《葬送のフリーレン》好きなキャラ:ソリテール(知的誠実さを持った世界観の探究者)

ネタバレには配慮していません。

『葬送のフリーレン』の原作マンガはまだ読んだことがないという方には原作マンガを、既に読んだことのある方にはある一つの視点からの再読をお勧めしています。

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今「第3回キャラクター人気投票」の実施中なので、「好きなキャラ」について書いています。

今回はソリテール。アニメでは未登場なので、ネタバレありです。

※ これまでにユーベルとハイターについて書きました。

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ソリテールは考察勢に好まれるタイプだと思います。彼女が語る内容は『葬送のフリーレン』の世界設定に関する事柄が多く、考察勢にとっては一々面白いからです。

彼女の話題にそういった傾向が見られる理由は、彼女が世界観(世界はこういうものであるというものの見方)の探究者だからだと思います。

世界をよく観察して、自分の世界観と矛盾する点を見つけたら、世界観を修正して一貫したものに洗練させる。決して、観察した結果を歪曲して自分の世界観を維持しようとしたりはしない。自分の世界観を正すことを厭わない。むしろ、そこに喜びを感じる。

彼女にはそういう知的誠実さとでもいうべき気質があると思います。これが魅力です。彼女の知的誠実さが、彼女の世界観を『葬送のフリーレン』の世界設定に近づけて、明らかにすることに期待したくなります。(世界観の洗練を学問的に突き詰めれば哲学になります。私は哲学のことはわかりません)

日常的な生活において〔…〕形成される世界観は〔…〕大体において自然発生的であり、経験的な性格をもっています。ですから、その人のもつ経験の範囲によって結論が限定されがちですし、しかもその範囲を超えるとおかしなことがおこりがちです。そこで、このような世界観は首尾一貫しないのがつねです。〔…〕世界観が哲学となるためには、理性にもとづいて理論化・体系化される必要があります。あるいは、別の言葉で言えば、世界観は首尾一貫したものに「精錬」しつくさなければなりません。そうあってはじめて、「哲学」と呼ばれる資格があると思います。

仲本章夫「現代の流行思想」

ソリテールの研究テーマは「人類」です。(第10巻97話)

ですから、ソリテールは人類に興味を持っているということになりそうですが、でも、本当にそうなのだろうか?と思います。

何が言いたいかというと、たとえば、外国のことを知ることで自国のことがよくわかるということがあります。

ソリテールの私設水族館でのマハトとの会話を思い出してほしいのですが…。マハトは「人類について」知るためにソリテールの元を訪ねました。(第10巻88話)

しかし、マハトは「魔族について」も実はよくわかっていません。ですから、ソリテールはシャチ(哺乳類)とサメ(魚類)を比較しながら、まずは「魔族について」を説明します。すると、マハトの関心も「魔族について」に移っていきます。

このように、他人への関心は究極的には実は自分への関心で、ソリテール(とマハト)が本当に理解したいのは「私たちは何者なのか?」だと思います。だから、ソリテールは「収斂進化」にあれだけ夢中になれるのでしょう。

私たちはなんのためにこの世界に生まれてきて、死んでゆくのか。それを知りたい。身体の構造も脳の構造も異なる生物なのに人類と魔族は同じ姿をして同じ言葉を使い、しかし心のかたちだけは異なる。一体なぜ。

単なる自然選択の結果だ、生存のために有利だからそうあるだけだ、というのが魔王の教えでした。フランメもそうフリーレンに教えました。(第10巻88話、第2巻14話)

しかし、この魔族の起源に関する進化論は正しいのか?というのが読者の疑問です。

「魔族の祖先は魔物」なら、人類はサルから進化したの?神話の時代ってなんなの?天地創造の女神様は?ゼーリエは?誰がなんのために世界の法則を書き換えて魔法を生み出したの?なぜ人類よりも魔族の方がずっと上手に魔法を扱えるの?という話になってしまいます。

「魔族の祖先は魔物」という進化論は、解決する疑問の数よりも作り出す疑問の数の方が多いのです。(どちらの展開もあり得ると私は思います)

そして、この『葬送のフリーレン』の世界に関する読者の疑問を共有してくれるのは魔王の思想と袂を分つことになったソリテールしかいません。今の所、フリーレンはなぜかそこに関心を示しません。(もう少し帝国編が進むと、レーヴェやゼーリエ、デンケン、ゼンゼからある程度の説明があると思っています)

そこがまず一つ、ソリテールの魅力だと思います。

考察という観点からは、台詞が一番楽しみなキャラはもちろんゼーリエなのですが、ゼーリエはあまりお喋りは好まないようなので、ソリテールにもっとお話ししてほしいと思うわけです。

物語上の役割を考えると、ソリテールはまだ退場できないキャラだと思います。もしソリテールが退場するなら、後継者が登場するはずでしょう。

ちなみに、ソリテールとマハトはまだ終わっていないと思います。「それだけ知ってもらえれば今はそれで十分(それ以上は後で知れば十分)」と言ったまま、二人とも落命していますから。再登場すると踏んでいます。(第11巻103話)

ソリテールのもう一つの魅力は魔王との師弟関係だと思いますが、それは次回に。

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今回作文していて、ソリテールやマハトが知りたいのは、「人類について」ではなくて本当は「私たち魔族について」なのだと思いました。

翻って、フリーレンについて考えてみると、彼女は人間のことがわからないと言いますが、エルフについてはわかっているのでしょうか?

フランメの遺言状を持参した時に、フリーレンはゼーリエからエルフと人間のちがいについて説明されていますが、二人の会話は今一つ噛み合っていません。 クラフトには「俺たちはエルフってことだ」と言われてピンと来ていないような感じです。

おそらく、フリーレンも「私たちは何者なのか?」わかってはいないのだと思います。


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