連載小説 サンタドロップス(6)
青の歩行者信号が点滅し赤に変わっても、俺は一人交差点のど真ん中に突っ立っていた。動き始めた車からけたたましいクラクションが鳴らされた。ハッと我に返った俺はドライバー達にペコペコ頭を下げながら交差点の対面まで渡り切った。
多くの人々が行き交う繁華街の歩道で、俺は今しがた起きた出来事を頭の中で整理していた。
俺の手の中にはドロップスの缶がある。さっき交差点の真ん中でサンタの爺さんから貰った物だ、ということはあの出来事は夢ではない。
俺はもう一度ドロップスの缶を眺めた。よく見ると昔食べたドロップスと商品名が微妙に違う。缶には「サンタドロップス」と書いてあった。
缶を振ってみると、カラカラと音がする、ぎっしり詰まっている音ではない。俺は缶のフタを開け、左の手の平に中のドロップを振り出した。
カランカランと缶の中から三個のドロップが出てきた。赤、緑、白、の三個のドロップ。缶を振ってみたがもう音はしない、この三個しかドロップは入っていない様だった。
何だよ、食べかけじゃん、と俺は呟いて、手の平の三個のドロップを落とさないように缶の中に戻した。
つづく
