連載小説 サンタドロップス(5)
俺は顔を上げてサンタの爺さんを見た。
「そのドロップはな、願いの叶うドロップじゃ、願いを込めて舐めると何でも叶う、但し一粒に願いは一つじゃ」
サンタの爺さんは人差し指を立てて言った。
「一つ注意がある、私利私欲に塗れた願いはだめじゃ、たとえ叶うても後で手痛いしっぺ返しが来るからな」
「あ、ありがとう、サンタの爺さん」
と俺が言うと、
「ようやくワシがサンタだと信じてくれたのう、おっといけない、仕事に行かんと、軽トラ路駐したままじゃ、最近はサンタ界のポリスも駐禁厳しいんじゃ、ではサラバじゃ、良い人生を送れよ」
そう言い残すとサンタの爺さんはニコリと笑って俺の目の前から突然消えた。
爺さんが消えたと同時に固まっていた群衆が一斉に動き始めた。俺はスクランブル交差点のど真ん中に立ち尽くしていた。
つづく
