人事担当者の日々のつぶやき #10
「ルールに書いてあります」で終われない
「これって、やっていいんでしたっけ?」
人事をしていると、こういう質問はよく来る。
確認すると、ちゃんと規程に書いてある。
しかも、そこまで難しいことは書いていない。
なので一瞬、
「そこに書いてありますよ」
と言いたくなる。
でも、話を聞いていると、だいたい続きがある。
「前は違った気がするんですけど」
「上司からは大丈夫と言われました」
「今回だけ事情が少し違っていて……」
“今回だけ少し違う”。
人事の仕事、この「少し違う」に結構時間を使っている気がする。
ルールはある。
でも、現実は毎回きれいに同じ形ではやってこない。
似ているけど違う。
前例はあるけど、完全には同じじゃない。
規程どおりに処理できそうだけど、少し引っかかる。
そこで雑に答えると、あとで別の人から、
「○○さんのときはOKだったらしいですけど」
と言われる。
こうなると、人事も過去を掘り始める。
メールを検索する。
昔の資料を見る。
記憶をたどる。
「これ、なんでOKにしたんだっけ?」
数年前の自分に聞きたい。
もちろん返事はない。
だから最近は、結論だけではなく、理由も少し残す。
何が通常と違ったのか。
何を見て判断したのか。
次に同じようなケースが来たら、どこを確認するのか。
こういうメモは、その瞬間は少し面倒である。
ただ、半年後の自分がものすごく感謝する。
人事の仕事は、ルールを守らせることだけではない。
ルールでは拾いきれなかった現実を見て、その判断を次に渡していくことでもある。
そして今日も、昔のメールを見つけて少し安心する。
「よし、ちゃんと理由まで書いてある」
書いたのは自分だった。
過去の自分、たまにはやる。
イレギュラーな対応は、その状況に応じて判断するしかない。
前の話は、前の話。
今は、今判断するだけだ。
他人の話は、他人の話。
あなたとは関係のないことだ。
ルールは、人々の願いから生まれる。
ただ、できたあとは、人々の願いとは関係なく
そこに感情はなく、無慈悲なものだ。
だからこそ、そこに血を通わせる人が必要だ。
人事は、平等ではなく、公正公平たれ。
自分に都合よく解釈するが多い。
自分だけは、今回だけは、例外で。
ルールの話をすぐ持ち出す人ほど、そういうことを言ってくる。
ルールは、ルールとして、ただ在るだけだというのに。
不思議なものだ。
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