あなたは、やっと日本の友達や家族に会えて嬉しい?
それとも、ニュージーランドが寂しくなるのかな。
きっとその答えは、両方なんだと思う。
空港の朝は、少し湿った空気とコーヒーの匂いが混じる。
あの大きなガラスの向こうには、もう何度も見慣れたニュージーランドの青空が広がっているはずだ。
でも今日は、景色が少し違って見えるはず。
「ただの通学路」だったはずの道が、急に特別に見えてしまう日。
それが、留学の終わりの日なんだろう。
あなたは今、スーツケースを引きながら、心の奥でざわざわとした感情を抱えている。
日本に帰れる喜びと、ここを去らなければならない寂しさ。
まるでレモンとオレンジを一緒にかじったような、甘酸っぱくて複雑な気持ち。
ホストマザーに家を追い出された日。学校で最初に英語が通じなくて泣きそうになった日。
ホストファミリーの犬にベッドを占領されて、寝不足のまま授業に出た日。
週末に友達と海へ行って、潮風と笑い声で顔がしょっぱくなった日。
全部が「普通の日」だったはずなのに、振り返ると輝いて見える。
きっと、未来のあなたは言うだろう。
「もっと勇気を出して話せばよかった」
「もっと写真を撮っておけばよかった」
「もっとありがとうを伝えればよかった」
でも同時に、こうも思うはずだ。
「よく頑張ったね」
「ちゃんと自分の目で世界を見たね」
「ここでしかできない出会いを大事にしたね」
バス停で笑顔をくれた見知らぬ人。
テスト前に一緒に勉強してくれた友達。
誕生日の日にお寿司をブランチとして出してくれて、「日本を思い出すでしょ?」って言ってくれたホストマザー。
彼らの存在は、あなたの英語力以上に心を豊かにしてくれた。
「外国人」として出会ったはずが、気づけば「とっても大切な人」になっている。
別れ際に涙を流すかもしれないし、強がって顔は強張りながらも笑って手を振るかもしれない。
でもそのどちらも、あなたが本気でこの時間を生きた証拠だ。
さて、飛行機に乗り込むあなた。
窓から見える雲の下に、ニュージーランドの大地が小さく小さく遠ざかっていく。
その瞬間、あなたはどんな言葉を心の中でつぶやくだろう。
「さよなら」かな。
「またね」かな。
それとも、もっとシンプルに「ありがとう」かもしれない。
大丈夫。
どの言葉でもいい。
なぜなら、この国で過ごした時間は、もうあなたの体の中にしっかり根を張っているから。
未来のあなたは、きっと壁にぶつかったとき、ふとこの日を思い出すだろう。
泣きながら必死で英語を話そうとしたあの日も、
夕焼けを見ながら「ここに来てよかった」と思ったあの日も、
全部が未来を照らす灯りになる。
留学が終わる日のあなたへ。
どうか泣いてもいい。
どうか笑ってもいい。
だって、そのどちらも、あなたが「生き切った証」だから。
そして帰国したあとも、この経験は終わらない。
ニュージーランドでの日々は、これからのあなたの中でずっと熟していく。
まるで柑橘の果実が、時間をかけて甘さと酸味を深めていくみたいに。
だから胸を張って飛び立ってほしい。
「私はここで生きた」と言える自分を、未来に連れて帰ってほしい。
そして、自分に言ってやって欲しい。
「お疲れ様、よく頑張ったね」って。
その瞬間のあなたは、夕暮れに光るレモン色の空みたいに、少し苦くて甘い輝きを放っているはず。
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