレビューしようとしてたけど、  
ちゃりんちゃりん読んでから“好きなジャンルだけ書く”に変えたんだよ。
そしたらビューが安定した。

——高橋
俺も、構造分析の記事を“読みたい人だけに届ける”ようにしたら数字が安定したよ。

——荒川
じゃあ……  わたしの異世界転生も、  
“飛びすぎ設定が好きな人だけに届ける”ってこと?

——悠真
そうそう、その人たちに向けて書けばいいんだよ。
読者全員に理解してもらおうとすると、  
荒川の世界観が死ぬからね。

——荒川
なるほど……  なんか分かった気がする。  
ちゃりんちゃりん魔法、読んでみようかなぁ。

——悠真&高橋
読め!
(二人同時)

(三人爆笑)


――ジェイコブ独白
若者の熱量と言うモノは、魔法よりも魔法ですねぇ。

毒きの子さんの戦略は数字や構造の話に見えますが、 本当は“自分の物語をどう生きるか”という問いなのでしょう。

あの三人はまだ答えを知りません。
けれど、知らないまま語り合う夜ほど、尊いものはありません。

また来るでしょう、この三人は、きっと。

そして―― そのたびに、店の空気は少しだけ未来の匂いを帯びるのです。


本編記事、第1話はこちら
    ↓ 
毒きの子のちゃりんちゃりん魔法 1/4:“戦略と戦術”のひみつ

老舗Barオシャンティ キノコで深酒 Vol.13
  ↓ 
女戦士と学生パーティの感想戦


老舗Barオシャンティ キノコで深酒 Vol.11
   ↓
占いの本当の使い方


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