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遅ればせながら今がようやく半生のなかでいちばん数学がわかるように


はじめに


 じっくり時間をかけたおかげでようやく数学をすこしだけ使い道を知れるように。すでに計算はそんなに速くなくなったが、それよりもどんなときに使えばよいかとか、おもしろさにやっと接することができた。

きょうはそんな話。

いっしょにまなぶ


 数学は学習サポートのしごとでやむなくはじめた。転職してすぐに各方面から数学を教えてくれないかの要望がありしかたなく着手したといっていい。そんなわけだから最初はしぶしぶで、すこしずつ理解できるところから生徒といっしょにまなんだと言っていい。

家族のなかでもっとも数学が苦手。わたしが難渋する数列の問題を夕食後に全員が解きはじめたということもあった。結果的にわたしだけが理解まで行き着けずに取り残された。ところがその苦手なものに取り組みはじめたわたしを見て、うちのこどもたちはいちばんできないわたしに越されてなるものかと結果的に懸命になっていたようす。そのおかげかわが子たちはそこそこ数学ができた。

つづけているうちに


 そんなふうにゆったりと4、5年のあいだどうにかこうにかしごとの予習で腰をすえて解いているうちに、お手本に近いかたちで計算や証明のプロセスを説明できるように。すくなくともセンターレベルから標準的な二次試験レベルならば内容を含め説明できるようになった。なるべく生徒たちの試験時間を意識しつつ、考える時間と解く時間を合算しただけの時間内で解ききるように説明していく。

それには冗長な解きかたはよくないし、かといって説明時に途中式を省いたのでは聴く生徒たちの理解が追いつかない。そこで途中式を省かずしっかり書きつつ、効率的な時間内で解ける方法を意識して予習する。

今やっていること


 いまは高校と大学をつなぐ数学が中心。一例をあげると、今年の大学1年生たちは高校で「行列」を学ばないまま大学に入学している。つまり大学で「線形代数」は初見となる。にもかかわらずあまり大学の先生方はそのあたりはあまり考慮してくださっているふうに見受けられない。とまどうのもしかたない。高校の指導要領がそんなふうになってしまったから。

わたしは研究だけでなく、学習面でも学生さんたちをサポートする役。こうしてじっくり取り組んできた数学の学習が役立っている。理系の大学ではどこでも行列をあやつる「線形代数」と極限や微積分をあつかう「解析学」はどこでもカリキュラムに存在する。

バインドする

 それだけに高校レベルの行列の理解は早い段階でマスターしておいたほうが大学でいきなり戸惑わないで済む。解析学にバインドする高校の数Ⅲ・数Cとておなじ。地方大学受験において数Ⅲ・数Cはかならずしも受験に課されているとは言い難い。極限の取り扱いや三角関数や指数・対数の微積分をろくすっぽ経験しないまま、生煮えの状態で理系大学に進んだ学生さんも多い。

大学の先生方はかならずしもこうした高校側の指導要領や学部ごとで入試に課されているか否かをつねに把握しているとは限らない。学生さんに伺うとどのくらいご理解いただけているのか皆目不明。以前の「行列」を高校で履修していた学生さんたちのころとさほど違いのない、段階があまりに急で内容が難しくなるままの内容の方もいると聞く。

苦手だったからこそ


 わたしは高校の途中で数学がわからなくなった。理由は「無限」についてとことん考えたり、ゼロで割る世界を夢想してみたりと横道に逸れることばかりに時間を使ううちにあれよあれよとわからなくなった。教科書レベルの計算をどうにか定期試験で赤点をとらずにギリギリでクリアする程度がやっと。この状態で大学へ入ってしまったものだからずいぶんと苦労した。

大学ではお情けで数学をきりぬけたと言っていい。その反省もあって学習サポートのしごとの予習ではなるべく真剣に数学に接するようにした。図書館の数学の書架から興味の湧きそうなものを選んで読み、偉大な数学者たちのうちたてたさまざまな分野を知れたし、さまざま見慣れぬ記号を駆使する数学の世界はわからない部分が数多あったが、関心はますますひろがった。

遅ればせながらようやく半生のなかで、いろいろ学んだなかでいちばん数学がおもしろい。すくなくとも興味だけは一人前に示すし、いろいろ学んできたなかでもっとも先をやりたいと思えている。

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