連載小説 サンタドロップス(28)
山道を登り切った所に小さな集落があり、その中の一軒が緑川さんの家だった。茅葺きの大きな三角屋根の日本家屋だ。玄関前で奥さんと太郎君が僕達を待っていてくれた。
「三田コーチ!あかねちゃん」
太郎君は俺とあかねさんに飛び付いて来た。
「いやあ、ここは素晴らしい所なんだけど太郎の小学校には野球部が無くてね、三田君久しぶりに太郎とキャッチボールしてやってくれよ」
「よーし!太郎君、やるか」
「やったあ」
俺は太郎君と庭でキャッチボールを始めた。太郎君のボールは以前よりスピードとキレが増している様に感じた。
「太郎君、良いボール投げるじゃないか」
「三田コーチ、僕ね、小学校に野球部を作るんだ!仲間も大分集まったんだよ、まだ九人いないけど、毎日みんなで練習してるんだよ」
「おお、それは凄いな」
「でもコーチがいないんだ、三田コーチがコーチになってくれたら良いのになあ」
太郎君の言葉に俺の心は揺れ動いた。
つづく
