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《葬送のフリーレン》恋人?兄妹? なぜユーベルは強引に誘い、ラントは帝都に行くことにしたか?(帝国編考察)

※ネタバレと先の展開に関する考察・予想が含まれます。

はじめに

ユーベルが帝国編の任務にラントを誘った場面(第13巻126話「新たな任務」)を読んで、二人の関係について考えます。

想像も含む考察で、読解に近く、私も全てについて自信を持っているわけではありません。根拠がある所は根拠を書きます。想像で書いている所はそのことが分かるように書きます。コメント歓迎です。

第13巻126話

なぜユーベルは「強引にでも連れていくつもり」だったか?

帝国編の任務はユーベルとラントが「組んでやれ」というゼーリエからの指示です。

第13巻126話

ゼーリエはユーベルには「無理に誘わなくていいから」と言っています。(ユーベルによれば「(ラントの)気が向いたらって感じのこと」)

しかし、ユーベルはラントを帝都に「強引にでも連れていくつもり」です。

そこまで熱心に誘うということは、帝国編の任務にラントを参加させたい理由がユーベル自身にあるはずです。その理由は何でしょう?

第13巻126話

ユーベルはその理由として「メガネ君のこともっと知りたいし」と言っています。

「知りたいから・・」ではなくて「知りたい」です。

ということは、「もっと知りたい」の他にもラントを連れて行きたい理由があると考えて良いでしょう。

というか、この言い方からは、「もっと知りたい」は副次的な理由で、主な理由は他にあると感じます。ユーベルが省略した言葉を想像で補うと、「メガネ君のこともっと知りたいし。それに《????》だから」ではないでしょうか。

では、その理由は何でしょう?

「もっと知りたい」というのはユーベルの都合です。ラントにとってはいい迷惑です。(ちょっと嬉しい?)

第13巻126話

では、ユーベルは自分の都合だけでラントを誘っていて、断られても「強引にでも連れていくつもり」の他人の迷惑を顧みない自己中心的な人物なのでしょうか?

まあ、ユーベルの場合は若干そういう傾向もあるかも知れません。ユーベルは「ボーイ・ミーツ・ガール」の「ガール」ですから…

第14巻131話

では、「もし私だったら」と仮定して考えてみます。

愛している人や大切にしている人をどこかへ連れて行きたいと思うとき、その理由の根底にある思考は何でしょう? 特に、その人が今一つ乗り気でなく、行き渋っているので、少し「強引に」誘う場合です。

第5巻46話

たとえば、一緒に「外食しよう」、「映画に行こう」、「車で遠出しよう」と思って「出かけよう」と言っているのに、相手は今一つ乗り気ではない。そこで少し「強引に」誘うとき。

思うに、その根底にある思考は「きっとあなたのためになる」です。

第5巻46話

※たとえば、第一次試験後のこの例では(第5巻46話)、デンケンがリヒターをレストランに誘う表向きの理由は「妻との思い出の店にもう一度行きたい」です。が、もう一つの理由は「若いリヒターは人との縁を軽んじている所があるから、一緒に楽しく食事をして親交を深めるのも良い経験になるだろう」ということでしょう(「処世術がなっておらんな」)。そして、主な理由は前者ではなく、後者だと私は思います。 なぜなら、デンケンは第二次試験後にもわざわざリヒターの店を訪れて彼を励ましており、まるで自分の弟子の様にリヒターのことを気遣い、その成長を願っていることがわかるからです。

だから、ユーベルは「この任務で帝都に行くことがきっとラントのためになる」と考えているのだと私は思いました。それで、「強引にでも」ラントを連れて行きたいのではないでしょうか。

ですから、ユーベルの内心を全て言葉にすると、「メガネ君のこともっと知りたいし。それに、この任務はメガネ君のためにもなると思うから、私は強引にでも連れていくつもりだよ」なのだと思いました。

※なお、ユーベルはこの任務が「自分のためになる」とも考えていて、ただ、それはラントにも他の一級魔法使いたちにも伏せていると思います。

※黄金郷編のデンケンと同じように、ラントとユーベルには帝国編の任務に参加する個人的な理由があると考えるのが自然でしょう。「指示だから」だけのはずがないと思います。

ユーベルとラントの関係1

ユーベルが「この任務で帝都に行くことがきっとメガネ君のためになる」と考えているのだとすれば、ユーベルはラントのプライベートをそれなりに知っているということになります。

具体的には、ラントとフラーゼ(魔導特務隊)の関係についてです。

そうすると、なぜ、ユーベルがラントのプライベートを知っているのか?という疑問が生じます。

帝国編の任務説明時にゼーリエが個人情報を洩らした可能性もありますが(実際、住所は教えていますが)、ラント家の立ち入った事情までは話はしないでしょう。第140話での打ち合わせの場面でラントの両親・祖母に言及した際もゼーリエは他の者には詳細が伝わらないように配慮しながら話をしています。

二人の初対面はおそらくは一級魔法使い試験です。第一次試験後にユーベルは「初めまして・・・・・だね」と言っていますから、実際の初対面は最近だと思われますし、「街中ではさすがに分身じゃないんだ」と言っていますから、ラントの分身魔法についても最近になってから知ったと思われるからです。(第5巻46話)

第5巻46話

だとすれば、ユーベルがラントのプライベートを知っているのは奇妙です。一級魔法使い試験の後に二人は別れて、帝国編の任務までの約二年間、交流はなかっただろうからです。

ただ、お互いに会ったことはなくとも、以前からお互いの存在を知っていた可能性はあります。他人(一級魔法使いたちとゼーリエ)を介して間接的に知っているケースが考えられるからです。(後述します)

では、ユーベルはこのくらいにして、次にラントを見てみます。

なぜラントは帝都に行くことにしたか?

ユーベルだから

ラントはなぜ帝国編の任務を受けたのでしょう?

第13巻126話

「強引に引っ張ってくれるような奴を探していた」? 確かにそうです。ラント自身がそう言っています。

しかし、「強引に引っ張ってくれるような奴」なら誰でも良かったわけではありません。

ラントが帝国編の任務を受けた理由として重要なのは、ユーベルが迎えに来たからです。他の者の迎えでは受けませんでした。(第140話)

第140話

任務だから

では、なぜユーベルの誘いなら受けるのでしょう? ユーベルに恋しているから?

確かに、それもあるかもしれません。(女の子に付き纏われて「君のこともっと知りたいし」とか言われたら、そりゃあそうでしょう。これは少年マンガです)

でも、どうなんでしょう? 私はそれはちょっと「弱い」と感じます。

だって、二人は一級魔法使い試験の後、帝国編の任務まで約二年間離れていたのです。(読者の知らないところで交際していた…それはないとみてよさそうです)

それに、ラントはユーベルの用件が大陸魔法協会の任務だとわかるまでは、ユーベルから逃げようとしていました(第13巻126話)。

第13巻126話
第13巻126話

ですから、ユーベルの誘いだということだけでは、ラントは帝都には行きませんでした。たとえば、ユーベルから帝都でデートしようと強引に誘われても断ったはずです。

ラントは任務だから帝都に行くのです。

なぜ?

ラントの性格「自分のせいで誰かが死ぬのが嫌だから」です。(第6巻50話)

第6巻50話

でも、それだけならユーベルでなくとも誰でも良かったことになります。

ですから、「ユーベルに死んで欲しくないから」です。(第14巻128話)

第14巻128話

パートナーがユーベルで、かつ、任務だから

まとめると、パートナーがユーベルで、かつ、任務だからラントは帝都へ行くということになります。ユーベルとデートで行くつもりはありません。単独任務で行くつもりもないでしょう。私的な用務で行くつもりはもちろんありません。

ということは、「ユーベルが任務で帝都に行くのなら自分も一緒に行かざるを得ない。本当は行きたくないけれども、ユーベルを死なせるわけにはいかない」というのがラントの気持ちではないでしょうか。

そうすると、これは恋愛感情とは微妙に異なると私は感じます。この感情は何なのでしょうか。

ユーベルとラントの関係2

私はこのラントからユーベルへの距離感に恋愛関係(恋人間の愛情)よりは家族関係(家族の間の愛情)に近いものを感じます。

べたべたするのは煩わしいけれども、それでもやはり、肝心な所では助けてあげたい、守ってあげたいという距離感です。

家族関係があったとして、思いつくのはラントとユーベルが生き別れの兄妹だというケースです。あるいは幼いうちに養子に出されたとか、他人だけれどもある時期までは家族同然に暮らしていたとか…。

二人は恋愛関係?家族関係?

皆さんは二人の関係についてどういう印象を持ちましたか?

こういった場面のやり取りも、「初々しいカップル」や「新婚さん」のようにも見えますし、「甘える妹とそれに付き合う兄」のようにも見えるんですよね。もちろん、二人が家族であったとしても血の繋がりがあるとは限りませんから、矛盾(?)するわけではありませんし。

第13巻126話

ユーベルが頑なにラントの名前を呼ぼうとしないことも気になります(第6巻50話、第13巻126話等)。典型的な中高生の恋愛模様っぽさはありますし、単なるユーベルのおちょくりだとも思いますが…。ユーベルにとって「ラント」の名が特別な感情・過去と結びついているため、口に出すことを避けている?ようにも思えるのです。

第6巻50話
第13巻126話

そもそも、ユーベルがなぜこれほどラントに執着するのか、そこもわからないと言えばわからないのです。「ラントの分身魔法が欲しいだけ」とか「恋だろ!」と言われれば、それはそうなのですが、しかし本当にそれだけなのでしょうか…?

今回の考察では、主に登場人物の気持ちを考えました。この手法だけ・・では、「私はAだと思う」、「僕はBだと思う」となって結局は「感じ方は人それぞれだね」以上のことはなかなか言えません。ここに「物語として魅力的か?」という視点を加えて検討すると、AとBのどちらが作者の構想に近いのかを推測する手掛かりが生まれます。そういった考察手法に関してはこちらで触れています。

ラント・ユーベル兄妹説

結局、この場面(第13巻126話)からだけでは二人の関係ははっきりしないのですが、複数の要素を基に考えて、二人は一級魔法使い試験前からお互いの存在を知っていたと私は考えています。

二人の周囲に存在した一級魔法使いたち

まず、ラントの周辺には一級魔法使いが何人も存在しています。ラントの両親と祖母はおそらく一級魔法使いでしたし(ゼーリエが言及しているため)、レルネンはラント祖母の同僚で、ゼンゼはラント両親と共に魔導特務隊と戦ったようです(その際ラント両親は戦死)。

そして、リネアール(カノーネ)がユーベルの姉であるとも考えられます。ユーベルの伏線は帝国編で解決される可能性が高いところ、姉だとしても矛盾のない謎の女性リネアール=カノーネが帝国編に存在するためです。

ですから、ラントとユーベルが一級魔法使いたちとゼーリエを通してお互いの存在を知っていたとしても特に不思議はない状況があります。

ゼーリエと二人の関係

さらに、面接試験時(第7巻58話)のゼーリエとラント、ゼーリエとユーベルのやり取りから、三人の関係を読み取ることが可能です。

まず、ラントはゼーリエとの会話の中でその場にいないユーベルの名前を出しています(アニメも見直してみてください。私の印象では、独り言ではなく、ゼーリエにはっきり聞こえるように「ユーベルにもバレなかったのに」と発言しています)。ということは、ラントには「ゼーリエはユーベルのことを知っている」という認識があります。(なぜ、フリーレンでもデンケンでもなく三級魔法使いのユーベルのなのか?魔法使いとしての実力ではなく二人の関係性を考慮してユーベルを出したのではないか?とも感じます。)

第7巻58話

また、ユーベルは、ゼーリエが会話なしで合格させたことについて、「それもそうだね」と答えています。ということは、ユーベルはゼーリエのことをよく知っており(ユーベルが初めて見たエルフはクラフトですから、ゼーリエとは初対面ですが)、かつ、ユーベルには「ゼーリエは私のことをよく知っている」という認識があります。

第7巻58話

ここまで来ると、ラントとユーベルがお互いの存在を一級魔法使い試験の会場で出会うまで知らなかったというのも不自然です。

ラント・ユーベル兄妹説

では、「二人は一級魔法使い試験前からお互いの存在を知っていた」として、結局二人はどういう関係なのか?ということになります。

私が気になっている仮説を紹介します。

  • ラントの両親=ユーベルの両親

  • ラントとユーベルは兄妹

  • 両親が魔導特務隊に殺された後、一級魔法使いたちが二人を引き取ることになった。魔導特務隊の目を誤魔化すため、二人は別々に預けられた。

  • 祖母がラントを引き取り、リネアールがユーベルを引き取った。リネアールは姉、ユーベルは妹として暮らした。

細かいところで疑問を感じるところもないわけではないのですが、二人は似た過去をもっている、二人には一級魔法使い試験で出会って恋に落ちた以上の関係性が元々ありそう等の大枠は外していません。

ユーベルの戦い方・感性はフラーゼに似ていますが(第14巻131話)、フラーゼの「死でさえ時間稼ぎ」(第144話)という特徴はラントに似ているとも言え、フラーゼの存在は二人の関係を示唆します。

第14巻131話

ラントの家族について語られている割にはユーベルの家族についてほとんど明らかにされていないことや、ラントの家族と別にユーベルの家族まで存在するとなると説明も煩雑ですし、理解も難しいだろうというメタな理由もあります。(ラントの家族=ユーベルの家族ならスッキリします)

※ランユベの関係もおもしろいですが、フラーゼとランユベの関係も気になります。

※直接の関係はありませんが、ユーベルは帝国の事情に詳しくないはずなのに影なる戦士のこととなると饒舌で、鋭い洞察力を発揮します。まあ、とにかく、ユーベルとラント周辺の人間関係は複雑です。

では、今回はこのへんで。

おわりに(過去記事等紹介)

《葬送のフリーレン》に関する記事は下記のマガジンにまとめています。

140本以上ありますが、最初の考察記事としてお勧めなのはこちらです。

これを読んだ上で、フランメ、ヒンメル、エーヴィヒなどで検索すると物語の全体像に関わる考察が出てきます。

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