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「ルールに書いてあります」で終われない

「これって、やっていいんでしたっけ?」

人事をしていると、こういう質問はよく来る。

確認すると、ちゃんと規程に書いてある。

しかも、そこまで難しいことは書いていない。

なので一瞬、
「そこに書いてありますよ」
と言いたくなる。

でも、話を聞いていると、だいたい続きがある。

「前は違った気がするんですけど」
「上司からは大丈夫と言われました」
「今回だけ事情が少し違っていて……」

“今回だけ少し違う”。

人事の仕事、この「少し違う」に結構時間を使っている気がする。

ルールはある。
でも、現実は毎回きれいに同じ形ではやってこない。
似ているけど違う。
前例はあるけど、完全には同じじゃない。
規程どおりに処理できそうだけど、少し引っかかる。

そこで雑に答えると、あとで別の人から、
「○○さんのときはOKだったらしいですけど」
と言われる。

こうなると、人事も過去を掘り始める。

メールを検索する。
昔の資料を見る。
記憶をたどる。

「これ、なんでOKにしたんだっけ?」

数年前の自分に聞きたい。
もちろん返事はない。
だから最近は、結論だけではなく、理由も少し残す。

何が通常と違ったのか。
何を見て判断したのか。
次に同じようなケースが来たら、どこを確認するのか。

こういうメモは、その瞬間は少し面倒である。

ただ、半年後の自分がものすごく感謝する。

人事の仕事は、ルールを守らせることだけではない。

ルールでは拾いきれなかった現実を見て、その判断を次に渡していくことでもある。

そして今日も、昔のメールを見つけて少し安心する。

「よし、ちゃんと理由まで書いてある」

書いたのは自分だった。
過去の自分、たまにはやる。

イレギュラーな対応は、その状況に応じて判断するしかない。

前の話は、前の話。
今は、今判断するだけだ。

他人の話は、他人の話。
あなたとは関係のないことだ。

ルールは、人々の願いから生まれる。
ただ、できたあとは、人々の願いとは関係なく
そこに感情はなく、無慈悲なものだ。

だからこそ、そこに血を通わせる人が必要だ。
人事は、平等ではなく、公正公平たれ。

自分に都合よく解釈するが多い。
自分だけは、今回だけは、例外で。
ルールの話をすぐ持ち出す人ほど、そういうことを言ってくる。

ルールは、ルールとして、ただ在るだけだというのに。
不思議なものだ。


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