[決算書の読み方①]簿記・会計知識ゼロから学べる!決算書超入門 section1 「損益計算書」って何?
このnoteでは、「自社の決算書の数字を経営改善のツールとして活用したいけれど、どうも決算書がうまく理解できずに悩んでいる、中小・零細企業の経営者さんや新人銀行マンの方」に向けて、実践的な内容をお届けしていきます。
なお、ここに掲載する内容は、2007年8月に出版しその後絶版となった、日本一わかりやすい!「ザ・決算書ドリル」を著者自身が大幅に加筆修正しリメイクしたものです。
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この記事をお読みの方に、特別なお知らせです。
私が経営者だった頃に、自社で実際に使っていた「3ステップで経常利益の予測ができるExcelシート」(マニュアル付き)をプレゼントします!
現場で“数字の見える化”に役立った実践ツールです。よろしければ、下記のnote記事からダウンロードしてお使いください。
決算が終わってから“振り返る”のか。
それとも、決算に向かって“結果をつくる”のか。この違いが、経営の明暗を分けます。
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※section1の概要だけ知りたい、という方にはAIによる音声解説をご用意しています。
それではここから、「損益計算書」を学んでいきましょう!
まずは、自社の「過去3~5期分の決算書」をご用意ください。
なお、section1で使用する演習問題(①~⑫)は、PDFファイルでダウンロードできます。事前にプリントアウトしてお使いください⇓⇓⇓
・損益計算書とは
損益計算書は、会社が1年間で「どれだけ儲けたか、あるいは損をしたか」を示す決算書です。
1事業年度を通じて、売上から費用をどのように差し引いて利益が生まれたのかを明らかにする「利益の流れ」を表しています。
また、この数値をもとに法人税などの税金を計算する役割も担っています。

①売上原価とは
売上原価とは
売上原価とは、商品や製品を販売するために直接かかった費用のことをいいます。
メーカーの場合は、製品を作るために必要な原材料費や工場で働く従業員の人件費、水道光熱費などが含まれます。
一方、小売業や卸売業では、販売する商品の仕入代金がそのまま売上原価になります。
■売上原価を図にしてみると…
損益計算書の最初に登場するのが「売上高」です。図のように、売上高は、売上原価と売上総利益(粗利益)という2つの箱に分かれます。

つぎに、損益計算書の「①売上原価」の下には、
期首商品棚卸高(期首時点で残っていた在庫)
当期商品仕入高(1年間に仕入れた金額)
期末商品棚卸高(期末に残った在庫)
という3つの項目があります。
この1~3の数字を加減することによって、売上原価が求められます。

■売上原価の算出方法
ここでは、1事業年度を4月1日から翌年3月31日までと仮定して考えてみましょう。
1.期首商品棚卸高:
4月1日時点で、すでに手元に残っていた在庫の金額
2.当期仕入高:
4月1日から翌年3月31日までの間に、新たに仕入れた商品の金額
3.期末商品棚卸高:
3月31日時点で、まだ売れ残っている在庫の金額
この3つの数字をもとに、1年間に実際「売れた分の原価」が求められます。

売上原価の計算方法は…

■売上総利益って何だ?
損益計算書は、次の5つの利益で構成されています。
① 売上総利益(粗利益)
② 営業利益
③ 経常利益
④ 税引前当期純利益
⑤ 当期純利益
このうち、最初に登場するのが売上総利益(粗利益)です。
図で示すとわかるように、売上高から売上原価を差し引いた金額が売上総利益になります。別名「あらりえき(粗利益)」とも呼ばれ、会社の“稼ぐ力”を示す重要な指標です。

売上総利益(粗利益)の計算方法は…
売上総利益(粗利益)=売上高-売上原価
そこで、売上総利益(粗利益)は、なぜ…非常に重要な利益になるのでしょう。みなさんはご存じですか?

損益計算書は、売上高から順に費用を差し引きながら、最終的な「当期純利益」を求めていく仕組みになっています。
つまり、最初に登場する利益である売上総利益(粗利益)が小さいと、その後の利益もすべて圧迫されてしまう可能性があるからです。
だからこそ、売上総利益は「利益づくりの出発点」として、非常に重要な意味を持っています。
■ズバリ!「粗利がいい商売」とは?
結論から言うと、粗利がいい商売とは「原価があまりかからず、売上を上げるための元手が少ない商売」のことです。
たとえば、
サプリメントやコスメなどの販売業
弁護士・税理士・司法書士といった士業
整体院・接骨院・カイロプラクティックなどの施術業
といった業種がその代表です。
また、独自性や付加価値の高い商品・サービスを提供している事業も、同じく「粗利の良いビジネス」といえます。


さて、ここで覚えておきたいのが、売上総利益率(粗利益率)という指標です。
これは、売上高に対してどれだけの売上総利益(粗利益)が得られたかを示す割合のことです。
つまり、商品やサービスを販売したときに、どのくらい効率よく利益を生み出せたかを表すものです。
▶それでは、演習①自社の損益計算書から5年間の売上総利益率(粗利益率)をチェックしてみましょう。


自社の推移をみてどうでしたか?
この数値が安定して推移している、あるいは少しずつ上向いてきているようであれば、経営状況は良い方向に進んでいるといえます。
なお、売上総利益率は業種により異なるため、詳しくは、日本政策金融公庫・小企業の経営指標調査のデータを参照してください。
※Web 検索キーワード
⇒ 日本政策金融公庫 小企業の経営指標調査
※利用の手引き「参考2 経営指標掲載ページの見方」をご一読ください。
※日本政策金融公庫の調査期間は2022年~2023年度で、コロナ禍を含むデータになっています。
・売上総利益率(粗利益率)が下降傾向の場合は…

売上総利益を改善する2つの方向
売上総利益(粗利益)を増やすためには、大きく分けて「売上を上げる」か、「売上原価を下げる」かの2つの方法があります。
▶ 売上を上げるための主な対策
商品・サービスの単価を上げる
販売数を増やす
主力商品・サービスに特化する
商品の価値やサービス品質を高める
▶ 売上原価を下げるための主な対策
商品・サービスの原価を見直す
仕入れや製造コストを抑える工夫をする
利益率の低い商品を整理する
■売上と粗利の客観的な関係とは
自社の売上総利益率(粗利益率)の推移を確認したら、次に考えるべきは、今後の見通しを立て、早急に対策が必要かどうかを見極めることです。
つまり、「現状に時間的な余裕があるのか、ないのか」、この点を客観的に把握することが経営判断の出発点になります。

自社の状況を客観的に見るには、次の図を参考にしてください。
縦軸:売上高
横軸:売上総利益率(粗利益率)
この図では、時間的余裕の度合いを×・△・〇・◎の4段階で示しています。
まずは、演習①の計算結果をもとに、自社がどの位置にあるかを確認してみましょう。

ただし、売上総利益率(粗利益率)が下がっていても、売上高が急激に増えている場合は、総体の売上総利益額(粗利益額)が増え、結果として時間的な余裕が生まれることもあります。
そのため、この表はあくまでも一応の目安として捉えておいてください。
■期首の在庫より期末の在庫が増えると利益が出る?
このタイトルを見て、「うーん、どうしてそうなるの?」と思われた方も多いかもしれません。
それでは、この疑問を解消するために、かんたんな例を使って実際に計算してみましょう。
売上原価の計算方法は…
売上原価=(1.期首商品棚卸高+2.当期商品仕入高)-3.期末商品棚卸高
売上総利益(粗利益)の計算方法は…
売上総利益(粗利益)=売上高-売上原価


この例からもわかるように、期末商品棚卸高(在庫)が期首より多くなると、売上総利益(粗利益)は増加します。
つまり、
期末在庫が増える ⇒ 売上原価が減る
売上原価が減る ⇒ 売上総利益(粗利益)が増える
という流れになります。
ただし、ここで重要な注意点があります。
在庫が増えることで一時的に利益は増えて見えますが、もしその在庫が半年〜1年も倉庫に眠ったままになると、
現金の流出(資金繰りの悪化)
商品価値の低下(陳腐化・劣化)
保管スペースやコストの増大
といった財務面でのリスクが高まります。利益が増えたように見えても、実際の経営体力は弱っている可能性があります。
■在庫をチェックする!
「在庫をより短い期間で現金化できる会社は、資本効率に優れている」と、よくそう言われます。
実際、財務的に安定している会社ほど在庫管理がしっかりしています。
つまり、
在庫を売上代金としてどれだけ早く回収できているか
不良在庫や価値の下がった在庫をどれだけ減らせているか
この2点が、経営の安定を左右する重要なポイントになります。
そして、在庫の管理は売掛金の回収と同じように「キャッシュフロー(お金の流れ)」に直結します。
どんなに利益が出ていても、在庫や売掛金が増えすぎれば、お金が足りなくなる(資金繰りが苦しくなる)という事態にもなりかねません。

⇒ 在庫と売掛金に注意!
■棚卸資産(在庫)回転日数を計算する
商品(在庫=棚卸資産)の状況を客観的に把握できるものとして棚卸資産回転率=在庫回転率という指標があります。

上の計算式で棚卸資産回転率を求めると、「20回」や「30回」といった数値が出てきます。
ただ、「○回」と言われてもピンとこない方も多いと思います。
そこで、365日(1年)を回転率で割ることで、たとえば「18日」「12日」といったように、在庫が何日で売れているかを日数に換算できます。
この数値を「棚卸資産回転日数」と呼び、日数が短いほど「在庫してから販売までの期間が短く、効率よく売れている」ことを意味します。
そして、この日数を毎年1日でも2日でも短縮できると、収益力やキャッシュフロー(お金の流れ)にも良い影響を与えることができます。
▶それでは、演習②③自社の損益計算書と貸借対照表から棚卸資産回転日数をチェックしてみましょう。※商品=棚卸資産
※商品=棚卸資産とは…
商品又は製品
⇒ 販売を目的として仕入れた商品、または製造した製品が在庫として残っているもの
半製品
⇒ 製造が終わり販売できる状態で保管されているもの
仕掛品(しかかりひん)
⇒ 製造途中のもので未完成の製品のもの
主要原材料
⇒ 製品を製造するために仕入れた材料のこと
補助原材料
⇒ 製品を製造するために補助的に使うもの
消耗品で貯蔵中のもの
⇒ 事務用品や梱包材料、販売促進用の印刷物など未使用の消耗品のこと



※棚卸資産(商品)については、Section3「流動資産」のところでも解説しています。あわせてご参照ください!
■変動費って何?固定費って何?
前述のように、売上高は「売上原価」と「売上総利益(粗利益)」という2つの箱に分かれます。
そして次のステップでは、この2つの箱がさらに「変動費」「固定費」「利益」という3つの箱へと変化していきます。

はじめに、「変動費」とは、売上や生産量の変化に比例して発生する費用のことです。
売上が上がれば増え、下がれば減る性質を持ち、代表的なものに「売上原価(仕入原価)」があります。
つぎに、「固定費」とは、売上の有無にかかわらず一定して発生する費用を指します。
たとえば、「販売費及び一般管理費(人件費・家賃・光熱費など)」がその代表例です。
このように、費用を「固定費」と「変動費」に分けることを「費用分解」といいます。
ただし、実際に分けてみると、どちらの性格も併せ持つ費用も少なくありません。※(例)水道光熱費の基本料金部分は固定費、従量部分は変動費にあたります。

変動費 ⇒ 売上原価(仕入原価)
つまり、費用を「固定費」と「変動費」にスパッと分けることはできません。
そのため、固定費=販売費及び一般管理費、変動費=売上原価(仕入原価)とおぼえておくとよいでしょう。
※販売費及び一般管理費のなかの外注費、荷造運賃などで、売上高や生産量の変化に比例し発生するものは変動費として捉えてください。

(参照)製造業の「固定費」の主要項目…
※Web 検索キーワード
⇒ 製造業のコスト削減は「固定費カット」
②販売費及び一般管理費

・販売費及び一般管理費とは…
商品やサービスを販売するために掛かる費用が「販売費」、会社を維持していくために掛かる費用が「一般管理費」です。
この2つを合わせて、「販売費及び一般管理費」といいます。

ために掛かる費用
一般管理費 ⇒ 会社を維持
管理していくための費用
つまり、「販売費及び一般管理費」とは、会社の日々の営業活動を成り立たせるために必要となる費用のことをいいます。
そこで、この中でも最低限理解しておきたいのが、「人件費」「租税公課」「減価償却費」「引当金」の4つです。
それぞれの意味を順に見ていきましょう。

■ダントツに突出している人件費!
図の中央にある変動費を「売上原価(仕入原価)」、固定費を「販売費及び一般管理費」として、売上高の箱を整理すると、次のようになります。
販売費および一般管理費の中で、最も大きな割合を占めるのが人件費です。

人件費といえば、みなさんも「ああ、そういえば…」と、思い当たることがあるのではないでしょうか。

社員さん:「社長!人員が1名足りないので増員お願いしますー!」
社長の頭の中:「おいおい待てよ、今の状態で増員できるのかな…?」
こういうシチュエーション、けっこうありますよね。…そして、とても悩む場面でもあります。
そこで、現状で1名増員できるかどうかを判断する材料が必要になります。
たとえば、社員1人を雇用するのに年間400万円の費用がかかるとすると、現状の売上総利益を確保するためには、新たに年間400万円を賄う売上高が必要になります。
それでは、具体的に計算してみましょう。
(例)この会社の売上高総利益率(粗利益率)を25%と仮定すると…

新たに必要となる売上高は…
売上総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100
上記の計算式を変形させます。
売上高=売上総利益÷売上総利益率(%)×100
400万円(費用)÷25%(売上総利益率)×100=1,600万円
つまり、年間400万円の売上総利益を生むためには、年間1,600万円、月々133万円以上の売上高が必要ということになります。
このように、大きなウエイトを占める人件費については、慎重に判断する必要があります。
■人件費の目安
人件費の目安として「労働分配率」という指標があります。
労働分配率の定義は、企業が生み出した付加価値額のうち、どれくらいの比率が労働者に分配されているかを示す指標です。
これを図解すると、次のようになります。

つまり、労働分配率とは、「売上総利益(粗利益)に対して、人件費がどれくらいの割合を占めているか」を示す指標です。
人件費が売上総利益に占める割合が大きくなるほど、経営を圧迫する要因となります。
▶それでは、演習④自社の損益計算書から5年間の労働分配率をチェックしてみましょう。


労働分配率のデータは、経済産業省の「企業活動基本調査」で公表されています。※関連資料 2023年経済産業省企業活動基本調査(2022年度実績)調査結果の概要(概況)(PDF形式:323KB)

「経済産業省から公表されている主な業種の労働分配率」は、あくまでも平均値として算出されたものです。
つまり、この数値でなければならないというわけではありません。
また、会社の規模や業種、業態によっても数値は大きく異なります。
参考として、株式会社TKCが公表している「TKC経営指標(BAST)要約版・速報(206業種12分析項目)」のデータも参考にしてください。
※Web 検索キーワード
⇒ TKC経営指標(BAST) 要約版・速報
なお、労働分配率は計算式からもわかるとおり、売上総利益(粗利益)が上がると分配率は下がります。
社員さんに適正な報酬を支払うためにも、「売上総利益(粗利益)を上げていく」ことが重要なポイントです。
労働分配率(%) = 人件費総額 ÷ 売上総利益 × 100
また、労働分配率を考えるうえで、「報酬の意味」をどう捉えるかは欠かせません。そんな視点を与えてくれるnoteを、一つご紹介します。
報酬は“役割と責任”への対価である――。
■租税公課とは
租税公課とは、経費として掛かる税金のことをいいます。
代表的なものとして、「印紙税」「固定資産税」「自動車税」「登録免許税」「不動産取得税」「都市計画税」が該当します。

また、損益計算書の「当期純利益」の上には、法人税・住民税及び事業税といった税金があります。これらは、利益に課せられる税金です。

■減価償却って何だろう?
これから解説する減価償却は、理解するまで多少時間が掛かるかもしれませんが、とても重要な内容ですので、時間をかけてじっくり学んでみてください。

それでは、損益計算書の「販売費及び一般管理費」をもう一度確認してみましょう。
人件費、旅費交通費、交際費、広告宣伝費など、たくさんの科目が並んでいます。
これらの科目のほとんどは、発生した事業年度に発生した金額を費用として計上できますが、「固定資産」は例外で、購入した事業年度に購入金額(全額)を費用として計上できないという決まりになっています。
たとえば、150万円のトラック(固定資産)を購入したとします。
通常であれば、150万円全額を「販売費及び一般管理費」として費用計上したいところですが…
固定資産の場合は「減価償却」という制度があり、購入費全額を一度に費用として計上することはできません。

計上することができない
■固定資産とは
固定資産とは、1年以上にわたって所有したり使用されるものを指します。
大きく分けると、「有形固定資産(形のあるもの)」と「無形固定資産(形のないもの)」の2つに分類されます。

■減価償却の対象となるもの
たとえば、有形固定資産に該当する車や建物は、年数の経過とともに古くなり、購入時よりも価値が減少します。
このように、「形があり価値が減少するもの」が減価償却の対象となります。
具体的には、「土地を除く購入金額が10万円以上で、何年にもわたって使い続けるもの」が固定資産とみなされます。
土地は固定資産の中でも価値が減少するとは限らないため、減価償却の対象にはならない決まりです。

⇒ 10万円以上の固定資産(土地を除く)
なお、無形固定資産には、減価償却資産と非減価償却資産(価値が下がらない資産)があります。
借地権や電話加入権などは、非減価償却資産に該当します。
一方、無形固定資産の中で減価償却の対象となるものには、特許権、ソフトウェア、商標権、実用新案権などがあります。

※非減価償却資産とは…
時の経過とともに価値の減少がないという理由で、減価償却の対象とならない固定資産
■減価償却の計算方法は?
税法により、固定資産の種類ごとに「法定耐用年数」が定められています。法定耐用年数とは、対象となる資産の価値がゼロになるまでの期間を指します。
たとえば、車両の場合は次の通りです。
普通車:6年
軽自動車:4年
トラック:種別により3年~5年
耐用年数は構造や用途によって決まることに注意してください。

減価償却の計算には「定額法」と「定率法」があり、それぞれ償却方法に決まりがあります。
・定額法:毎年一定額の減価償却費を計上
・定率法:毎年一定割合ずつの減価償却費を計上
なお、構造・用途別に減価償却方法は以下のように定められています。
法人の場合
・定額法:建物、建物付属設備、構築物、ソフトウェア
・定率法:原則として、建物・建物付属設備・構築物・ソフトウェア以外のすべて
※機械設備、車両運搬具、工具器具備品は、税務署に届け出れば定額法で計算可能
■減価償却の仕組みを考えてみましょう!
以下の条件をもとに、減価償却の仕組みを考えてみましょう。

※減価償却の詳しい計算方法は、実務で日常的に使うことはほとんどないため、特に覚える必要はありません。
はじめに、毎年計上する定額法の減価償却費を求めます。
毎年の減価償却費=取得価額(購入価格)×定額法の償却率 (※償却率は省令で定められている↓)

上の償却率表より、耐用年数5年の定額法償却率は0.200です。
毎年の減価償却費の計算
取得価額(購入価格) 200万円 × 償却率 0.200 = 40万円
この例を図解するとつぎのようになります。

いかがでしょうか?これで減価償却の仕組みがイメージできてくると思います。
さて、少し細かい点ですが、平成19年4月の税制改正により、平成19年3月31日以前に購入された固定資産と平成19年4月1日以降に購入された固定資産では、減価償却方法が異なります。
現在は、残存価額が「備忘価格」の1円まで減価償却していくことになっているため、上記の例の場合、最終5年目の減価償却費は 400,000円-1円=399,999円となります。
※備忘価額とは…
実際には価値がなくなってしまった資産に、税務上や会計上では資産があることを示すために付ける金額
※詳しくは国税庁のホームページを参照ください。
■減価償却費は現金の支出がない費用
「減価償却って何だろう?」の項でも少し触れましたが、販売費及び一般管理費のほとんどの科目は、発生した事業年度に現金支出があり、全額費用として計上されます。
しかし、減価償却費は、「現金の支出がない費用(非現金支出費用)」となります。


2年目以降は現金の支出はないが法定耐用年数にわたり
減価償却費として40万円が計上される
※減価償却関連のサイトです…
YouTube 検索キーワード
⇒ 初心者でも安心!減価償却をわかりやすく解説
■減価償却しないとどうなるの?
法人の減価償却に関しては、「任意償却」という扱いになっています。
つまり、あなたに任せます!ということです。

「ん~?…」と思った方もいらっしゃるでしょう。
「でも…うちの会社は今までちゃんと減価償却してきているよな?」という疑問もわいてきます。
しかし、世の中には減価償却をしていない会社も存在します。
「じゃあ、これってどういうこと?」
それは、結果として利益が出ていないということです。別の言い方をすると、利益を調整するための操作といえます。
「操作」と聞くと何か悪いことのように感じますが、これは税法上合法です。
※任意償却とは…
「0円~償却限度額の間で任意の金額を減価償却費として費用計上できる」という法人だけに認められている制度

⇒ 利益が出ていない
さて、ここでおさらいです。
減価償却費は、法定耐用年数の期間にわたり、毎期の価値の減少分を「販売費及び一般管理費」の減価償却費として計上することになっています。
毎期の減価償却費の総額が何百万~何千万円にもなる会社もあります。
もし、この費用を販売費及び一般管理費に計上しなくてもよいとしたら、必然的に「販売費及び一般管理費の総額が減り、その分利益が増える」ことになります。
※勘の鋭い方はすぐわかると思いますが、任意償却をすると費用が減り、費用が減ると利益が増えます。
その結果、税金も増える可能性が出てくるため、任意償却は国や地方自治体にとっても問題なしということになります…。

販売費及び一般管理の総額が減る
で…減価償却をしないとどうなるの?
固定資産の価値の減少分を減価償却費として全額処理しなければ、結果的に「価値の減少分が反映されていない固定資産の金額」として計上されることになります。

ここで、もう一度減価償却の定義を確認しましょう。
減価償却費とは、建物、建物付属設備、構築物、機械設備、車両運搬具、工具器具、備品などの有形固定資産の価値の減少分を、法定耐用年数の期間にわたり、各期ごとに販売費及び一般管理費の減価償却費として計上することをいいます。
しかし、任意償却で処理した場合は、「価値の減少分が反映されていない固定資産の金額」として残ります。
つまり、決算書上では「見せかけの固定資産」になっているということです。

⇒ 固定資産の価値の減少がない
また、金融機関の融資審査では、「任意償却を使って利益をコントロールしていないか」という点も詳しくチェックされます。
そのため、任意償却を行うと融資審査に悪影響を及ぼす可能性があることも覚えておきましょう。
なお、任意償却をしても金融機関から指摘されることはほぼありませんが、決算申告書の別表16に「償却不足額」として計上されるため、金融機関にはすぐに気づかれてしまいます。
信用を失わないためにも、任意償却は極力避けるのが安全です。
▶それでは、演習⑤自社の損益計算書から5年間の減価償却費をチェックしてみましょう。
※製造業の減価償却費について
損益計算書と製造原価報告書の減価償却費の合計額が総額となります。
製造原価報告書がない場合は、損益計算書の減価償却費を記入してください。

減価償却の方法や考え方で理解できない箇所がある場合は、必ず税理士さん・会計士さんに相談してください。

※減価償却については、Section3の固定資産・固定負債の項目でも解説していますので、あわせてご参照ください。
■引当金とは
引当金とは、将来予想される損失や費用への備えとして、あらかじめ見積額を準備し計上しておくものです。
代表例としては「貸倒引当金」があります。
たとえば、受取手形や売掛金が回収できなくなる可能性がある場合、その見込金額を貸倒引当金として前もって繰入れ、損失処理をしておきます。

⇒ 将来予想される
損失や費用への備え
その他には、退職給付引当金、賞与引当金、特別修繕引当金などがあります。
これらの引当金も、減価償却費と同様に現金の支出を伴わない費用(非現金支出費用)となります。

■営業利益とは
損益計算書に出てくる利益は、「売上総利益(粗利益)、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益」の全部で5つあります。
決算が終わり損益計算書を確認する際、どうしても当期純利益ばかりに目が行きがちですが、利益が5つに分かれているということは、それぞれに意味があるということです。
その内容を一つ一つ理解することで、損益計算書を俯瞰して見ることができるようになります。
さて、会社で生み出される利益には、本業からの利益と本業以外の利益の2種類があります。
本業からの利益 → 営業利益
本業以外の利益 → 営業外利益や特別利益

⇒ 本業の利益+本業以外の利益
本業の利益である「営業利益」とは、今期は本業でいくら儲かったのかを示す、「本業で稼いだ利益」のことをいいます。
例えば、小売業であれば、以下のような費用が掛かります。
売上原価:商品の仕入原価
販売費:広告宣伝費、運送費など、商品を販売するための費用
一般管理費:人件費、交際費、修繕費、賃貸料、光熱費など、会社を維持するための費用
これらの費用を売上高から差し引いたものが営業利益となります。


そこで、営業利益を出すためには、固定費である販売費及び一般管理費よりも、売上総利益(粗利益)の金額が多くなる必要があります。

売上総利益(粗利益) > 販売費及び一般管理費 ⇒ 営業利益が出る
売上総利益(粗利益) < 販売費及び一般管理費 ⇒ 営業利益が出ない
▶それでは、演習⑥自社の損益計算書から、売上総利益と販売費及び一般管理費をチェックし5年間の営業利益の推移をみてみましょう。

・営業利益が下降傾向の場合は…

① 売上総利益(粗利益)を上げる
売上を上げる
商品・サービスの単価を上げる
販売数を増やす
主力商品・サービスに特化する
商品・サービスの価値を上げる
売上原価を下げる
商品・サービスの原価を下げる
主力商品・サービスの原価を見直す
② 販売費及び一般管理費を下げる
各科目を再度チェックし、削減できるコストがないか検討する

■本業で儲ける力の度合い…売上高営業利益率
演習①で、売上高に対する売上総利益(会社の収益力)の割合を示す、売上総利益率(粗利益率)の計算を行いましたが…

つぎに、売上高営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合を示す指標で、本業の営業活動における収益力の度合いを表しています。


▶それでは、演習⑦自社の損益計算書から5年間の売上高営業利益率をチェックしてみましょう。

売上高営業利益率が0%以下は赤字経営であることを示しています。0%~5%が標準値となります。
自社の推移を見て、標準値内にあるか、または上がってきている場合は良好といえます。
なお、売上高営業利益率は業種によって異なるため、詳しくは日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」のデータを参照してください。
※Web 検索キーワード
⇒ 日本政策金融公庫 小企業の経営指標調査
※利用の手引き「参考2 経営指標掲載ページの見方」をご一読ください。
※日本政策金融公庫の調査期間は2022年~2023年度で、コロナ禍を含むデータになっています。
売上高営業利益率が下降傾向の場合は、対策の基本は営業利益の改善時と同じです。

営業利益改善の基本対策
① 売上総利益(粗利益)を上げる
売上を上げる
- 商品・サービスの単価を上げる
- 販売数を増やす
- 主力商品・サービスに特化する
- 商品・サービスの価値を高める売上原価を下げる
- 商品・サービスの原価を下げる
- 主力商品・サービスの原価を見直す
② 販売費及び一般管理費を下げる
各科目を見直し、削減できる費用がないか検討する
※販売費及び一般管理費をチェックする!
会社に備え付けてある総勘定元帳の「販売費及び一般管理費」の経費明細と金額を、一度じっくり確認してみてください。
「なぜこんなに経費が掛かっているのだろう?」
「この業界新聞、ぜんぜん読んでいないのに!」
…といった意外な気づきがあるものです。
ポイント: 大きな数字から順にチェックしていくと効率的です。
③営業外利益とは
会社は本業以外でもさまざまな活動から利益を生み出します。
こうして得られた利益を営業外利益と呼びます。
具体例としては、以下のようなものがあります:
預貯金の受取利息
株式の配当金
買掛金の仕入割引
雑収入

また、本業以外で建物や土地を貸し付けて得られる賃貸料も、営業外利益に含まれます。
では、本業と本業以外は何を基準に区別するのか?
答えはシンプルです。
会社の定款に記載されている事業 → 本業
定款に記載されていない事業 → 本業以外

⇒ 定款に載っている業務
※定款(ていかん)とは…
定款とは、会社を運営するための基本的なルールをまとめた書類で、会社設立時に定款を作成することが会社法で定められています。会社は定款に記載されているルールに従って運営されます。
■本業以外で重要な財務活動とは?
営業外利益とは、会社の財務活動から生じる利益のことです。
本業以外からの資金調達や運用に関わる収益を含み、会社の財テク力を読み取る手がかりにもなります。

⇒ 会社の財テク力を表す
具体的には、雑収入、受取利息、受取配当金、仕入割引、有価証券利息、有価証券売却益、自動販売機の設置料、代理店手数料収入などが営業外利益に該当します。

会社にとっての財テク力は、後に出てくる経常利益に貢献する重要な要因です。
しかし、毎期のように本業よりも副業の利益が多い場合は注意が必要です。なぜなら、本業よりも副業に依存している会社は健全な状態とはいえないからです。
▶それでは、演習⑧自社の損益計算書から5年間の営業利益と営業外利益をチェックしてみましょう。

④営業外費用とは
営業外利益とは、本業以外でさまざまな活動をして得られた利益のことです。
それとは逆に、本業以外の活動で損失を出したり費用が掛かることもあり、その費用のことを営業外費用といいます。
具体的には、支払利息、手形売却損、社債利息、有価証券売却損、売上割引、雑損失などが該当します。
この営業外費用のなかで、特に注目してほしい科目が支払利息です。
支払利息とは、みなさんもご存じのように、金融機関から資金を借入れた時の金利負担のことを指します。

⇒ 支払利息のチェック
■借入金の金利をチェックする!
損益計算書は、利益と費用を売上高から順に加減して計算していきます。
このとき、営業外利益は営業利益にプラスされ、営業外費用は費用としてマイナスされます。

つまり、営業外費用である支払利息の負担額が大きくなると、次に計算される経常利益に直接影響を及ぼすことになります。

⇒ 経常利益を圧迫する
支払利息は毎月の返済額だけでなく、金利動向にも注意が必要。
・特に変動金利で借入れている場合は、金利が上がると自動的に返済額が増える。
・2023年10月、日本銀行の金融政策で長期金利が1%以上になることを容認する方針が示され、今後さらに金利上昇の可能性がある。
・会社経営では、金利情報の収集と金融機関との情報共有が欠かせない。
■支払利息の負担度合い
売上高に対する「支払利息の負担度合い」を測る指標として、売上高対支払利息比率があります。
この指標を使うと、1年間に支払った利息総額が売上高に対してどれくらいの割合になっているのかを把握できます。
比率が高いほど、売上に対する利息負担が大きく、会社経営に圧迫要因となることを示しています。

▶それでは、演習⑨自社の損益計算書から5年間の売上高対支払利息比率をチェックしてみましょう。

自社の推移を見て、この数値はどうでしたか?
売上高対支払利息比率は低ければ低いほど、他人資本への依存度が低く、財務の安定性が高いことを示します。
もし比率が低下傾向にある場合は、財務体質の改善が順調に進んでいると判断できます。
また、自己資本が充実している会社や利益の蓄積が多い会社では、支払利息よりも受取利息や受取配当金の方が多くなることがあります。
その場合、売上高対支払利息比率はマイナスとなります。
※他人資本とは…
金融機関などから借入したお金のことで、株主以外から調達した外部資本

⇒ 借入金が多い
売上高対支払利息比率は、以前より1%を超えると「要警戒ゾーン」といわれています。
自社の推移を見て、1%を超える状況が続いている場合は要注意です。その際は、低利子融資制度の活用や遊休資産の売却など、具体的な対策を検討する必要があります。

売上高対支払利息比率の業種別データは、「金融費用対売上高比率」として公表されています。参考として、日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」で確認することができます。
※Web 検索キーワード
⇒ 日本政策金融公庫 小企業の経営指標調査
※利用の手引き「参考2 経営指標掲載ページの見方」をご一読ください。
※日本政策金融公庫の調査期間は2022年~2023年度で、コロナ禍を含むデータになっています。
■インタレスト・カバレッジ・レシオとは…
支払利息に関連する指標として「インタレスト・カバレッジ・レシオ(Interest Coverage Ratio)」があります。
名称の意味は、インタレスト=利息、カバレッジ=賄う、レシオ=比率・割合です。
この指標は、金融機関が融資の可否を判断する際に用いられる重要な指標となります。

バランスを示す指標
計算式は次の通りです。
インタレスト・カバレッジ・レシオ = (営業利益 + 受取利息 + 配当金) ÷ 支払利息
この指標は、「会社が借入金の利息をどの程度余裕をもって支払えるか」を測るもので、営業利益と支払利息のバランスを把握するための重要な指標です。

▶それでは、演習⑩自社の損益計算書から5年間のインタレスト・カバレッジ・レシオをチェックしてみましょう。
※一過性の経費の確認
計算を行う前に、販売費及び一般管理費の中に、その期だけしか発生しない「一過性の経費」が含まれていないかをチェックしてください。
具体例としては、以下のようなものがあります。
役員退職金、役員賞与、決算賞与
不動産購入時の取得免許税・登録免許税
棚卸資産廃棄損(何年かに一度発生する場合)
社債発行費
これらは、経常利益の下にくる「特別損失」として計上可能です。そうすることで、販売費及び一般管理費の総額が減少し、営業利益が増加します。
計算式で表すと以下の通りです。
売上総利益 − (販売費及び一般管理費 − 一過性の経費) = 営業利益の増加

数値の目安は1.0倍で、理想は2.0倍以上です。1.0倍以下の場合、営業利益だけでは支払利息を賄えていないことになります。
また、販売費及び一般管理費の中に一過性の経費が含まれている場合は、決算前に税理士さんと打ち合わせのうえ、確実に特別損失として計上するようにしてください。

■経常利益とは
経常利益は、本業の利益に本業以外の利益や費用を加減することで求めることができます。


参考書などでは「経営者にとって経常利益は大切」とよく書かれています。
でも、そもそも経常利益の「経常」って何でしょう?
普段あまり使わない言葉なので辞書で調べてみると、「一定して変わらないもの」とあります。
…うーん、これだけではピンときませんよね。
会社に置き換えて考えると、こうなります。
一定して変わらないもの → 一定して変わらない活動 → いつもの活動
つまり、経常利益とは「会社の日常的な経営活動の成果として得られる利益」ということです。
具体的には、預金の利息を受け取る、借入金の利息を支払うといった活動も、営業活動に直接は関係しませんが、会社運営においては日常的に発生するものです。
こうした日常的な活動から生まれる利益や費用も含めたものが、経常利益ということです。

■本業で儲けたの?本業以外で儲けたの?
たとえば、株式投資などで大きな配当金が入る場合があります。
仮に本業の業績が振るわなくても、このような利益が発生すると、その事業年度の経常利益は増えることになります。
こうした状況は頻繁に起こるわけではありませんが、1986年~1990年頃のバブル期には、株や不動産への投資が盛んに行われ、本業以外の利益が増大していた会社も少なくありませんでした。

さて、演習⑦では、本業での儲ける力の度合いを示す「売上高営業利益率」を求めました。
次は、売上高に対して営業外利益や営業外費用を含めた、金融関連項目も考慮した「総合的な収益力」を示す指標、売上高経常利益率の計算をしてみましょう。

▶それでは、演習⑪自社の損益計算書から5年間の売上高経常利益率をチェックしてみましょう。

自社の推移を見て、いかがでしたか?
売上高経常利益率は、高ければ高いほど業績が良好であることを示します。
なお、売上高経常利益率のデータは、経済産業省の「令和5年 中小企業実態基本調査 速報(要旨)」で公表されています。
PDFの15ページに掲載されている「経済産業省が公表している売上高経常利益率」は、全産業の加重平均値ですので、参考程度にご覧ください。

また、売上高経常利益率は業種によって大きく異なるため、自社の業種に応じた比較が重要です。
詳しくは、日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」や、株式会社TKCが公表している「TKC経営指標(BAST) 要約版・速報(206業種12分析項目)」のデータを参照してください。
※Web 検索キーワード
⇒ 日本政策金融公庫 小企業の経営指標調査
⇒ TKC経営指標(BAST) 要約版・速報
※日本政策金融公庫の調査期間は2022年~2023年度で、コロナ禍を含むデータになっています。
※利用の手引き「参考2 経営指標掲載ページの見方」をご一読ください。
▶つづいて、演習⑦で計算した売上高営業利益率と演習⑪で計算した売上高経常利益率を対比させてみましょう。

「売上高営業利益率」と「売上高経常利益率」を比較すると、次のことが読み取れます。
売上高営業利益率 > 売上高経常利益率
営業外損益(営業外利益-営業外費用)がマイナスであることを示しています。主な要因として、借入金に伴う支払利息が多く、本業で得た利益を減らしている可能性が考えられます。
売上高営業利益率 < 売上高経常利益率
営業外損益がプラスであることを示しており、通常はこちらの形が望ましいといえます。
なお、コロナ禍では国や地方自治体からの助成金・補助金により、一時的に営業外利益の雑収入が増え、売上高営業利益率<売上高経常利益率となる会社も多くありました。
⑤特別利益⑥特別損失
前述の経常利益は、日常的な経営活動の成果を示す利益でした。
これに対して、特別利益・特別損失とは、会社にとってめったに起こらない非日常的な経営活動による利益・損失のことをいいます。
たとえば、地価の高騰によって土地の売却益が発生した場合は特別利益となり、逆に不動産の売却で損失が出た場合は特別損失として扱われます。
※売却損とは…
帳簿価格より売却価格が低い場合の損失のこと

⇒ 特別利益・特別損失
また、火災や地震などの突発的な事故によって利益や損失が生じた場合も、特別利益または特別損失として計上されます。

■税引前当期純利益とは
税引前当期純利益とは、文字通り「税金を引く前の利益」を指します。この数字までが、損益計算書における会社の利益状況を示していることになります。
※利益が赤字の場合は「税引前当期純損失」という


そこで、この税引前当期純利益を基に、法人税や住民税などの税金が算出されます。
⑦法人税、住民税及び事業税
販売費及び一般管理費の租税公課でも少し触れましたが、会社が支払う税金にはさまざまな種類があります。
たとえば、印紙税、固定資産税、自動車税などは販売費及び一般管理費の中で費用として計上されます。
一方で、税引前当期純利益に課せられる税金としては、法人税、住民税および事業税があります。


会社が収益活動を行う場合、公共の道路や港湾等を利用する際にさまざまな公共サービスを受けます。そのサービスを受ける上での経費の一部負担金です。

法人住民税は、道府県民税と市町村民税の2種類で構成されています。
道府県民税
法人税割:利益に応じて課せられる税金
均等割:利益に関係なく一律に課せられる税金
市町村民税
法人税割:利益に応じて課せられる税金
均等割:利益に関係なく一律に課せられる税金
※法人税割とは…
法人の所得(法人税額)に応じて負担する税金。赤字の場合はゼロとなる
※均等割とは…
決算が赤字であっても必ず納めなければならない税金。道府県民税は法人の資本金等の額で、市町村民税は資本金等の額と従業員数で支払う税金の額が分けられている
■当期純利益とは
当期純利益とは、税引前当期純利益から法人税・住民税・事業税を差し引いた、会社の手元に残る最終的な利益のことです。
この当期純利益までを算出することが、損益計算書の役割となります。

⇒ 損益計算書の役割
当期純利益の計算方法は…
当期純利益=税引前当期純利益-法人税、住民税及び事業税
年に一度、税理士さんから決算書が渡されると、多くの経営者はまず当期純利益の数字に目がいきます。
「今期も利益が出てよかった!」
「前期より利益が減った…」
「やはり赤字か…」
赤字は避けたいものですが、利益の多さ=良い会社とは限りません。
たとえば、その年度に不動産の売却益や株式投資で一時的に利益が増えることがあります。
つまり、会社として利益がどのように生まれたのかが重要であり、単に数字の大小だけで会社の良し悪しを判断することはできません。
こうした内容を読み取るのが、損益計算書の本当の役割です。
■お金の流れと利益の流れ
「利益とキャッシュはイコールではない!」
これはどの参考書にも必ず書かれているフレーズですが、皆さんは理解できていますか?
要するに、「お金の流れ」と「利益の流れ」は違うということです。
とはいえ、いきなり言われてもピンとこない方も多いはずです。そこで、かんたんな例を使って考えてみましょう。

(例) 街の八百屋さんは農家さんから野菜を仕入れて販売しています。今回は、料理飲食店に以下の野菜を販売したとします。
ニンジン 10本
玉ねぎ 10個
白菜 10個
それでは、まず利益の計算をしてみましょう。
《売上総利益(粗利益)の計算》
売上総利益(粗利益)= 売上高 - 売上原価
売上高
ニンジン10本:850円
玉ねぎ10個:850円
白菜10個:4,000円
合計:5,700円
売上原価
ニンジン:680円
玉ねぎ:640円
白菜:3,180円
合計:4,500円
売上総利益(粗利益)= 5,700円 - 4,500円 = 1,200円(儲け)
《お金の流れと利益の違い》
【パターン1】後払い(売掛)で販売、仕入はすでに支払い済み
売上入金:0円
仕入支払代金:4,500円
お金の差額= 0円 - 4,500円 = ▲4,500円
→ 利益 1,200円 ≠ お金 ▲4,500円
【パターン2】後払い(売掛)で販売、仕入は翌月支払い
売上入金:0円
仕入支払代金:0円
お金の差額= 0円 - 0円 = 0円
→ 利益 1,200円 ≠ お金 0円
【パターン3】現金販売、仕入は翌月支払い
売上入金:5,700円
仕入支払代金:0円
お金の差額= 5,700円 - 0円 = 5,700円
→ 利益 1,200円 ≠ お金 5,700円
【パターン4】現金販売、仕入も当日支払い
売上入金:5,700円
仕入支払代金:4,500円
お金の差額= 5,700円 - 4,500円 = 1,200円
→ 利益 1,200円 = お金 1,200円
この例からわかるように、利益の発生タイミングとお金の流れは必ずしも、致しません。
入出金のタイミングによって、お金の流れと利益の流れには違いが出てきます。

イコールではない!
利益は「発生主義」に基づき、売上や費用が発生した時点で計上されます。しかし、現金の入金や支払いはそのタイミングと必ずしも一致しません。
つまり、利益が出ていても手元のお金が足りない場合や、逆にお金はあるけれど利益はまだ計上されていない場合があるのです。
さらに重要な点として、損益計算書のどの部分にも借入金の元本返済は計上されていません。
支払利息は営業外費用として経費になりますが、元本そのものは経費にはならないのです。
利益とキャッシュはイコールではない、この違いを理解してこそ、数字の本当の意味が見えてきます。
essential point
突然ですが、質問です。
あなたは、自社の直前期の固定費総額や売上総利益率(粗利益率)を、即座に答えることができますか?
実は、この問いに即答できる経営者さんは意外に少ないものです。
私も、決算書を学ぶ前までは同じでした。
例えば、社員さんから「社長、今期は最低どれくらいの売上高が必要ですか?」と聞かれると、
「前期はこの売上で利益が出たから、今期も同じくらいでいいんじゃない…」と答えるのが精いっぱい。
まさにどんぶり勘定の状況でした。
ここで理解してほしいのが、社員さんの質問に答えるためには、まず損益分岐点を把握している必要があるということです。
損益分岐点とは、利益も損失も出ない売上高のこと。
下の図の通り、利益がゼロになる売上高がそれにあたります。

そこで、今期の固定費総額の予測と、演習①で求めた売上総利益率(粗利益率)の2つの数字を使えば、ざっくりと損益分岐点を簡単に求めることができます。
ただし、ひとつ注意点があります。
「変動費って何? 固定費って何?」のところでも触れましたが、費用には固定費と変動費の両方の性格を持つものがあります。
そのため、正確な費用の分解は難しい場合もあります。
ポイントは、大きな金額のものから優先的に見極めることです。例:外注費、荷造運賃、繁忙期のみ雇用するパートさんの人件費
→ 売上高や生産量の変化に比例して発生する場合は変動費として、販売費及び一般管理費(固定費)からマイナスして計算します。
→ 分解に迷った場合は固定費として計算すると安全です。
(参照)製造業の場合の主要固定費項目
※Web検索キーワード:「製造業のコスト削減 固定費カット」
では、実際に損益分岐点を計算してみましょう。
例)今期予測 固定費:80,000,000円
売上総利益率(粗利益率):40%
損益分岐点売上高予測値
固定費総額 ÷ 売上総利益率(粗利益率) 80,000,000 ÷ 0.4 = 200,000,000円
つまり、この会社では最低2億円以上の売上高がないと利益が出ないことがわかります。
さらに、計算式の分子に目標利益をプラスすることで、目標利益に到達するための売上高を求めることもできます。
また、支払利息を固定費に加えると、より現実的な数字になります。ぜひ何度もシミュレーションしてみてください。
ここまでで、会社を継続させるためには利益が必要だということが理解できたと思います。
では、なぜ利益が必要なのでしょうか?
その答えは、損益計算書で出された最終利益の行き先である貸借対照表の仕組みを学ぶと、クッキリ、スッキリ、ハッキリと見えてきます。
section2 「貸借対照表」って何?基礎編
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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。記事を読んでくださること自体が、何よりの励みです。これからも、中小企業の現場に寄り添う物語を届けていきます。