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《葬送のフリーレン》フランメの後悔(原作マンガとアニメの比較)

※ネタバレおよび先の展開に関する考察・予想が含まれます。

アニメ《葬送のフリーレン》第1期で、キャラクタの表情(感情)がネガティブ⇔ポジティブというように正反対に変更されている例として三つ(フェルン、ユーベル、メトーデ)を挙げていましたが、四つ目としてフランメを失念していたので、言及しておきます。

場面は第3巻22話「服従の天秤」、アニメではS1-EP10「強い魔法使い」の回想シーン、フランメが「戦いのこと(復讐のための魔法)」しか教えなかったことについて、フリーレンが「後悔しているの?」と問う場面です。

最初にマンガのフランメです。

「いいや」と答える時、フランメはフリーレンに背を向けています。(第3巻22話)
そして、背を向けたまま、目を閉じて「良かったと思っている」と答えています。次に、「頼みがある」と話題を転換して、またフリーレンの方を向きます。(第3巻22話)

次にアニメのフランメです。

マンガとは異なり、カメラは二人の背後にあります。ですから、この時のフランメの表情はわかりません。(S1-EP10)
(S1-EP10)
フランメはフリーレンの方を向いたまま「いいや」と答えます。この時、目は閉じています。「いいや」と言った後に、ゆっくり目を開きます。(S1-EP10)

まず、形式的なことから。マンガの場合、フランメは、体の向きを変えています。それに対して、アニメの場合、カメラは動きますがフランメは体を動かしません。表情だけ動かします。これにはアニメならではの事情(工数削減、コストカット)が影響しているかもしれません。

さて、ここからは、私の受けた印象です。(人によって受け止め方はそれぞれあると思います)

マンガのフランメは「後悔しているの?」と問われるとフリーレンに背を向けて「いいや」と答えています。今までフリーレンの方を向いて話していたのに、質問されて答える時になって背を向けてしまうというかなり目立った行動には作者の意図が込められているはずで、そこから何か意味を汲み取らないわけにはいきません(深い意味はなく適当に描いたとは思えません)。フリーレンを直視することを避けるフランメのこの行動には、真意を悟られまいとするフランメの心理が無意識に反映されてしまったと考えるのが自然だと私は思います。ですから、言葉と内心に齟齬があり、フランメは実際は後悔していると感じます。

それに対して、アニメのフランメから受ける印象は、マンガのフランメと比べると自信を持って「いいや」と答えていると感じます。ただ、「いいや」と答える時に目を閉じていることを考えると、微妙にはなってきます。

ですから、マンガのフランメは後悔していて、アニメのフランメは後悔していない(かな…?)、そんな印象です。

結局、フランメは後悔しているのか?後悔していないのか?

皆さんはどのような印象を持ったでしょうか?(特にアニメは言葉の調子等も含めての総合的な印象になるのでぜひ再視聴してみてください)

細かいなぁ、どちらでも良いではないか、人それぞれだろうと思われるかもしれません。

確かに、この時点(第3巻22話、S1-EP10)では一応そうなのです。

ただ、もう少し物語が先へ進むと話は違ってきます。

第5巻43話「特権」(アニメS1-21)を見てみます。フランメがフリーレンをゼーリエに紹介した場面です。

第5巻43話
S1-21

ここでフランメはゼーリエに対して「フリーレンは平和な時代の魔法使いだ」と自信を持って断言しています。

この二つの場面を合わせてみれば、フランメは「平和な時代の魔法使い」であるはずのフリーレンに「戦いのこと(復讐のための魔法)」しか教えてこなかったことになります。両親から教えてもらった、魔法が好きになったきっかけの、自分が一番好きな魔法である「花畑を出す魔法」さえフリーレンに教えていません。

第3巻22話

しかも、「魔法は好きか?」と問われて50年前に「大好きだとはっきり答えた」フリーレンの今の答えは、フランメとの修行を経て「ほどほど」に変化しています。

第3巻22話

言葉は少しきついのですが、フランメは魔法が大好きだったフリーレンを魔法嫌いにしてしまった、とも言えます。

そういった背景があっての「後悔しているの?」「いいや」です。

ですから、「戦いのこと(復讐のための魔法)」しか教えなかったことをフランメが後悔しているかいないか「どちらでも良い」とは私は思わないのです。

アニメ化に際してなぜこのような変更が行われたのか、考えてみるのもおもしろいと思います。私の考えは最初に挙げた記事で書いています。(再掲しておきます)

また、詳しくは別の記事にしようと思うのですが…。フリーレンに見られる「魔法が大好き」から「ほどほど」への変化は、全ての大魔法使いに生じた変化だと思います。ゼーリエ、ミーヌス、ミリアルデ(推定)、フランメ、フリーレン、フェルン(未来の大魔法使い)です。なぜそんな変化が生じたのかと言えば、戦うことを運命付けられてしまったためでしょう。


最後に、マガジンや過去記事の紹介です。《葬送のフリーレン》に関する記事は下記のマガジンにまとめています。

140本以上ありますが、最初の考察記事としてお勧めなのはこちらです。

これを読んだ上で、フランメ、ヒンメル、エーヴィヒなどで検索すると物語の全体像に関わる考察が出てきます。

本稿で扱った「平和な時代の魔法使い」に関してはこちらでも考察しています。

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