GONIG TO THE MOON!【行こ行こ#13】大阪万博2025
まさか、2話も万博の記事を書いておいて、パビリオンのひとつも行っていないとは呆れるが、今回から遂にパビリオンに入っていきます。
長蛇
パビリオンマップを広げると、そこには大行列確定パビリオンがいくつか記されている。
なかでも、ひときわ人が吸い寄せられている建物がある。
そう、アメリカ館である。

ルーティーン
列に並ぼうとすると「45分待ち」の看板。
「全然マシ。」
朝イチ番、来た甲斐があったというもの。
先日行ったディズニーランドで”3時間待ち”を経験しているので、面構えが違う。
待っている間も無駄にはできない。
行きたいパビリオンは、なにも米国だけじゃない。イタリアだってフランスだって、オランダだって見たいのだ。
万博アプリでは、当日の予約枠がある。
QRコード管理されているので、入場から10分経つと操作可能になる。
アプリを開く…
ぐぬっ!重い!
9時に入ったお客さんが、一斉にアクセスする。
とんでもない情報がサーバーに負担をかけ、回線を圧迫しているのだろう。
「頑張れ!頑張れ!万博サーバー!」

イタリア館のページから、予約枠を選ぶ。
「まだ空いている枠があるぞ!」
選択して「この内容で申込する」ボタンを押す。
「この予約枠は空きがありません。」
うおおお!そんな、速い!
入場第一陣組がボタンを連打する音が聞こえてくる(気がする)。
私はリロードするたびにどんどん「❌」に塗り変わっていく予約枠に、手も足も出ずに、遅い時間遅い時間へと追いやられていく。
何度目かの失敗の後、あえて1マス遅い時間枠を選択。
サマーウォーズのラストよろしく、決定ボタンを押す。
よろしくお願いまーーーーす!
ピッ!

よし!できたぞ。
11時前には入りたかったが、13:06の枠が取れた。
これだけでも御の字である。
万博の予約は1つしか取れず、その予約したエベントが終わらないと次が予約できない。したがって早い枠を押さえないといけないのだ。
かくして、この『待ち時間に予約する』は、僕のこの日のルーティーンになった。
Together
”アメリカの本気、見せていただきましょう”
想定よりスムーズに館内に入れた僕は、超大国の本気を腕組みして待ち受けていた。
展示に流れる音楽は、何度も「トゥギャザー」「トゥギャザー」と繰り返す。
ちょいとばかり照れるが、「米国一強」ではないアメリカの姿がここにはある。
みんなで宇宙を目指そう。未来をつくろう。そんな内容。
「そういや、僕の知ってるアメリカって、ちょっと前までこんな感じだったな。」
そんな事を思いながら、僕は国際宇宙ステーションの事を思い出した。
1996年に建造が始まり、まさに宇宙共生時代の始まりを告げたステーションも、老朽化や様々な理由から運用が終了する。
アメリカとロシアが、そして中国が仲良ければ「国際宇宙ステーション2」を作り始めていたはずだ。Nintendo Switch 2のように。

見上げる空
様々な展示を抜けると、最後に大きな部屋に通される。
天井は広く、1面は巨大な鏡張り。そして天井を含めた全ての面が画面になっている。

まるでテーマパークのアトラクション。
半年で解体してしまうのに、超大国はさすがである。
この巨大な宇宙船で、我々は月に、そして惑星を巡る旅へと出発する。
爆音を轟かせ、床も振動する。
この床の振動のおかげで、没入感が飛躍的に高まっている。
リフトオフ!
窓の外は空の色から宇宙の色へと目まぐるしく変わり、
同伴する宇宙船アルテミスと別れ、国際宇宙ステーションへと到達する。
宇宙飛行士と挨拶を交わすと、僕らの宇宙船は「月」へ進路を取るのだ。
アメリカ人も、日本人も、そして世界の各国から来た方々も、
あんぐりと口を開けて、空を見つめている。
みんな同じ空を見上げている。
その光景は、少し間抜けで、とても愛おしかった。
同接6億人船長
1970年の大阪万博はタイムリーだった。
だって前年の1969年に人類は月に行ったんだもの。

昭和の日本人を含め“600,000,000(ろくおく)人以上”が、月面のニール・アームストロング船長を“生中継”で見たのだ。
YouTube風に言えば「同接(同時接続視聴者数)6億人船長」である。
今みたいに1人1枚以上、画面を持っている時代じゃない。
テレビだって全家庭にある訳じゃない、カラーでもない。
それでも、この月面着陸は人類の歴史上、最も”みんなで見た”イベントだろう。
そして翌年に「あの石が大阪に来る」のである。
これの衝撃ってすごい。
「あのブラウン管の向こうにあった月の石が!」
「僕らが見上げることしかできなかった月の一部が!」
「日本に、大阪に来ているんだ!」
そりゃみんな並ぶわけだ
We choose to go to the moon
この壮大な計画は、一人の男の宣言から始まった。
時の米国大統領ジョン・F・ケネディーである。

「我々は月に行くことを選択する!」
「この10年の間に、アメリカ合衆国は人類を月面に着陸させ、安全に地球に帰還させるという目標を達成することを約束すべきだ!」
直接参加人員約17万5000人
8年間で8兆〜9兆円の経費
ピーク時には40万人の職員を雇用しており、ウェルナー・フォン・ブラウンを始めとする世界の頭脳が結集し、たった3人の人間(着陸できたのは2人)を月に送り、無事に地球に帰還させた。
規模も予算も正に桁の外れまくった”天文学的”なものとなった。
ただの石
いよいよ、私も最後の部屋に通された。
月の石。
そう、あの月の石が——展示されているのだ。
ガラス越しとはいえ、手を伸ばせば触れられそうな距離に。

それは”ただの石”だった。
ショッキングピンクや、エメラルドグリーンでもない。
自ら光っているわけでもないし、浮いているわけでもない。
ただの灰色のザラザラとした石。

「暑い中、何時間も並んで、見たのはただの石ころだった」
という話も、多く聞かれたとそうだ。あの70年の万博ですら、だ。
最高だ。
そうだ、ただの石だ。
でも、みんなで頑張って摂ってきたんだ!月から。
世界最大の超大国が予算もプライドも技術も全部つぎ込んで。
きっとNASAに入った科学者は、地元の高校、大学では神童とか言われていたんだろう。そんな主人公級の頭脳がケープカナベラルに十数万人も集まって、昼夜を問わず研究した。
アメリカの市民が、納めた大切な税金を湯水のように注ぎ込んで、勇敢な3人の乗組員や、その家族の心配を丸ごと抱えて。
持ってきたんだ、38万kmの真空で隔てられた、遠い衛星から。
みんなで必死に持ってきた『石ころ』なんだ!
ただの石でよかった。
ただの石だったからこそ素敵じゃないか。
私は月の石そのものより、この人類の営みに拍手と喝采を送りたい。
アメリカだけじゃない。かつての科学者、数学者、哲学者、技術者、その他の全ての人類全員を祝福したい。
文明そのものが、達成した偉業。
人類が積み上げてきた科学と文明のトロフィー。
そして宇宙の平和利用の象徴でもある。それこそがこの「月の石」なのだ。
そこに意味とか価値とかを見出せる人類にグッとくる。
それだけ?
そう、それだけだよ。だけど、それが凄いんだ。
人類の勝利とスタンプ
大興奮でアメリカ館を後にする。
ちなみに月の石を見られるのは、ほんの3〜4秒なのでご注意いただきたい。
前述の感想は、その数秒間に私の脳内に去来した感情の一部を、文字にしたものだ。(このように僕の脳内は常にうるさい)
側から見れば、おじさんが石見て、iPhoneで写真撮って(1枚だけ撮影できる)、泣いて帰ってゆくのである。(全部で5〜6秒)
怖い。
出口でスタンプを押す。

この後知るのだが、このUSAスタンプは万博パビリオンで一番でかい。
アメリカの尊大さと傲慢さを象徴しているようで、なんとも味わい深い。
アメリカ館を出ると、凄い列ができていた。
並んでいる誰かの関西弁が聞こえる。
「タイ行こかー?」「イタリア行こうやー。」
ああ、いいな。
地球を歩くように巡れる場所、それが万博。
そして僕は、月の石を後にして、アラブ首長国連邦へ旅立ったのである。
続きはこちら
記事:まるのすけ
付録:プラネテス
宇宙関係で書きたい雑学はものすごくあったし、ただでさえ3000文字を超えていたので結構切った方です(これでか?)。展示物の一つ一つや、他の宇宙計画の知識というかエピソードがどんどん思い出されて大変でした。
とても楽しいので宇宙に興味がある方は、行かれると良いでしょう。
ここで、お勧めのアニメーション作品を一つご紹介。
昔、NHKでやっていた「プラネテス」です。
原作も素晴らしい。非の打ち所がない作品です。
代わりに何を打つかって?胸を打ちます。
大人も子供も、女性も男性も。アニメーションを観てください。
1話からもうね、泣きますわ。
作品紹介で「泣く」とか本当は言いたくないんだけど、実際毎回泣いているのだから仕方がありません。
・ユーリーの宇宙旅客機の事故
・連邦の平和記念碑の話
・小さな国の科学者が宇宙規格の船を作る話
・高高度旅客機のニアミス事故
もうね、30分のアニメに対して2時間は話せますわ。
たぶんですが、Amazonプライムビデオで第一話だけは無料で見られる気がします。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B075VJGR8V/ref=atv_dp_share_cu_r

ハチマキ
「この後、万博で26,000歩ほど歩くんだけど、準備はできてる?ユー、コピー?」
筆者
「あ、アイ、コピーです!」
Jupiter Highwayを流して読んでほしいまである。
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