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【フォトアルバム】冬の光 vol.1


Eragrostis ferruginea(カゼクサ)

四季折々、カゼクサを撮る。
葯が出る季節には葯を。結実すればその様子を。抜け殻になればその姿を。

誰にでもすぐ撮れる、希少性のない光景であっても、
市民がこんな写真をアップしてきたら僕は驚く。
「一体どこで、その目を手に入れた?」
その人はきっと、「私、カゼクサが好きなんです」と答える。
「撮る」とは、撮影者が被写体に価値を見いだしていることに他ならない。


Poaceae(イネ科不詳)

このタイプの絵は、画像処理で作れそうだ。
「マクロ写真風に加工する」というメニューを選ぶ形で。

この画像は加工ではない。
口径の大きなレンズで、実写していた時代があるんだ。
マクロ撮影を専門とする者でなければ、この状況でシャッターを押さない。
マクロ写真風という画風を確立し終えて、旧時代の写真家は消えていく。

たぶん、将来、望遠風の加工もできる。
重いレンズが不要になっても、画風を確立した事実はなくならない。

絵画には、「被写界深度」の制御で絵を作る感覚がない。
数世紀経ったころ、僕らは丸めて「焦点派」と呼ばれることになる(大嘘)


Hydrangea sp.(アジサイ属)

アジサイの花は、冬場、レース細工になる。
レース細工は、マクロレンズを手にいれたら、撮りたい被写体の一つ。

葉はレース細工になりにくい。
クチクラ層で覆って耐久性を持たせているせいだろうか。

葉のレース細工は、水酸化ナトリウム溶液で葉を煮ると人工的に作れる。
高校で生物部の部長をしていたとき、文化祭で葉脈のしおりを配った。
大変、好評で、即、無くなり、噂を聞いて理科室に来た生徒に謝罪した。
イベントのプレゼント企画としてよさそうに見える。


Quercus acutissima(クヌギ)

どんぐりの同定は難しいが、「クヌギならわかります」という人が多い。
ずんぐりした形がかわいい。葉は、どの樹種より長い。
僕が最初に覚えたどんぐりの木はクヌギだった。
記念すべき識別一号の種に栄えあれ。


Platanus sp.(スズカケノキの一種)

スズカケノキという和名は、詩情があってよい。
そう思っていたのだが・・・。
あるとき、スズカケとは、山伏の装束につける「篠懸」のことだと聞いて、ちょっとガッカリ。
そういえば、山伏の衣装には、謎のポンポンがついている。
クリスマスツリーみたいに、鈴がぶらさがった木ではなかったのか。
いいさ、僕的には鈴のままで。


Quercus serrata(コナラ)

自然に、その精緻さを見せてもらえることは喜びだ。

先日、『スノーフレーク』 (山と渓谷社)を読んだ。
科学書だが、本文を抜きにして、写真集としても楽しめる。

農民ウイルソン・ベントレーは、雪の結晶に魅せられ、
生涯を、雪の結晶の顕微鏡撮影に費やしたという。
精緻への偏愛は、昔も今も、熱いのだった。


Acer pictum(イタヤカエデ)

カエデ類はチートだ。
山盛りの落ち葉の中でさえ、「センター」の宣言をする。
葉の形を見たヒト種に、「この木を植えよう」と言わせる。

ヒトが5の放射形に惹かれる理由はわかっていない。
手に指が5本あることと、関係があるかもしれない。
近年の脳科学は、ヒトが顔に特別な注意を向けることを明らかにした。
眼球運動測定装置は、顔の次に、手に着眼する様子を捉えている。


Quercus sp.(コナラ属)の実
葉は、左手が推定 Fagus japonica(イヌブナ)、右手がQuercus crispula(ミズナラ)

標高の高い場所がブナの単林になりやすいのと比較して、
低層では複数の樹種からなる混合林になる傾向がある。
その混合林は、しばしば「雑木林(ぞうきばやし)」という名で呼ばれる。

僕は、呼称「雑草」「雑木」を否定したことがない。
単化されていない、多様性に満ちている、というポジティブな意味で使う。
「雑然」、「雑多」は、
生態系に柔軟性を持たせ、不毛化に抵抗する因子として作用する。


シダ不詳 (移動再掲)

シダの中には、冬になると色素が抜けて、白化するものがある。
幽霊っぽくて不思議な感じがする。
ムーミンに出てくる架空の生物、ニョロニョロみたいな感じもある。

考えてみれば、色素が分解したあとは、白くなるのが自然に思える。
枯れ草が茶色になるのはなぜだろう?
学校で教えてくれる褐変現象は、メイラード反応ぐらいしかない。
単糖は早々に分解するとして、繊維を構成する多糖に結合するのだろうか。

虹に茶色がないことからわかるように、茶色は特定の波長ではない。
カロチノイドが分解されず、その黄色~橙色が残っているところで、
散乱光が吸収されて暗くなり、茶色に見えるのだろうか。

動物と違って、鉄の反映でもなさそうだし。

仮に、完全に分解しきったとすると、炭素、つまり黒色になる。
しかし、自然界では、燃やさない限り、炭素原子にはならない。

僕には、茶色に関する十分な知識がない。
ありふれていても、よくわからない現象はたくさんある。
学説一つ、紹介できなくて申し訳ない。


まつぼっくりがあったとさ 高いお山にあったとさ
ころころころあったとさ お猿が拾って食べたとさ
                作詞 広田 孝夫


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