連載小説 サンタドロップス(15)
思いもよらぬ再会に、俺は目を大きく見開いて体を硬直させた。
「あ、紹介するわね、こちら矢島あかねさん、太郎の野球チームの監督の娘さんなの」
と緑川さんの奥さんが言った。
「はじめまして、矢島あかねです、太郎君の専属コーチの方ですね、お話は伺ってますよ」
あかねさんはニコリと微笑んで俺に会釈した。
「は、は、はじめまして、、三田です」
驚きと緊張のあまり俺の声は裏返った。
そんな俺を見て、ふふふ、とあかねさんは笑った。
ああなんて可愛いんだ、なんてきれいな人なんだ、マスクの下のあかねさんの素顔が見たい、俺は胸がキュンと締め付けられるような苦しさを感じた。
ほら、太郎の打順だよ、緑川さんが指さした。太郎くーん、がんばれー!あかねさんが声を上げる。俺も続いて、太郎くん、思い切り行けー!と声を掛けた。
ストライーック!審判の声が響く、一球目、相手のストレートを太郎君は思い切り空振りした。二球目も太郎君は空振りしツーストライクと追い込まれた。
太郎、落ち着け、ボールをよく見ろ!俺は叫んだ。そんな俺を見てあかねさんが、三田さんって熱い人なんですね、と緑川さんの奥さんに言った。でも試合に夢中だった俺には全く聞こえなかった。
太郎君は俺の声に気付いて力強くウンと頷いた。
つづく
