【行こ行こ#48】さよなら大屋根リング【万博再訪&USJ-3】
前回までのあらすじ
念願叶ってドローンショーを見た我々。今回はこぼれ話と万博にやってきた旅程をお話ししよう。万博最終回。
旅のはじまり
それは万博に行く前日の夜。
私は、東京駅八重洲口地下街の「牛タンねぎし」で定食をバクバクと食べていた。

前回は飛行機で大阪に乗り込んだのだが、今回は高速バスを使って行ってみることにした。
高速バスは群馬への往復で乗り慣れているが、長距離夜行バスに乗るのはもう10年くらいぶりだろうか。
若い頃、大学の友人が結婚するときに、私はお金がなくて福島まで夜行バスで行ったことがあった。
体を動かすこともできず、寝られず、音楽も迷惑になるので聞けない中。
本当に苦痛でサービスエリアで逃げ出したい気持ちになった。
「高速バスに乗らなくていいくらい稼ごう」
私は早朝の福島駅でそう誓ったのだった。

では、なぜ今回高速バスで移動するのだろうか?
しかも福島よりも遠い大阪まで。
それは、お金を節約したいからである。
最近は自主企画ばかりをやっていて、クライアントワークをできないでいる。そうなれば必然的に資金は底を尽きるし、贅沢はできない。
物価はどんどん上がるし、しかも、大阪は万博景気で価格が高い。
4月に泊まったカプセルホテルはサウナがついていて、3700円だった。
しかし今は7000円近くするらしい。わずか半年で、である。

今回、私には壮大な作戦があった。
移動日の朝。早めに起きて喫茶店へ向かった。
コーヒーを注文すると書き物を始めた。
持ち前の集中力一本足打法でどんどん作業を進めていく。
頼まれてた編集、画像加工、イラスト、そしてnoteの執筆を箸休めに挟みつつ。脳を徹底的に疲れさせていた。
次に食事を摂らないようにした。
食事を摂ると集中力が乱れるし、タイムロスだ。だから迷惑にならない程度にコーヒーを定期的に購入し、空腹のまま作業し続けていた。
さらに追い討ちで、夜遅めに銭湯に入った。
12時間以上書き続けた脳が鎮まり、ゆっくり休憩モードへ入っていく。
そして、極め付けは先ほどの飯だ。
飯を腹一杯に食う。食事の直後は寝にくいから3時間くらい前に。
こうして、疲労・集中力切れ・風呂上がり・満腹という全ての条件が重なったまま高速バスへ乗り込んだ。
結果発表
目が覚めると梅田だった。
作戦は大成功だった。3列シートで足が伸ばせたことの他に、アイマスクと工事現場で使うイヤーマフ(防音ヘッドホン的なもの)が功を奏した。

カーテンで仕切られているからいいようなものの。もし私の就寝中の姿を見たら奇妙だっただろう。
黒いアイマスク、大きなヘッドホンみたいなもの、イビキ防止のマウスピースで、首から上が重装備。
とにかくサービスエリアでも全く起きず、あの長くて果てのない静岡の記憶も無いまま、私は朝の大阪の街を彷徨っていた。

とりあえずトイレにすごく行きたかったのと、風呂に入りたので銭湯を探した。
大阪弁で子供と店員さんが会話する。
なんだか牧歌的で人情味あふれる大阪の銭湯は、私をお湯以上に癒してくれた。朝っぱらからサウナと水風呂で脳を目覚めさせたので「大阪どんとこい!」という気分になっていた。
この日の入場は12時。
だいぶ時間があるので、大阪港周辺をフラフラしたり市内観光を楽しんでいた。
万博再訪
今回の入場待機列は長い。
前回はすんなり入れたのだが、今回は暑いのと人が多いので殺気だっている。
途中、中年女性二人組に列を抜かされるも、暑さでボンヤリしていたので特に抵抗なく受け入れた。
そのくらい暑かったのだ。

「27番入口がいいよ」
そう教えてくれたのは、昔の仕事先の元上司。
彼は仕事柄、万博に何度も来ているので情報を教えてくれていた。
ちょうどこの日も来ていたので、東ゲートの中で落ち合った。
予定もあるので少しだけ世間話などして別れたのだが、その時の自撮り写真を色塗りスタッフをしてくれているtacowasaに送ったところ
「すんごいはっちゃけてるね」
と言われる始末。
そう、私は再び万博に来られて心底嬉しいのだ。
聞けば、これを書いているときには、終幕まで入場枠がないそうだが、「家族や友人を連れて大屋根リングを歩きたかったな」と今でも思う。
小豆島の冷やしひじき麺
スタンプの狂乱の記録はこちらを読んでもらうとして…
今回は、少しこぼれ話的なものを書いていこう。
炎天下で歩き回ったあと、ふらりと立ち寄ったのは「小豆島の恵み」と銘打たれた屋台。そこで提供されていたのが、冷やしひじき麺。

かき氷と麺が一緒になった、不思議な代物だ。
看板の写真は宝石のようにキラキラしている氷と唐揚げの誘惑に抗えず、私は一つ注文した。

実際に出てきたのはこちら。ずいぶんと素朴で控えめな一杯。まあ、イベント飯だし仕方ない。
けれど、暑さで火照った身体にその冷たさがすっと沁みる。
出汁の味がうまい。海藻の香りが鼻に残りかき氷もいい仕事している。
「これ、小豆島で食ったらさぞかし美味いだろうな」と先日行った岡山から見た小豆島を思い出していた。
水の回廊
ブルーオーシャンドーム。
これもニャウさんが予約をとってくれたパビリオンだ。

パビリオンに入ると、巨大な通路を水が流れていた。

人工の川のように静かに。そしてその水の回廊はなんとも魅力的でずっと眺めていたいくらい素晴らしかった。

さらに奥へ進むと、暗転した大スクリーンに映像が映し出される。


映像作品は大変素敵だったのだが、涼しさと暗さに包まれて、私はしばし眠気に負けそうになった。
木製大屋根リングの散策

二日目の夕方。
最後に、木製大屋根リングをぐるりと歩いた。
昼と夜でまったく雰囲気が変わる。西日に照らされたリングの木目が赤銅色に光り、足下の影が長く伸びていく。

イタリア館にテープのような飾りが追加されていた。
遠目に見るとイタリアの国旗になっていてなんとも洒落ている。

会場に点在するミャクミャクの亜種みたいな奴ら。
彼らはリングの上にも勿論いる。こういった小さなディテールを楽しめるのも現地ならではだ。

上から見られることを想定しているパビリオンの飾りも楽しい。

リング自体は一部で2段構造になっていて、上の段に行くと海が眺められてり、芝生の庭まであるのだ。

ところどころ、リングの下を見下ろせるスペースもある。
これが日陰になったり、待機場所になったり。お土産売り場になったりしていて「これ作って本当に良かったなー」と万博関係者でもないのに安堵したりもした。

海に突き出している部分まで来る。
昨日、ドローンショーをやっていた場所が見える。

あの大きな柱は、門のようになっていて、そこに映像が映っていたのだ。

目を凝らすと、昨晩夜空を見上げていた場所が遥か遠くに見える。

私は二度と見られない、この素晴らしい光景を目に焼き付けていた。
「万博で一番好きだったパビリオンはなんですか?」
そう聞かれたら、現在でも、80歳になってもきっと『大屋根リング』と答えるだろう。
全長2キロメートルに及ぶ、巨大木製建造物。
万博を丸ごと包み込み、循環させ、そして我々に鳥と同じ視点を与えてくれる。
これが取り壊されるのは仕方ない。万国博覧会の定めだと理解もできる。
けれども、この素晴らしい構造物がわずか半年だけのためとは余りにも贅沢すぎるように感じる。
維持費はかかるので、残すことは難しいだろう。
だからこそ、私はこの光景をいつまでも覚えていようと思うのだった。

次回(第4話)予告:
「西成に泊まる」――1泊2,400円の宿での戸惑いと発見。北新地で食べた大阪グルメを描く予定。
つづく
次回↓
記事:まるのすけ
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