連載小説 サンタドロップス(3)
「え、サンタ?」
「そうじゃ、ワシはサンタクロースじゃ」
俺は老人を足元から舐める様に見上げ、何を言ってんだ、この汚い爺さん、サンタだなんてボケちゃってるのか、と思いながら横目で老人を蔑むように見た。
「爺さん、どう見てもサンタには見えないよ、サンタは赤と白の服を着て、トナカイのソリに乗って」
「あのなあお主、今時のサンタはあんな格好しとらん、あんな服動きづらくて仕事にならん」
自称サンタの爺さんは自分のハゲ頭を擦りながら続けた。
「それにトナカイのソリなど乗らん、軽トラよ、軽トラ!アレは一番便利じゃ、プレゼントも沢山積めるしな」
「爺さん、サンタクロースなんている訳ないだろ」
俺が言い返すと、
「まだ信じとらんようだな、ほれ、周りを見てみい」
自称サンタの爺さんは顎で俺の左右を指しながら言った。
周囲を見渡すと、交差点を渡る群衆は皆まるで一時停止ボタンを押されたかのように動きが止まっていた。
「お主以外にワシの姿は見えとらんのじゃ、時間が止まっとるからのう」
つづく
