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なぜ経営者は、一人で考え続けてしまうのか

「もう少し考えてみます。」

私は、この言葉を何度も聞いてきました。

そして、その数か月後。

「あの時、もっと早く相談すれば良かったです。」

という言葉も、何度も聞いてきました。


もし今、
休日なのに会社のことが頭から離れない。
夜中にふと目が覚めて、資金繰りのことを考えてしまう。
家族と食事をしていても、社員や幹部のことが気になる。

「この判断で良かったのだろうか。」

そんなことを毎日考えているなら、
この記事は、あなたのための記事かもしれません。


私は年間400件以上の経営相談をしています。

相談に来られる経営者は、
決して考えていない人ではありません。

むしろ、その逆です。

誰よりも会社のことを考えています。

社員を守りたい。
会社を成長させたい。
失敗したくない。

責任感が強いからこそ、

「自分で何とかしなければ。」

と思ってしまいます。


でも、現場で相談を受けていて感じることがあります。

考える時間が長い会社ほど、良い意思決定をしているとは限らない。

これは、とても残酷な現実です。


以前、ある後継者の方が相談に来られました。

「毎日会社のことを考えているんです。」

そう話されました。

詳しく聞くと、
本も読んでいました。
セミナーにも参加していました。
専門家にも相談していました。

それでも会社は動いていませんでした。

そこで私は聞きました。

「この一週間で、新しく考えたことは何ですか。」

しばらく沈黙した後、その方は苦笑いしながら言いました。

「……同じことを繰り返し考えていただけでした。」

私は、この言葉が忘れられません。


考えることと、
前へ進むことは違います。

同じことを何十時間考えても、
意思決定は進まないことがあります。

そして、その間も会社は待っています。

社長が決めない。
幹部は動けない。
社員は様子を見る。
銀行への相談も遅れる。
採用も止まる。
設備投資も先送りになる。
新規事業も進まない。

止まっているのは、
社長一人ではありません。

会社全体です。


以前、相談を終えたある経営者の方が、こんなことを話してくださいました。

「SNSやホームページを見ただけでは、何をしてくれる人なのか正直よく分かりませんでした。」

「でも実際に話してみて、ようやく価値や違いが分かりました。」

理由を尋ねると、その方はこう続けました。

「自分一人で考えていると、どうしても同じ視点になります。」

「でも熊谷さんは、本当にたくさんの会社を見てきていますよね。」

「特に、うまくいった事例だけでなく、失敗した事例も数多く見てきたからこその質問なんだと感じました。」

私は、この言葉がとても印象に残っています。

経営者は、自分の会社のことを誰よりも知っています。

だからこそ、
自分の視点だけでは気付けないことがあります。

経験を積めば積むほど、
自分なりの成功パターンや判断基準ができていきます。

それは大切な財産です。

しかし、その判断基準が今の状況に合わなくなっていても、自分では気付きにくいものです。

だから私は、

答えを押し付けるのではなく、
「似たような状況の会社では、何が起きたのか。」
「どこで意思決定を間違えたのか。」
「何が会社を前へ進め、何が止めてしまったのか。」

これまで現場で見てきた数多くの事例をもとに、一緒に整理します。

成功事例は参考になります。

でも、本当に意思決定の精度を高めてくれるのは、失敗事例です。

「この順番で進めた結果、資金繰りが苦しくなった。」
「このタイミングで採用したことで組織が混乱した。」
「目的と手段が入れ替わり、時間もお金も失ってしまった。」

そうした事例を知っているからこそ、
自分の会社を客観的に見ることができるようになります。


経営者という仕事には、資格がありません。

税理士のような国家資格もなければ、
弁護士のような専門教育もありません。

それでも、
会社の未来を左右する意思決定は、
すべて経営者が行います。

一方で、
経営者は税理士に税務を相談し、
社労士に労務を相談し、
弁護士に法務を相談します。

それぞれの専門家の知見を借りながら、
最後は自分で判断しています。

しかし、不思議なことに、
経営そのものだけは、一人で考え続けようとする経営者が少なくありません。

それは、「経営の方針を決めることこそが、社長の役割だ」と無意識に考えているからかもしれません。

だからこそ、人に相談することに、どこか抵抗を感じてしまう方も少なくありません。

経営は、
税務や法律以上に、
正解が一つではない世界です。

だからこそ、
自分とは違う視点や、
多くの成功・失敗事例を見てきた人と議論する価値があります。

最後に決めるのは経営者です。

しかし、
決める前に視点を増やすことも、
経営者の大切な仕事ではないでしょうか。

私の仕事は、あなたの代わりにハンドルを握ることではありません。
助手席に座り、死角にいる他車の存在(他社の失敗事例)を伝え、ナビを見ながら一緒にルートを整理する。

そして最後にアクセルを踏むのは、あなた自身です。


成果を出している経営者に共通していることがあります。

それは、
優秀だからではありません。

悩まないからでもありません。

一人で考え続けないことです。

必要なときに、
必要な視点を集め、
考えを整理した上で、
最後は自分で決めています。

だから、
判断が早くなり、
会社も前へ進みます。


今日の整理

もし今、

・休日も会社のことばかり考えてしまう

・「もう少し考えよう」が何週間も続いている

・情報は増えているのに決められない

・幹部に方針を聞かれても、自分の中で整理できていない

・毎日忙しいのに、前へ進んでいる実感がない

そんな状態なら、

足りないのは知識ではないかもしれません。

必要なのは、

もっと考えることではなく、

考えを整理する時間です。

経営者の仕事は、

何でも知っていることではありません。

必要なときに、必要な視点を集め、最後は自分で決めることです。

私は、その意思決定を代わりに行う人ではありません。

経営者が、自分で納得して決められる状態を、一緒につくる外部CPUです。


次回予告

第5話では、

「相談が早い会社と、手遅れになる会社の違い」

というテーマで、

私が年間400件以上の経営相談を通じて何度も見てきた、「もっと早く相談すれば良かった」と言われる会社の共通点についてお伝えします。


※本記事の事例は、守秘義務に配慮し、一部内容を変更・再構成しています。

もし今、一人で考え続けていることがあるなら、一度整理してみませんか。

私は、事業承継後の後継者、第二創業、新規事業責任者を中心に、経営者が自分で意思決定できる状態をつくる伴走支援を行っています。

▼初回相談・お問い合わせはこちら

熊谷 篤
実戦経営アドバイザー/中小企業診断士

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