連載小説 サンタドロップス(25)
緑川さんは、農業を継ぐ為に、生まれ故郷の紀伊半島に帰る事にしたと言う。高齢の両親が農業を辞めようとしていたらしい。
「オレは畑仕事好きだからね、いつかやりたいと思っていたんだ」
「そうなんですか」
「それに実家の隣の爺さんもブルーベリー農園を辞めるみたいで、継いでくれる人を探しているそうなんだ。出来たらそれもやってみようと思っている」
緑川さんは目をキラキラと輝かせながら言った。いつかまた緑川さんと仕事がしたいと言う夢は叶わないのか、俺は少し落胆した。
「紀伊半島には行った事あるかい?」
「いいえ、一度も」
「海あり山あり、良い所だぞ!あかねちゃんと遊びにおいで」
「はい!必ず行きます」
「三田のお兄ちゃん!僕引越しても野球続けるからね」
主力選手の太郎君が抜けるのはチームにとって大きな痛手だ。でも緑川さん家族の新たなチャレンジの為だ、応援しなければ。
「よし!太郎君、全国大会で会おう、約束だぞ」
俺は太郎君とエアゆびきりげんまんした。
つづく
