《葬送のフリーレン》聖典の成立とクラフト、僧侶アゴヒゲについて
ネタバレには配慮していません。
『葬送のフリーレン』の原作マンガはまだ読んだことがないという方には原作マンガを、既に読んだことのある方にはある一つの視点からの再読をお勧めしています。その訳をこちらの記事で説明していますのでお読みください。
はじめに
女神様により聖典が地上にもたらされたのは約1,600年前のこととされています。(第12巻116話。ハイターが「千五百年」と語ったのが約80年前のことです)

が、この聖典がもたらされた時期には疑問があります。
というのは、「遥か昔に世界を救った」とされる「忘れられた英雄」クラフトと僧侶アゴヒゲの偉業がいつのことなのか説明がつかなくなってしまうからです。(第4巻34話、第3巻24話)


クラフト達の偉業と聖典(問題の所在)
クラフト達の石像の存在が確認されているのは2か所で、いずれも北側諸国、ザイン達の故郷の村と頑固婆さんの村です。(第4巻34話)
聖典の成立時期との関係で問題になるのは僧侶アゴヒゲ像です。というのはこの僧侶アゴヒゲ像が聖典を手にしているためです。(フェルンがクラフトから貰ったのとよく似たペンダントも着けています)

この石像のとおりに僧侶アゴヒゲが聖典を持っていたとすると、クラフト達の偉業は聖典の成立以降すなわち約1,600年前より最近だということになります。
しかし、そうすると、フリーレンが生まれるせいぜい約300年前です。(フランメが生まれる約600年前)
なのにフリーレンは「世界を救った」クラフト達の偉業を「全然」知りません。これはかなり奇妙なことです。

ですから、
僧侶アゴヒゲ像が聖典を持っていること
聖典の成立時期
このいずれかに誤りがあると考えられます。
僧侶アゴヒゲ像の聖典
僧侶アゴヒゲ像に誤りがある可能性を検討します。
クラフト達の偉業は聖典の成立よりもずっと昔のことで、僧侶アゴヒゲは実際には聖典は持っていなかったが、石像を作る際に聖典を持たせてしまったということです。
パッと思い付くのは、石像の製作者が「僧侶なのだから聖典を持っているはずだろう」という推測を元に製作したということです。これはいかにもありそうです。
これならクラフト達の偉業が忘れ去られていて、フリーレンが全然知らないことも納得できますし、聖典の成立時期「約1,600年前」にも説明がつきます。
しかし、そうすると、僧侶アゴヒゲは聖典を持っていないのに女神様の魔法を使えたのでしょうか。それはないでしょう。(第4巻31話、36話)


そして、女神様の魔法を使えない僧侶が世界を救った英雄の一人だというのも奇妙だと感じます。
ですから、私は僧侶アゴヒゲは聖典を所持していたはずだと考えます。つまり、聖典の成立時期「約1,600年前」に誤りがあると考えてみます。(仮説)
なぜそこを疑うのか?については別の考察もありますので、参照ください。要は、統一王朝期から現在まで、帝国という国家はかなり歴史改ざんをしてきた過去がありそうなのです。
聖典の成り立ち
では、どういうことなのか?
これは仮説で、いろいろな説明があり得ると思いますが、私が思い付いたものを一つ。たとえば…
もともと聖典は大きく二つの「編」からなっていたとしましょう。イメージとしては《聖典=旧約+新約》です。これがクラフトと僧侶アゴヒゲが活躍していた時代の聖典です。
それが、ある時期から教会や時の権力(統一王朝)にとって「旧約」部分の記述が邪魔になってきた。
そこで「旧約」は異端の書である、偽書であるという事にして、「新約」だけが「聖典」であると約1,600年前に制定した。
こう考えれば、僧侶アゴヒゲ(像)が聖典(旧約+新約)を持っていることも納得できます。
「旧約」に書かれていた内容
歴史から抹消された「旧約」に書かれている内容を想像してみます。おそらく二つあります。
天地創造の真実
魔族の起源
この二つです。
まず天地創造の真実。レーヴェとソリテールの物言いからは女神様が本当にに創造神なのかは疑問があります。女神様とは別に本当の創造神がいて、天地創造を行った。女神様は創造神の作った世界の法則を書き換えた(理を捻じ曲げた)存在に過ぎない。そういう内容です(第15巻147話、第12巻116話)


次に魔族の起源。フリーレン(フランメ)とソリテール(魔王)は魔族の起源について進化論を唱えていますがこれは誤りでしょう。(別記事参照)
魔族の起源には複数の考察がありますが、
【人為説】賢者エーヴィヒが意図してか事故なのか、魔導具・水鏡の悪魔により作り出してしまったとする説。
【神意説】世界の法則を書き換えて人類に魔法(火)を与えた女神様(プロメテウス)に対する罰として、創造神が人類と敵対する魔族を作り出したとする説(さらに罰として女神様を天界に閉じ込めたために、神話の時代が終わった)
【混合説】上記二つの混合説(ギリシア神話でいうパンドラの箱のエピソードで、創造神がエーヴィヒをそそのかして魔族を作らせた)
一つ目は、水鏡の悪魔関連の考察としては説得力があります。ただ、神様が関わっていないので聖典の内容としては疑問を感じます。
ですので、私は三つ目を推します。
なぜ「旧約」は抹消された?
約1,600年前頃というのは年表の空白期間で、「旧約」の抹消のきっかけになるような特に目立った出来事はありません。ただ、「旧約」の内容が上述したようなものだとすれば、人類と魔族の関係性の変化が原因だったかもしれないと思います。
ですのでかなり想像ですが、魔族との戦争が激化したため、と考えてみます。
これに関しては、女神の石碑編にハイターが歴史と魔族について語る場面があり、ハイターの歴史認識が気になっているのですが別記事とします。(第12巻110話)

神話の時代のストーリー
私の想像している神話の時代のストーリーです。ギリシア神話を参考にしています。
神様と女神様がこの世界を作った【天地創造】
女神様に似せてエルフが、神様に似せてドワーフが作られた。人間の起源は不明だが、短命なので神様からは遠い存在だろう。【人類の誕生】
女神様は人類を可愛がり、世界の法則を書き換えて魔法を与えた。
怒った神様は、永遠の命を望んでいた賢者エーヴィヒをそそのかして魔族を作らせた。【魔族の誕生】
女神様の使徒(時巡りの鳥)である大魔法使い達が魔族との戦いを主導する。
手を焼いた神様は女神様を天界に閉じ込めた。【神話の時代の終わり】
大魔法使い達はその後も魔族との戦いを続けていた。
しかし、戦いの意義を見失ったゼーリエは魔族との戦いを諦めてしまう。
神話の時代以降に生まれた若い大魔法使い達(ミーヌス、ミリアルデ)も徐々に女神様への信仰を失う。
統一王朝期(約1,600年前)、それまでは人類の産土神に過ぎなかった女神様を創造神として位置付ける聖典の改変が行われた。【聖典の成立】
おわりに
《聖典=旧約+新約》の「旧約」部分の存在が抹消されていて図書館(聖杖法院のそばにある帝都修道院付属図書館の秘密資料室)にあって、ルティーネがレーヴェの指示で盗み出していたと。
まあ、そもそもの《聖典=旧約+新約》がかなりざっくりした仮説なので、あくまでもこれは叩き台です。色々なパターンがあると思います。私もまだ定見はありません。コメント歓迎です。
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