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地球を出発した宇宙船が月の影に入ってしまって起こる音信途絶の状態を想像した


はじめに


 ここ数日間、宇宙に興味をもつわたしはアルテミス2のようすを追ってきた。今回は月には着陸せず月への周回軌道をめぐって地球へと帰ってくる。次回以降の月着陸に向けた前準備と総点検といっていいだいじなミッション。そのなかで月の裏側にいる心持ちを想像した。

きょうはそんな話。

(タイトル写真は、家族のためにつくった昔ながらの製法の梅干し)

少年の頃から


 高校へ進学したときに入門者用の反射望遠鏡を手に入れた。たしか6万円半ばだった。わたしにとってははじめての大きな買い物。往復2時間半かけて高校に通い運動部で練習に明け暮れているなか、わずかな時間を見つけ、外へ望遠鏡をかつぎ出し、星や月を観察した。

中学校の頃には天文や宇宙関係の新聞記事はもれなく切り抜き、スクラップとしてその一字一句を追っていたし、カール・セーガンの『COSMOS(コスモス)』 の新聞連載を読み返した。高校通学で書店に寄りやすくなった機会に、この街の書店に天文関係でどんな書物があるか把握できるようになった。

NASAのしごと


 当時の世界では米ソを中心に有数の宇宙探査の実績をあげていた。ヨーロッパや日本をふくめた国々もそれに準じて成果をあげていたが、注目されがちなのは米国のNASAの斬新な探査。

バイキングやボイジャーと名づけられた無人探査機の惑星やその衛星の探査の成果は、いずれも目を見張るものばかり。後者のボイジャー1・2号は1977年に打ち上げられて以来、いまもって50年近く太陽系のかなたへと旅して交信データを送りつづけている。地球からどんどん離れて200億kmかなた。もはや太陽圏をはなれ、恒星間の宇宙を進んでいる。けなげな姿に心が打たれる。

アルテミスは


 かたや今回のアルテミス2は有人探査。4名の宇宙飛行士たちによる月への周回軌道の旅。50年あまり前の月着陸をめざすプロジェクトの一環で今回は着陸はしないが、月の裏側をめぐる。人類が最も遠くまで行って帰ってくる旅程でもある。

50年あまりまえの月着陸は見覚えがある。今のように美しいあざやかな画像でなく、ときより乱れる白黒画面。こどものわたしにはなかなか判別のむずかしいところもあったが、しっかり目に焼きついている。そののちくりかえし流れて何度か目にしているが、やはり感慨深い。

今回は月を目指すという目標は同じ。随時送られてくる宇宙船の内外の映像を見ると、やはり宇宙の旅は、コンピュータの支援を得やすくなったとはいえ容易でないのは以前とさほど簡単でない。それを至るところに感じる。ヒトを安全に月まで送り、無事に地球へと帰ってくる。これが宇宙空間ではいかにたいへんなことかひとつひとつ考えると途方もないのはあきらか。

操縦は


 おおかたの旅程はコンピュータと地上からのコントロールがなされているという。もちろん飛行したちも自分たちで操縦できるだけの訓練を受けて熟知はしている。いわば地上からの制御がなされている状況下での旅。

しかも慣性をとことん活用して、そのまま地球へともどってこれるように軌道を設計しているという。実際に今回、旅の途中で乗組員によるマニュアルモードでの操縦の訓練も計画されている(4月12日加筆:実際にはほかの作業に振り替えられた)。

おわりに

 月の裏側にまわりこむとそこでは地球との交信が途絶えてしまう。ふたたび地球との交信ができるまで40分間あまりを孤独にすごすという。その心持ちはどんなだろう。そのあいだ起こりうる万が一のトラブルへの訓練も怠りなくやっているらしい。

その宇宙船が月の影に入る音信途絶の状態とは。地球上で日々電波に浸って生活するわたしたちでは想像し難い。いっさい地球に頼れず、交信すらできない孤立の状態。すべては乗組員4人でおこなわなくてはならない。地球上のめぐまれた環境をあらためて思い返すことができる。

昨日、日本時間11日午前にアルテミス2は乗組員4人とともに無事に帰還した。着実にプロジェクトが進むことを願う。


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