【電子工作】非安定マルチバイブレータ:LEDの交互点滅を実装,2chオシロスコープ(ZOYI ZT-703S)のテスト
今回は,マルチバイブレータ回路を組むことで,2つのLEDの交互点滅に挑戦したいと思います.
すでに資料が充実した実験なので,多くの先行報告があります.
実装には,主に以下のノートを参考にさせていただきました.
マルチバイブレータ
マルチバイブレータの基本動作は,コンデンサの充放電現象と,トランジスタによる増幅回路を使った周期的な挙動を行う回路です.

本ノートで実際に組むのは,2つのLEDをベース接地に取り付けた,非安定マルチバイブレータという,交互に2つのトランジスタに電流が流れる回路を組みます.

動作は以下のアニメーションがわかりやすいですね.
実装上の注意
マルチバイブレータを実装する際に,12Vや24Vを使った例も多くみられるが,耐逆電圧が5V程度のトランジスタでは,hFEの低下といった深刻なブレークダウンを起こす可能性に注意するような記事があったので,載せておきます.
マルチバイブレータ回路を応用する際には,その設計に注意しましょう.
LTspiceでのシミュレーション
まずは,LTspice でのシミュレーションを行ってみます.
このパラメタ設定では,10秒の間に7回の明滅を繰り返す結果になります.
1.4 秒程度で明滅を繰り返しています.

この明滅周期 $${T}$$ は下記の式で与えられます.
$$
T= 2 \ln(2) R C , \ \text{where} R = R_{2} = R_{3}, C = C_{1} = C_{2}
$$
この式の導出は英語版のWikipediaにあります.
$${R = 10 \ \text{k} \Omega}$$, $${C = 100 \ \mu \text{F}}$$ を代入すれば,
$$
T = 2 \cdot 0.693 \cdot 1 = 1.386 \ \text{sec}
$$
となり,シミュレーション結果とほぼ一致しているのがわかりますね.
周波数にすれば,$${f = 1/T \approx 0.7}$$ Hz 程度になります.
負荷(LEDと抵抗$${R_{1}, R_{4}}$$)には電源電圧が印加されることにも注意しましょう.

$${R_{1}, R_{4}}$$ を変更しても周期や電圧変動に影響はない.
ブレッドボード上での実装
ブレッドボード上に実装して,LEDの点滅が起こるかどうか観察してみます.
道具
ブレッドボード(電源モジュール付きがオススメです)
少し面倒ですが,USBケーブル等を加工して電源とすることもできます.
抵抗器($${100\ \Omega \times 2, 10 \ \text{k}\Omega \times 2}$$)
コンデンサ・電解コンデンサ($${10 \mu \text{F} \times 2, 100 \mu \text{F} \times 2}$$):周期の変化を観察したいので,幾つかのパターンを用意しています.電解コンデンサは極性に注意しましょう.
トランジスタ(2N2222)
データシート,ピンダイアグラムを参照しておきましょう.
LED x2
ジャンパ線
デジタルマルチメータ(電源電圧の測定に利用)
利用方法等は下記のノートをご参照ください:
オシロスコープ(できればデュアルチャンネルのもの)
今回のマルチバイブレータでは,交互の点滅をみたいので,デュアルチャンネルのオシロスコープがあるといいと思います.ZOYIのZT-703Sは持ち運びの手軽さや,測定のしやすさなど優れたオシロスコープだと思います.手に入れる機会があればぜひオススメです.このタイプのオシロスコープの中ではとてもリーズナブルだと思います.
格安オシロスコープ DSO138 があります.
今回扱っているマルチバイブレータといった充放電の過渡現象の観察にも使えます.
ただし,1chのオシロスコープでは,位相が左右で互いに逆になっている様子などが観察できないのが難点ですね.位相の比較にも興味があるのが今回の非安定マルチバイブレータの実験です.
配線・動作確認
図2でシミュレーションした回路をブレッドボード上に配線します.


タイミング的に写真を用意するのが難しいところですが,交互に明滅を繰り返している様子が伝わればと思います.
電源電圧を測定します.

続いて,2chオシロスコープで,両側LEDの+端子の電圧変動を測定します.
測定時には,オシロスコープのGNDを取ることも忘れずに...

今回はコンデンサを 100uF および 10uF にした場合をそれぞれ試します.
2ch オシロスコープのキャリブレーションは完了しているとします(本ノート付録参照のこと).
測定結果:100uFの場合
まずは 100uF の電解コンデンサで測定した場合です.

左右の LED で互いに逆位相になっていることは無事に確認できました.
ただし,理論値が 1.4 sec, 0.7 Hz 程度ですが,460 ms,2.17Hz という結果になりました.また,左右に対して,振幅 2.5V 程度のノイズが乗っています.
これらの原因はなんでしょうね.電解コンデンサの容量が小さくなっていることなどが考えられますが,左右差があまり生じていない以上,この原因も可能性は低い気がしています.何か根本的な回路実装のミスがあるかもしれませんが,ひとまず逆位相になっていることが確認できたのでOKとします.
測定結果:10uFの場合
続いて,10uFのセラミックコンデンサを利用した場合の結果です.

先ほどの 100 uF 電解コンデンサの場合と比べて,その周期は 48ms および周波数は 21 Hz 程度になっています.
10 uF の場合 では 100 uF の場合よりも周期は 1/10 となり,周波数は 10 倍になるはずなので,この結果は妥当ですね.
この場合も同様に,矩形波に振幅 2.5V程度でノイズが入っています.ノイズ周期は 20 ms 程度なので,おそらく寄生振動などによる影響が入ったものでしょうか.
まとめ
本ノートでは,非安定マルチバイブレータに関して,LTspice によるシミュレーションと,ブレッドボード上に実装した回路を2chオシロスコープで測定することで実験しました.LEDが交互に点滅する様子も面白い上に,2chオシロスコープの良い訓練にもなりました.
回路工作の基本が詰まった学びの大きい回路です.
ぜひ一度皆さんも,もし機会があれば組んでみてはいかがでしょうか.
今回は試しませんでしたが,参考にさせていただいた下記サイトでは,より多くのバリエーションについて紹介されています.
付録:ZOYI ZT-703S 2ch オシロスコープ
薄々気づいた方もいるかもしれませんが,今回の非安定マルチバイブレータを扱ったのは,2ch オシロスコープを活用した実験をしたかったからです.
本実験では,ZOYI ZT-703S 2ch Oscilloscope を用いました.
格安の2chオシロスコープとして知られていますが,残念ながら現在値上げが進んでしまっていますね.(安い時に買っておいてよかったです…)
しかし,間違いなく携帯オシロスコープの中でも安価で便利な機能が揃った高性能なオシロなので,入手するチャンスがある際には,ぜひ手に入れておくことをお勧めします.
キャリブレーション
初回起動時ですが,プローブのキャリブレーションは忘れずに行っておきましょう.矩形波の歪みを調整するようにプローブを付属のドライバで調整します.詳細は本体説明書にあるので,ここでは細かい説明は省略します.

FFT等の測定量表示
搭載された機能の中に FFT や,PP値の表示,周期,周波数等の表示があります.FFTはその目盛りが出ないっぽい?のですが,大まかな波形の概形を示す目安になるでしょう.

ZT-703Sを軽く利用した感想
今回,軽く非安定マルチバイブレータを題材にして,ZT-703S 2ch オシロスコープに触れましたが,手軽に使えて,携帯可能なオシロスコープなので,ちょっとした電子工作での測定にとても重宝しそうです.
また,測定結果の定量値を表示する機能もあくまで目安にしかなりませんが,すぐに目安が表示されるのでとても便利ですね.
皆さんもぜひ機会があれば手に取ってみてください.
