連載小説 サンタドロップス(16)
相手ピッチャーのストレートは高速でキレもある。そう簡単には打たせてもらえそうに無かった。
三球目、またもピッチャーはストレートを思い切り投げ込んできた。太郎君のバットは空を切り、第一打席は三球三振。
試合は投手戦となり、両チームとも無得点のまま七回裏の最終回を迎えた。ツーアウトランナー無し、最後のバッターは太郎君だ。ここまでの太郎君は二打席とも三振。だが、相手ピッチャーのスピードボールにも少しずつ目が慣れてきた様に俺は思えた。
初球、自信を持って投げ込まれたストレートに太郎君のバットがかすった。よし、タイミング合ってきてる、俺は心でいけると確信した。
二球目のストレートを太郎君はファール、そして三球目、渾身のストレートを太郎君のバットがついに捉えた。
キーン!金属音を響かせ打球は高々と上がった。そしてボールは前進守備の外野の頭上を遥かに超え転々と対面のグランドの外野まで転がって行く。
走れー!太郎くーん!俺は叫んだ。太郎君は一塁、二塁ベースを回り、三塁を蹴った。やっとボールに追いついた外野から矢のような返球が来る。キャッチャーはボールをキャッチしヘッドスライディングする太郎君と交錯した。
セーフか、アウトか、微妙なタイミングだ。
つづく
