見出し画像

連載小説 サンタドロップス(11)


俺は、外回りから会社に帰って残務整理をしていると、三田君、今日少し飲みに行かない、と緑川さんが声を掛けて来た。

はい!喜んで、俺は二つ返事をした。あのバイアルスのせいでここ何年か飲みに行けて無い。増してや緑川さんのお誘いとあらば断る理由など何処にも無い。

緑川さんと俺は、以前良く仕事終わりに行った馴染みの居酒屋に向かった。久々に会ったマスターはとても喜び四人掛けの席に通してくれた。

向かいの緑川さんとアクリル板で仕切られているとは言え、四人用のテーブルにゆったりと座れるのは悪く無い。これだけはあの憎きバイアルスがくれた恩恵とも言えるのだろうか。見知らぬ客と相席で肘を突き合わせながら飲んでいた昔が嘘の様だった。

緑川さんと俺は中ジョッキで乾杯するとグイグイと一気に飲み干した。久しぶりに味わう居酒屋の雰囲気に二人とも話が弾んだ。少し酔いが回って来た頃、緑川さんは俺にこう切り出した。


「三田君、実は君にお願いがあるんだ」


つづく

前のページ(10)←  →次のページ(12)

1ページから読む←




いいなと思ったら応援しよう!