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喜望峰周りのワインってサステナブルですか?~わこさんのワイン片手の経済視点~

(第七十八回)欧州以外の産地のいろんなタイプのワインに接するきっかけになるかな

前回は「水破産」からコーポレートガバナンスへのお話

前回は、「水破産」などという、刺激的なワードを切り口に、コーポレートガバナンスの考え方に「ダブル・マテリアリティ」つまり自社の活動が経済や社会といった経営環境にどのような影響を与えるのか、ということも考慮する必要性が出てきたかもしれない、というお話をしました。企業価値を考える要素がさらにややこしくなりますが、「正しい利益」って何でしょう?というところにも話が膨らみました。わこさん的には書いてて楽しいお話でした。

ドナルドのおかげで世界の物流が影響されてます

さて、ドナルド・トランプ大統領のオンステージ(一人プロレス?)で不安定な中東情勢が続く中、世界の物流が大きな影響を受けています。わこさんの身体を流れるワインもご多分に漏れません。

欧州ーアジア航路は「大航海時代」に逆戻り?

ホルムズ海峡が事実上封鎖されてペルシャ湾の原油・LNGが閉じ込められているだけではなく、イエメンあたりからの妨害も考慮して、紅海・スエズ運河ルートも回避しようという流れになっています。ヨーロッパとアジアを結ぶ船の物流は「石器時代」までは戻らないまでもバスコ・ダ・ガマの時代、大航海時代に戻ってしまったかもしれません。

コストも環境負荷も増加

遠回りですから、当然輸送距離も長く、時間もかかり、GHG排出量もより多くなります。
最近の仲良しGemini君に、ワインボトル一本あたりどのくらいの環境負荷と輸送コストが上乗せされるのか、調べてもらいました。生成AIですから、間違えるかもしれませんが、そんなに違和感がないのでこの数字を使おうと思います。

ざっくり比べます

欧州から東アジアまで、発着の港によって距離などは変わりますが、ざっくりやります。

TEUは20フィートコンテナ1個分を基準とした標準単位。Gemini調べなので、正確性は保証しません。

海上輸送にかかるCO2排出量が3割増

この20フィートコンテナ1個に12,000本〜15,000本のワインが積まれていると仮定すると、1本あたりのCO2排出量は約25〜35g増加することになります。ワイン1本の「海上輸送」にかかるCO2排出量は通常100g〜150g程度とされているので、輸送に関する排出量が3割増、ということです。

ボトル換算で10~20円コスト高

また、コストについては、運賃や保険料、燃料サーチャージ次第ですが、ラフに言って1本あたり10~20円くらい上がるんでしょうか。到着時期が見通せなくなる分、倉庫管理、在庫管理などのコストも上がるんでしょうね。インポーターさん、流通業者さん、大変です。

大したことない、とか言えなそう

一本当たり10~20円なら大したことないじゃん、と思うかもしれません。プレミアムワインしか飲まない人には意味ないかもしれませんが、インポーターさんには結構大変ですよね。ボトルで輸入するワインについては、インポーターのマージンは10~15%くらいと想定されます。希望小売価格4000円のワインなら400~600円です。

利益率は間違いなく圧迫

ここからインポーターさんの人件費、宣伝費などの固定費が差っ引かれて利益になるわけです。マージンに対する人件費、固定費が合わせて7割になっちゃったりすると残りは120~180円。希望小売価格に対して3~4%という利益率ですから、そのくらいになっちゃうことはあり得るでしょう。ここから10~20円って大変だと思いませんか?

プレミアム価格帯のワインは値上げしても売れます、きっと

小売価格が上げられればそれでいいんでしょう。プレミアム価格帯については、それはできます。プレミアムワインの愛好家の皆様は輸送コストを価格転嫁しても、何なら環境負荷分を罰金として上乗せしても(実際にそんなことはないですが)買うんでしょう。タンクで輸入して、国内でボトリングして流通するような、普及価格帯の(コンビニで売ってるような)ワインも、大量生産による単価ダウンの効果で吸収して何とかするでしょう。

ミドルレンジが問題かな

多分、問題はその中間。上で試算したみたいな、ボトルで輸入して日本国内に販売するようなクラスのミドルレンジのワインなんでしょう。小売業者さんや飲食店さんは環境負荷が増えようと、輸送コストが上がろうと、機会損失を避けるために頑張って供給します。

ワインはQOLを高めてくれる代替の効きにくい商品ですが…

一方、普通の人にとって、ワインは生活必需品ではないかもしれませんが、日々の生活の中でQOLを高めてくれる代替の効きにくい商品です。ただし、価格が上がらなければ…ですが。
どうしましょう?

「よりましな」悪影響度のワインに目を向けたら?

悪影響を受けるとしても、「よりマシな」影響度のワインがあれば、そっちに行っても良くないでしょうか?もちろん、供給側を見ると、世界のワイン生産の6割がヨーロッパ、ワインと言えばヨーロッパ産、という現実はありますから、販売量の確保という点ではヨーロッパからの輸入を外すことは難しいです。

様々な戦略物資でも供給元の多様化は行われています

また、小売店、飲食店でも「当店はイタリアワイン専門です」、とか言われたりする場合は難しいのですが、供給元の多様化は考えられませんか?似たようなことはワインだけでなくて、様々な戦略物資で行われているわけです。
イワンやワインをや。

消費者を主役で考えると供給責任とも言えます

これは、サプライヤーが消費者にリーズナブルなワインを届けるための責任にもなるんじゃないでしょうか、とか言うのは相当乱暴な話だ、というのはわかってます。特に、インポーターさんや現地のエージェントさんは現地の生産者とのコネクションの維持とかもしていかなきゃいけなくて、そこに金銭的、人的なコストが継続的にかかってたりするわけです。

リスク管理としての「南半球シフト」

でも、飲み手の立場になってかんがえたら、輸送コストの上昇幅はフランスワインより南半球の産地の方が小幅かもしれません。

冷静に、日本の消費者(飲み手)主役でワインのサプライチェーンを考えたとき、(コスト面で)欧州のカントリーリスクを考えなきゃいけなくなったという状況かもしれません。だったら、そのリスクをどうコントロールするかを考えましょう。つまり感情的な「ヨーロッパ信仰の見直し」ではなく、リスク管理としての「南半球シフト」ということです。

ここでのターゲットはボトルワインの話なので、バルク輸送(タンク)は関係ないですが、バルク輸入で国内ボトリングだと、輸送ルートの混乱も少ないです。燃料費の上昇はありますが、安定供給はできますし、1本当たりのCO2排出量をさらに30〜40%削減できるという試算もあります。

もちろん、ボトル輸入でも環境負荷の軽減はできるでしょう。インポーター、流通業者としてはサプライチェーンの安定と合わせて「遠くのボトル」より「効率的な南半球」ということになりませんかね。

問題は消費者啓蒙というか、マーケティングかも

このあたりって、チリにしろ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカにしろ、まだまだ消費者の啓蒙というか、マーケティングができていないところかもしれません。

オーストラリアの巨大ブランド、わかりにくい

オーストラリアでいえば、ペンフォールズという巨大ワインブランドがあります。15万円くらいする最高ランクの「グランジ」から、小売価格2000円台の入門レベル「クヌンガ・ヒル」シリーズまでワイドレンジです。ただその間の、小売価格で5000円から20000円くらいのレンジのワインが正直わかりにくい。

レンジごとのワインがわかりにくければ売りにくい

いろいろなワインに「BIN○○」という形で番号付けてあるんですが、知らない人には何のことやら。例えば「BIN407」と「BIN707」はよく似てるけど何が違う?両方ともカベルネ・ソーヴィニョン100%のワインです。707は「カベルネのグランジ」と言われる最高峰のワインで10万円近くしますが、407は少しランクの落ちる、2万円くらいのワインです。

ボルドーの格付けみたいなわかりやすさはないですから、いくらオーガニックでも、輸送を含めた環境負荷が低くても、売りにくいんじゃないでしょうか。ここを消費者目線でわかりやすくしてあげればいいのにな、とか思ったりします。

ワインを売るときのストーリーだっていろいろありまっせ

あと、ワインでは「ストーリー」とかも重視されたりします。南米には欧州系のワインメーカーや資本が合弁も含めて進出したりしています。何回か前に、クリスタル製品で有名なスワロフスキーがアルゼンチンに進出したのはいいですが、お家騒動の結果ボデガ・ノートンが破綻したお話を紹介しました。

欧州からの進出例はストーリーになりやすそう

でも、成功したケースも多数あります。ボルドーのシャトー・ムートン・ド・ロスチャイルドがチリに進出してコンチャイ・トロと合弁で造ったアルマヴィーヴァはチリのプレミアムワインの一つですが、それ以外も多数進出しています。

例えば、チリのラポストール

例えば、チリのラポストール(Lapostolle)というワインメーカーがあります。こちらは、フランスのリキュール「グラン・マニエ」の創業者の子孫がチリで創ったワインメーカーです。フランスの伝統的な醸造技術をチリのテロワールに移植することを目指して設立されたそうです。

銘醸地でビオロジック認証受けてます

チリのコルチャグア・ヴァレーの中でも銘醸地とされるアパルタのDO(地理的表示)を取得しています。同時にECOCERT(エコセール:フランスに拠点がある国際的なオーガニック認証機関)によるビオロジック認証を受けており、持続可能な農法を徹底しています(ちなみにB Corp認証も取得してます)。

ミドルレンジのワインにサックリング93点!!

その中で、手を出しやすいミドルレンジ(日本での希望小売価格4000円くらい)の「キュヴェ・アレクサンドル2022」をご用意しました。こちらはメルロー85%カルメネール15%というブレンドのワインですが、世界的なワイン評論家ジェームス・サックリング氏が93点をつけているそうです。

家飲みです。アフィリエイトではありません、念のため。

欧州の高級ワインに匹敵するクオリティ(93点)とストーリーを具え、数分の一の価格のワインがここにあります。さあ、どうしましょうか?

チリのワイン産業はネタの宝庫だったりします

ちなみに、わこさんは結構チリのワイン産業、ワインメーカーのお話を取り上げていますね。内需が輸出に比べて少なく、グローバルなワイン市場の動向や気候変動の影響を受けやすく、しかもシェアの大きな企業が存在しているので、産業としてのワインを扱うときに興味深い事例が結構見つかるんです。もちろん、クオリティとプライスのレンジが広いので需要面からも供給面からもいろんな切り口があるんですよね。ただ、ワインについての知識の深さや量を求める方々とは話が合わなかったりします。

いずれにせよ、ワイン飲みながらこんな話してたら大半の人はどっか行っちゃいます(笑)。最後まで楽しくお読みいただいた方、お友達になってください。

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