365
書き始めたのは、ただの衝動だった。
私はこの記事でこう語っている。
「最近こやつ投稿頻度がおかしいな」とお思いの方がおられるかもしれない。実は、私は今、なぜか100日連続投稿に挑戦している。
これが始まった理由というのが、実にバカバカしい話なのだが、今日はその経緯をちょっと聞いて頂きたい。
詳細は以前書いたので、ここでは繰り返さない。まあ、本当にひょんなきっかけであった。
そして私は、今日まで364日連続でnoteを更新している。
最初は楽しく書いていた記事だが、仕事の繁忙やプライベートのアレコレなどもあり、毎日書くということは、想像以上に多くのリソースを持っていった。
何日までのバッジが手に入るか?
いざ尋常に勝負!なのである。
最初は、こんな感じの軽いノリだった。
そして今日まで、奇跡的に続けてこられた。
本当に「続けるって難しい」。
そう思い知らされた一年間だった。
あまりにも毎日、目の前の記事を仕上げることに躍起になっていたので、連続投稿100回記念、200回記念、300回記念などの記事は、結局ひとつも出さずに現在に至る。
連続投稿ではなく、累計投稿数が400回になったときには、『記録するヒト』という記事を書いた。
しかし、それだけである。
全てのキリ番が、気づけば通過していた。
すでに書くことが日常化し、日付が変わる直前には、「もう少し練り上げたい」という気持ちを蹴り飛ばして投稿ボタンを押した。
そんな日も、一度や二度ではなかった。
餅とサウナ
そして今、私はこの記事を、時速300kmで南下する東北新幹線で書いている。さっきまで私は岩手県で、古代東北の蝦夷の王・阿弖流爲を、取材と称して調べ回っていた。
昼食を摂った一ノ関には、かつて一年に六十日以上も餅を食べる「もち暦」があったという。
そこで私は、「果報餅」を食べた。

いくつか並んだ餅のどれかに萩の小枝が入っており、一つ目で引けば今日、二つ目なら明日、三つ目なら明後日に、幸福が訪れるらしい。
最初に選んだのは、なめこと大根おろしの餅だった。

「うわぁ、これ、すごく旨いわぁ」
パキッ。
歯に何かが当たった。
萩の枝だった。
一つ目。
つまり、幸福が訪れるのは今日である。

ならば無理やり、今日を良い日に寄せよう。

私は生まれて初めて新幹線を途中下車し、仙台でサウナに寄った。110℃のサウナと水風呂、不感浴、外気浴。
整い散らして、我々は再び新幹線に乗った。
恐怖
ずんだシェイクを啜りながら、車窓を眺める。
田園風景を切り裂くように、緑の高速鉄道が走る。列車は那須塩原を越え、宇都宮に入ろうとしていた。
大満足の旅の終わりを味わいながらも、私の心には、拭っても消えない感情があった。
それは恐怖だ。
圧倒的恐怖。
何が怖いかと言えば、これである。

この連続投稿バッジ。
私は、スタンプラリーが好きだ。
好きすぎるがゆえに、今年の3月には関西、四国、山陰を巡る、数千キロのスタンプラリーの凶行に及んだ。
スタンプを見つければ押したくなる。空欄があれば埋めたくなる。あとひとつと言われれば、そのひとつのために、わざわざ遠くまで出かけてしまう。
この性格だからこそ、365日も続けてこられた。
しかし、それがゆえに怖い。

この部分の…

この空間。
もしや。
ここに、連続1000日とかが出てきやしないだろうな。
今日をゴールだと思ったから、ここまで走ってこられたのだ。それなのに、さらにその先が待っていたら。
2000日。
3000日。
5000日。
一生?
もう怖くて、投稿ボタンを押せない。
ああ、ここで連続投稿を終わらせてくれ。
誰に頼まれたわけでもない。
人気note執筆者でもない。
芸能人でもない。
毎日投稿しなければ、誰かが困るわけでもない。
それなのに、やめるとなると、なんとも言えない。
この、表しづらい感情。
しかし、これをあなたが読んでいるということは、私は観念して『投稿』ボタンを押したということである。
ポチッ

おお!やった!
ついに達成した!
そのバッジ、白き背景をまといて、金色の姿輝きし。古き伝説は、まことであった。(ナウシカ)
さて。
問題は、この先である。
どうか。
どうか、連続投稿バッジは「365」で打ち止めにしてくれ。
神よ!
バッジをタップする。
スッ……。


!!
終わったああああ!!!
おめでとうぉぉぉぉぉぉ
そんなわけで、私の長い長い旅路は、今日、終わりを迎えた。
達成感と安堵と、ほんの少しの寂しさが、一度に押し寄せてくる。
そのとき、さっき食った餅が頭に浮かんだ。

ああ。
これか。
萩の枝が言っていたのは。
一年間、一日も途切れずに書き、今日、ちゃんと終わることができた。
充分すぎるほど、いいことだ。
そして、この一年間、読んでくださった皆様。本当にありがとうございました。コメントや「スキ」に、何度も励まされた。誰にも頼まれていない挑戦をここまで続けられたのは、読んでくれる人がいたからである。
窓の外には、まだ青さの残る夕暮れの空が広がっている。
明日からは、毎日書かなくてよい。
書きたいものを、書きたいときに書けばよい。
まあ、下書きはたまっているので、すぐにまた投稿するとは思う。
だが、もう連続ではない。
ここが重要である。
まもなく東京駅に到着するというアナウンスが流れた。
新幹線は速度を落とし、夕暮れのホームへ滑り込んでいく。
記事:まるのすけ
いいなと思ったら応援しよう!
応援いただければ幸いに存じます。チップは有り難く頂戴し取材費にさせて頂きます。感謝。