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連載小説 サンタドロップス(9)


毎朝行われる朝礼と言う退屈で無意味な儀式を終えると、社員達は次々と外回りに出て行く。

俺はポツンと離れた窓際の席に一人座っている緑川課長を見た。緑川さんは俺の以前の上司だった人。入社仕立てで右も左もわからない俺に、緑川さんはとても優しく丁寧に仕事のイロハを教えてくれた。

今の緑川さんの役職は担当課長、担当課長とはほぼ出世の見込みの無い人に与えられる、課長とは名ばかりの部下を持たない管理職だ。

緑川さんが担当課長になった経緯には、実は俺が深く絡んでいる。俺が起こした重大なミスを緑川さんは全て被ってくれた。会社に大きな損失を与えたとして、緑川さんは出世コースから外れてしまった。

今の俺の上司は緑川さんとは全く正反対の最悪な上司だ。部下の手柄は横取りするくせに、ミスは全て部下に押し付ける。上司には胡麻を擦り、部下はこき使う。

そいつは緑川さんより年下にも関わらず、下克上で課長に昇進すると、途端に緑川さんにタメ口を聞き始めた。こういうタイプが出世するのがサラリーマンの世界ならば、俺はおそらく出世出来ないだろう。

ああ、また緑川さんと一緒に仕事がしたいな、と思いながら窓際の緑川さんを見ていると、俺の視線に気付いたのか緑川さんがこちらを向いた。

俺と目が合った緑川さんはニヤリと笑ってピースサインをした。


つづく

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