《葬送のフリーレン》アニメ2期予習 第72話「将軍」
埋葬事情
《葬送のフリーレン》の世界の埋葬事情について、2ページほど使ってゲナウから説明があります。
この世界の人々は、土葬にこだわりがあり、火葬には強い忌避感を持っています。
多くの読者(現代の日本国の人々)は火葬が当たり前の文化で暮らしています。そのために、2ページをかけて説明したのかもしれません。
ただ、土葬へのこだわりは説明されればそんなものかと思いますが、あまりピンときません。

少し不思議だと思うのは、なぜ、この世界の一般的埋葬方法が「土葬」という設定になっているのか?です。別に、「火葬」の設定でもよかった気がします。
《葬送のフリーレン》の世界観は大雑把に西欧のキリスト教文化がベースになっていますから「火葬」はそぐわないとも言えるのですが、そもそも、そこまで時代考証(?)にこだわって世界観を構築している作品ではないのですから、一般的読者の常識に寄せて「火葬」でも良かった気がするのです。
この世界の人々の弔いへのこだわりは、ラントやユーベル(?)にも見ることができますが(第15巻140話)

最もよく表れているのは「断頭台のアウラ編」でしょう。(第3巻18話)

第3巻23話では、グラナト伯爵が息子の遺体を発見してくれたフリーレンに、「今日ほど誰かに感謝したことはない」という最上級の謝意を示しています。

ゲナウの信仰
ゲナウはこの世界の一般的風習に反して遺体を火葬してでも故郷の地に葬るべきだと考えています。ゲナウは死者を「故郷の地で」眠らせてやりたいのです。

「故郷の地で眠れない」という台詞からは魂の眠る地を想起します。
そうすると、ゲナウは魂の行方よりも遺体(遺骨)の埋葬場所に関心を持っている様にも見えます。
ゲナウは「死者の魂は天国へ行く」とは考えていないのかもしれません。そもそも、この考え方がどの程度一般的なものなのかはよくわからないのですが。(第1巻7話参照)
ゲナウは村人たちの遺体を前にしても祈りません。(第71話)

シュタルクがいつお祈りの習慣を身に着けたのかは不明です。クラフトとの食事の際にはお祈りをしていました。(第3巻24話)
メトーデとゲナウ(教師と反面教師)
メトーデとゲナウは、二人がペアを組むことになった直後、お互いに組むことになった理由がわからず、「何故私なのですか?」「さあな」と言っていました。

そして今、メトーデはゲナウ程の反面教師(悪い見本)はいないと言っています。

ということは、ゼーリエは、ゲナウの教師(良い見本)としてメトーデを組ませたのでしょう。(ユーベルでは戦力としては申し分なくてもゲナウの教師にはなれないわけです)
メトーデはゲナウを反面教師として、ゲナウはメトーデを教師として、お互いに学ぶことがあるだろうというのがゼーリエの意図です。
ゲナウの師匠と教師
メトーデが「ゲナウさん程の反面教師もいませんしね」と言ったところで、メトーデによる回想が始まります。ゼーリエがメトーデとゲナウを引き合わせてペアを組ませる場面です。これは、ゲナウの「相棒」が亡くなった後のことですから第74話の回想シーン(「相棒」の葬儀)の後の出来事です。ですので、この「反面教師」の意味は、第74話を読んでからでないと意味が読み取れません。
ゼーリエはゲナウに「お前は嫌な奴だ。優しさの欠片もない」と言います。

けれども、ゼーリエはゲナウの優しさを知っています。
知っているからこそ「ずっとそのまま(嫌な奴)でいろ(ずっとそのままでいてくれ、死なないでくれ)」と願望を言うわけです。ゲナウが徹頭徹尾「嫌な奴」なのであれば、そんなことを言う必要はありませんから。

それだけでなく、ゼーリエは、ゲナウが「嫌な奴」でいるために「報い」を受けていることも知っていると思います。(第73話)

当たり前ですが、ゼーリエは別にゲナウに「嫌な奴」(優しさの欠片もない冷酷な人間)になって欲しいわけではありません。ただ、死なないで欲しいだけです。

けれども、一級魔法使いとして「戦いの道」を選んだ以上、死なないためには「嫌な奴」にならざるを得ません。だから、ゼーリエは師匠であるにもかかわらず愛弟子のゲナウに対して「そのまま(嫌な奴)でいろ」としか言えません。ゲナウの優しさを認めるわけにはいかないのです。
ゼーリエは大きな矛盾を抱えていて、これは『前奏2』でファルシュも指摘しています。ファルシュは戦いを追い求めるゼーリエが、北部支部に花のあふれる温室を作らせたことを指摘してこう言っています。「ゼーリエ様の中には、矛盾が存在します」「あるいは、単に不器用なだけかもしれません」。
だからこそ、ゼーリエはメトーデをゲナウの教師として選んだのでしょう。ゼーリエは自分では果たせない役割をメトーデが果たしてくれることを期待しているわけです。
ゲナウがゼーリエに「握手」と促されてメトーデと握手をする場面と、ゲナウがメトーデに「お礼」と促されてお礼を言う場面があります。この二つの場面は綺麗にパラレルになっており、ゲナウにとってゼーリエとメトーデが共通の役割を持っていることを示していると思います。(第72話、第76話)


女の子の魔族
『前奏2』にも登場する女の子の魔族については別の記事で考察しています。
