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知ってるけど、言えないこともある

人事をしていると、たまに少し困る質問がある。

「○○さん、なんで休んでるんですか?」
「異動の理由って何ですか?」
「退職するって本当ですか?」
「あの件、人事は知ってるんですよね?」

知っていることもある。

でも、言えない。

ここが地味に難しい。

何も知らないふりをするのも変だし、かといって事情を説明するわけにもいかない。

なので、
「その件は個別の事情もあるので、お答えできないんです」
みたいな返しになる。
ときもある。

たぶん、聞いた側からすると少しモヤっとする。

「知ってるのに教えてくれないんだ」
と思われることもある。

まあ、そうなんです。
知ってるけど、言えないんです。

人事には、いろいろな話が集まってくる。

本人から直接聞くこともあるし、上司や会社から共有されることもある。

だからこそ、扱いを間違えるとまずい。

本人が人事に話したことが、いつの間にか職場で広まっていた。

そんなことが一度でも起きれば、「人事に相談しても大丈夫」という感覚は簡単に崩れる。

とはいえ、何でも秘密にすればいいわけでもない。

業務上、共有が必要なこともある。
上司に伝えないと対応できないこともある。
本人の希望だけでは決められないこともある。

毎回、「どこまで、誰に、伝えるか」を考える。

これが難しい。
この悩みと向き合い続けらるかどうかが
人事の適性とも思う。

たぶん人事の仕事は、情報をたくさん持つことより、持っている情報を雑に扱わないことのほうが大事なのだと思う。

なので今日も、
「人事なら知ってますよね?」
と聞かれたら、

少しだけ困った顔をしながら答える。

「知っていることもありますが、言えないこともあります」

あまり気の利いた返しではない。
たぶんそれくらいでいい。

答えないことにも勇気がいる場面がある。

わからないふり、知らないふりをしているときが多いかも。

どうしても、しつこいときは
「個人情報なので言えないですね。」

もし、さらに、しつこいときは
「そもそも、あなたが知る必要のないことです。」

という話だ。

他人の事情を詮索する時間があるのなら、
目の前の仕事に集中すべきだ。


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