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私は答えを教える人ではありません

「何人かに相談したんですが、みんな言うことが違うんです。」

この言葉を、私は何度も聞いてきました。

銀行はこう言う。
税理士はこう言う。
知人の経営者はこう言う。
セミナーではまた違うことを言う。
本やYouTubeを見れば、さらに別の答えが出てきます。

情報は増えているのに、前へ進めない。
そんな経営者は少なくありません。

だから最後に聞かれます。

結局、私はどうすればいいんでしょうか。


私は、その質問にすぐ答えることはありません。

まず聞くのは、
「○○さんは、どういう会社にしたいと思っていますか。」
ということです。

意地悪をしているわけではありません。

経営に正解はないからです。

会社の規模も違う。
財務状況も違う。
社員も違う。
家族との関係も違う。

目指す未来も違います。

同じ答えが、すべての会社に当てはまることはありません


以前、ある後継者の方が、
「新規事業を始めるべきでしょうか。」
と相談に来られました。

もし一般論だけで答えるなら、

「市場調査をしましょう。」
「事業計画を作りましょう。」

そんな話で終わります。

でも実際に話を聞くと違いました。

設備投資も控えている。
資金繰りにも余裕はない。
既存事業の利益改善も途中。

新規事業が悪いのではありません。

今ではない。

それが、その会社の現実でした。

一緒に整理していく中で、その経営者はこう言われました。

「本当は、新規事業をやりたかったわけじゃありませんでした。」

「会社を良くしたかっただけでした。」

相談のテーマは新規事業でした。

でも、本当のテーマは会社全体の優先順位だったのです。


私は相談の中で、答えよりも質問を大切にしています。

「なぜ、それをやりたいのですか。」
「その判断で、一番守りたいものは何ですか。」
「もし逆を選んだら、何が起きますか。」

質問を重ねる理由は一つです。

人は、自分で納得したことしか、本気では行動できないからです。

どれほど立派なアドバイスでも、
腹落ちしなければ実行できません。

反対に、自分で整理して決めたことは、驚くほど実行できます。


だから私は、答えを押し付けません。

もちろん、経験から見えているリスクや選択肢は率直にお伝えします。

現場で見てきた事例も共有します。

私ならどう考えるかも話します。

でも、それは判断材料の一つです。

最後に決めるのは、経営者自身です。


相談が終わる頃、よく聞く言葉があります。

「答えを教えてもらえると思って来ました。」

「でも帰る頃には、自分で決められるようになりそうです。」

私は、この言葉が一番うれしいのです。

私の仕事は、答えを渡すことではありません。

経営者が、自分で納得して意思決定できる状態をつくることです。

その状態になれば、次に新しい問題が起きても、自分で判断し、前へ進めます。

私は、その力を一緒につくる伴走者でありたいと思っています。


今日の整理

もし今、

・誰の話を信じればいいのか分からない
・調べれば調べるほど迷ってしまう
・正解を探し続けて動けなくなっている

そんな状態なら、
足りないのは知識ではないかもしれません。

必要なのは、もう一つ情報を増やすことではなく、
自分にとって何が最優先なのかを整理する時間です。

私は答えを教える人ではありません。

経営者が、自分で納得して意思決定できる状態をつくる人です。


次回予告

第4話では、

「なぜ経営者は、一人で考え続けてしまうのか」

というテーマで、多くの経営者が相談したいと思いながらも、一人で抱え込み続けてしまう理由について、現場で見えてきたことを書きます。

※本記事の事例は、守秘義務に配慮し、一部内容を変更・再構成しています。


もし今、頭の中が整理できず、何から手を付ければいいか迷っているなら、一度整理してみませんか。
私は事業承継後の後継者、第二創業、新規事業責任者を中心に、経営者が自分で意思決定できる状態をつくる伴走支援を行っています。
▼初回相談・お問い合わせはこちら

熊谷 篤
実戦経営アドバイザー/中小企業診断士

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