見出し画像

【事例紹介③製造業】承継から3年──職人依存から脱却し、利益と人材が育つ工場に

※本記事は複数の事例を基にした再構成であり、個別の成果を保証するものではありません。

「先代の時代から“あの職人にしかできない”と言われ続けている」
「設備投資はしてきたが借入返済に追われている」
「受注があっても現場の負担が大きく、納期が遅れる」──。
製造業の承継でよく聞く悩みですが、A社長が承継した工場も同じ状況でした。
承継直後は借入金返済に追われ、職人依存で現場が停滞。人も育たず、社長自身が「何から手をつけて良いのかわからない」と悩んでいました。
しかし3年の伴走を経て、財務体質と組織は大きく変わったのです。


背景
A社長が承継したのは、地域で長年続く金属加工業。承継直後に直面した課題は次の通りです。

  • B/Sを意識せずに繰り返された設備投資→多額の借入金

  • 利益率の低い受注を続けていた→黒字のはずなのに現金不足

  • 先代を筆頭にベテラン職人に依存した工程管理→納期遅延・品質のバラつき

  • 人材育成が体系化されず若手が定着しない→見て盗めと言語化されていない

「父の背中を見てきたが、自分は現場経験が浅く、どう舵を切ればよいか…」と不安を抱え、相談いただいたのが最初のきっかけでした。


最初の半年──数字と工程の“視える化”
支援開始直後は、経営者と一緒に 「現場と数字をつなぐ仕組み」 を整えることに注力しました。

  • 損益計算に加え、製品別の限界利益を把握できる管理会計を導入

  • キャッシュフロー計算を整理し、借入金償還年数を算出

  • 工程ごとの工数を記録し、“誰が何時間かけているか”を可視化

  • 品質不良・納期遅延の原因を数値で分析できる仕組みを整備

これにより「どの製品が利益を生み、どの工程でロスが出ているか」が見えるようになりました。特に承継者は、もともと家業を継ぐつもりはなく、大手小売店で働いていました。しかし状況が変化したため承継することとなり、その経験を活かしてマニュアル化や属人化の排除を徹底的に行っていきました。


1年後──赤字案件の見直しと改善プロジェクト
取り組みから1年後には、会社に変化が出始めました。

  • 利益率の低い受注を見直し→赤字案件を受けない勇気を持てるように

  • 工程ごとに標準時間を設定→生産性が数値で把握可能に

  • 職人が抱えていたノウハウを若手と共有→OJTからマニュアル化へ

  • 現場会議で「どう改善すれば良いか」を議論→前向きな空気に

当初はベテランから「数字で管理なんて現場を知らないやり方だ」と反発もありましたが、小さな改善が利益につながると理解され、徐々に協力的になりました。また、指定レベルに到達すると配置換えを徹底的に行い、各工程を複数人ができる体制を構築していきました。


3年後──利益体質と人材育成が定着
伴走から3年、工場は次のように変化しました。

  • 借入金償還年数が数年短縮→黒字安定化と返済の見通しが明確に

  • 人時生産性が大幅に向上→同じ人員で売上を増やせる体質に

  • スキルマップを作成し、人材育成の方向性が明確化

  • 一人しかできなかった作業が複数人で対応可能に

  • 若手社員が定着し、「ここでキャリアを積みたい」と語るように

現場の声:
「前は“誰の機嫌を取るか”で仕事の評価が決まっていましたが、今は数字と仕組みで評価されるのでやりがいがあります。自分も若手に教える立場になれました。」


まとめ
製造業の承継は、設備投資や職人依存など「数字と人の両面の壁」が大きく立ちはだかります。
しかし、今回のA社長のように「視える化」「利益の再設計」「仕組み化」に取り組めば、会社は確実に変わります。
大切なのは、経営者一人で抱え込まず、現場と経営をつなぐ伴走者と共に小さな一歩を積み重ねること。
それが、利益体質と人材育成を両立させる第一歩になります。


※事例は複数事例を組み合わせ、一部加工しています。実在の企業・人物とは関係ありません。また、成果はあくまで一例であり、すべての企業に同様の結果を保証するものではありません。相談内容により、公的機関の専門家や他の士業のご紹介を行う場合があります。

次の記事

前の記事




📌 あなたの工場は大丈夫?
製造業の「よくある落とし穴」チェックリスト
□ 借入金償還年数を計算したことがない
□ 製品別の利益が把握できていない
□ 工程が職人依存になっている
□ 若手が育たず定着しない
□ 納期遅延や品質不良が慢性化している
✅ 1つでも当てはまった方へ
まずは「製品別の限界利益やかかっているコスト」を確認してください。
→ 赤字製品を作り続けていないか要注意です。
✅ 3つ以上当てはまる方は、初回60分無料相談へ
👉 現場経験に基づく"すぐ使えるアドバイス"をお届けします。
📩 初回無料相談はこちらから

著者プロフィール
熊谷 篤(くまがい あつし)
実戦経営アドバイザー/中小企業診断士

年間400件以上の経営相談を行い、承継後の経営者や製造業を含む中小企業を中心とした伴走支援を実施。
VCでのIPO支援や年商100億円規模企業の改善支援など、多様な現場で成果を創出。

いいなと思ったら応援しよう!

実戦経営アドバイザー熊谷篤 よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動に使わせていただきます!