全員同額の昇給・賞与 【VCマネーなし、評価制度なし、採用目標なしのスタートアップ。それでも成長し続けるワケ 】|梅木×畠中 第4回(全5回)
KAENの事業やカルチャーについて、KAENで働くメンバーの対談でお届けする『KAEN.fm』。今回は、株式会社KAEN 副社長の梅木とTAAAN事業部 責任者 畠中が、昨年梅木が書いたnote『VCマネーなし、評価制度なし、採用目標なしのスタートアップ。それでも成長し続けるワケ』について深堀りする全5回のシリーズをお届けします。
スタートアップの“常識”に逆行するような選択をしながらも、なぜKAENは成長を続けられるのか?一見“非合理”に見える選択の裏に隠された、KAEN独自の経営哲学と、社員一人ひとりが「自分ごと」として会社を創り上げる「全員経営」のリアルを、同級生コンビが赤裸々に語ります。

本noteではPodcastの内容を読みやすく編集してお届けしています。
(読了目安:5分)
▼前回までのお話はこちら
第1回:非合理かもしれない選択の裏側
第2回:エクイティ調達を先延ばしにするワケ
第3回:全員経営の真髄
畠中:みなさんこんにちは!KAEN.fmスタートします!
KAEN.fmは、株式会社KAENのメンバーが、KAENの事業やカルチャーについて話すポッドキャスト番組です。本日は前回に引き続き、取締役の梅木さんに来ていただいています。よろしくお願いします!
梅木:よろしくお願いします!
畠中:本日もですね、引き続きKAENのユニークさについて語ろうというテーマでやっていければと思うんですけども、梅木さん、だいぶ慣れてきましたか?
梅木:そうですね。もうバッチリです。
畠中:よかったです!
梅木:潤さんの素敵なMCのおかげでリラックスしながら。
畠中:いやいや(笑)MCもちょっとずつレベルアップしていきたいなと思います。では本日は、前回からの続きで全員経営というテーマでお話をさせてもらえればと思ってまして。前回、視野・視座を合わせるという話、情報の共有の話と、あとは独立採算制の話ですかね。その辺りをお話できたかなと思っています。今回は全員経営というテーマの中で、「昇給・賞与制度」について話していきたいと思っています。
KAENの昇給・賞与制度とは
畠中:まずですね、noteにもあったんですけど、KAENの昇給・賞与はどういう仕組みになっているんですか?
梅木:そうですね。ずっと前からではないんですけど、一定のメンバーの人数になったタイミングで、全員同額で昇給し、賞与も同額で分配されるという制度を作りました。
畠中:いやこれはかなり面白いですよね。あんまり聞かないです。
梅木:最初どうでしたか?社内全体にこれが伝わって、これからこうやっていきますという。
畠中:全社向けの共有会があったと思うんですけど、みんな驚きつつも、結構ポジティブな受け止め方が多かったんじゃないかなというのは、その場の印象としてありましたね。
梅木:ポジティブに受け取ってもらえたんですね。よかった…!
畠中:評価・等級制度で、そもそもこういった仕組み自体を作ろうかどうかみたいな話は、「やはり人が増えてきたから作らないとな」というのがきっかけですか?
梅木:元々の経緯でいうと、そろそろ何かをしなきゃいけないっていうタイミングでした。(考え始めたのが)たしか5期とか。今7期の最中ですけど、元々は何もなかったんですよね。(従業員のメンバーは)給与の決まり方もよく分からないけどなんとなく評価されているんだろう、されていないんだろうなとか。等級もなければ評価もなければ、ほぼフラットみたいな組織。1on1も、代表の川田さんと僕とそれぞれのメンバーの1on2が月1回あるぐらいで。チーム内でマネジメントラインもなければ、育成もなければ、平均年齢35歳ぐらいだしみたいな。そんな感じで、逆にこういう事とは向き合わずにやってこれた時代があったからこその、こういう転換って感じですね。
畠中:前提として、入社時の年収というのはそれぞれ違うという話と、基本的には市場評価とか、あとは現年収をリスペクトしたような形で入ってきているメンバーが多かったんですよね。
梅木:そうですね。基本的には入社時にそれぞれの年収はリスペクトした上です。そもそも僕たちがしっかりした評価基準を持っているわけではないから、ある意味前職の会社にそこの見極めをお願いしているみたいな感じで、前職の給与をリスペクトして一旦入ってもらう。スライドかアップかで入ってもらって、そこから全員同額の昇給・賞与です。
ただ、例えばものすごく活躍していて、このままだと今の年収と比べて、中途採用として他社から声がかかった時にこれぐらいはもらえそうだな、というのは考えています。明確な調査機関を使っているわけではないですが、これぐらい市場評価がありそうだなと思った時には是正する事も、評価としてはやっています。
畠中:そういう前提があった上で、全員同額の昇給・賞与があるというのが今の現状の制度って感じですね。
梅木:そうですね。昇給と賞与の話をしていますけど、昇給額をあまり上げずに、賞与を大きく上げた方が、その後コントロールしやすいからっというのがあるように聞こえるかもしれないんですが。最近の昇給・賞与で言うと、ベースアップの方が大きくなっています。
畠中:そうですよね。めちゃくちゃインセンティブ操作が大きいみたいな感じではないですよね。
梅木:どちらかというと利益の出る事業を作り、期初に立てた各事業の事業計画を全社で合わせて、それに全員でコミットする。それをどれくらい超えたかで給与原資が出来上がっていって、昇給・賞与の原資それぞれ作っていくみたいな感じです。
この制度ができた背景と想い
畠中:なるほど。これかなりKAENらしさを体現している一つの制度だなと思っています。一般的にはグレード制度みたいなものがあって、こういうことができていればこのグレードになり、このグレードの人たちはだいたいこういう基本給があるとか、一般的にはそういった制度が多いと思うんですけど、あえて全員同額昇給に最終的に着地したのには、どんな思考プロセスがあったんですか?
梅木:そうですね。例えば、もちろんディスクレーマーみたいな感じで、評価をされるべきだと思っている人は世の中にちゃんと一定いると思っていて。僕もそうですし潤さんもそうだと思うんです。資本主義の中で他者比較でどうかというのはもちろん大事だと思うというのは重々承知の前提で。その中で、例えば外資系のノリとうちを比べた時に、この考え方でフィットするのか…みたいな話もあるじゃないですか。なので、そこは一旦置いといて、うちの会社にとって理想は何かを考え始めていたんです。例えば新規事業があって、他には既存事業の中で安定している事業があった時に、新規事業がうまくいきました、既存事業はここまででした、という期末の結果が出たときに、結構評価が難しくないですか。
畠中:難しいですよね。
梅木:その新規事業で飛び抜けた何かを達成したとしても、既存事業の足元に及ばないみたいな状況の中で、「この人たちはこういう評価である」ってなかなか言いづらいところがあり。今の20人くらいのフェーズでそこを厳密に見極めてやるというのは難しいし、そもそも完全に公平公正な制度というのは存在しないと思っているので、これがまず考え方の根本のところです。
それに加えて、難しい事業には逆の面もあると思うんですよね。既存事業ってやっぱり基盤があるから伸びやすいけど、新規事業って馬力が要るじゃないですか。じゃあ新規事業をやりたくなくなっちゃうよね皆みたいな、もしそれ(事業単体)で評価されたら。
畠中:会社にとってはその新規事業を立ち上げていくということの重要度って、既存事業が伸びるのと同じぐらい、場合によっては新規事業の方が大事だみたいな話とかも中にはありますが、そういう(事業単体での)評価制度にしてしまうと、力学的に難しくなっちゃうんですね。
梅木:事業間・個人間みたいな区別をする話じゃなくて、KAENという一個の会社にどう貢献するかという観点でみんなで考えたいなと。かつ、それがみんなハイパフォーマンスで毎日やっている前提でやるというのが、この全員同額昇給の前提になっていて。そもそも誰かがサボるとか、フリーライドみたいな話になるとこれはもう成立しないと思っています。
畠中:確かにそうですよね。
梅木:だからこれが100人とかになっても続けられる制度かとは思っていないんですよね。だけど今このフェーズで、前回のポッドキャストの話で全員経営を体現しようとして入っているメンバーがいるからやっているという。あとは例えば部長とかと等級とかで分けた時に、じゃあ部長って何に責任を負っているのか?一番事業を成長させる時にこの人が偉いのか、じゃあうまくいかない時にこの人は何の責任を取ってくれるのか?という話があるじゃないですか。役員だったら役員報酬の減額とかになると思うんですけど、(従業員で)それってあんまりないじゃないですか。となると、やっぱり全員でイコールに責任を負う。もちろんちょっと限界はあるんですけど、そういう意識でやるというのを制度に反映したかったんです。
畠中:確かに、その部長みたいなものの役割として、ある種本当に役割だから、キャプテンマークをつけているようなもんだよねみたいな。
梅木:そこに加えて、そもそもパフォーマンスの工程みたいなので評価をつけるなら、だったらエントリーマネジメントを本当に頑張ってもいいんじゃないか、採用時点でそれは決まっているんじゃないかというのに立ち返ったみたいなところがあるんですよね。
畠中:いや面白いですね。だから今このタイミングとかこういう規模だからこそ、この制度が今の最適解なんじゃないかというのは本当に前提にあるという感じですね。
梅木:どこでもできる話だとは思っていないですね。僕もいろんな人事の方々にインタビューさせてもらって、似たような制度をやって辞めた会社も知っているし、そういうのも含めて、でもKAENならやれると思ってちょっとやってみてみたと。超軽量じゃないですか、この制度って。
畠中:そうですよね。
梅木:だから一旦ガチガチの制度を作る前は、評価制度は陳腐化していくものだとしたら、軽くしておくというのも合理的で、そこに時間をかけるよりいいと思って。この制度ができる前はどうやってこれに対処したかというと、制度が無い中で期末とかにみんなと1時間くらいちゃんと対話するという事で解決していました。それすら一旦やめて、この制度でみんな同じという風に振り切っていく。
畠中:いやー面白いですよねこれも。前回の話で、独立採算制とか情報を共有させて、全員でできる限り視野・視座を合わせて、ちゃんと事業ごとに数字まで見ていきながら、最終的にはみんなで果実を分け合うという。本当に自分のパフォーマンスが会社経営とすごく連動しているような、疑似経営体験みたいなものを全員ができるぐらいの制度に今はなっているんじゃないかなというのは、捉え方次第ですが感じますね。
梅木:実際に潤さんはその制度の中にあって、どう感じてます?
畠中:この制度があるからだけではないんですけど、前提として。なんですけど、やっぱりKAENの成功が自分の成功と連動するよねという肌感覚があります。よく全体最適とかコトに向かう話とかってよくあると思うんですけど、スタートアップとかベンチャーとかで、実態のところってどうなっているかって、結構グラデーションがあると思うんですよね。なんですけど、KAENが今までちゃんとこういう仕組み・制度も含めて、情報共有も含めてやってきているからこそ、本当の意味で自分ごと化できるというか、会社になっているような。となったら別に自分の事業だけが伸びればいいという話でもなくなると思っているよね。だから新規事業が今どうなっていて、自分がどう関われるのかとか、どうコラボできるのかとか。じゃあ採用活動一つとったとしても、自分の事業部の採用だけやっていればいいかと言ったらそうじゃないし、管理部の採用、エンジニア・開発とか事業含めて、全体でKAENにとって何がプラスになるのかということを常にいろんな局面で思考しながら行動しているのを、意識しなくてもできるようになっているというか。そういうみんなの動き方ができているのは、メタ的に見ると結構すごいことなんじゃないかなって思うんですね。
梅木:そうですよね。例えば何々事業の何々パートで前向きにやっている、一日そこに向き合っているという人は普通に出てくるじゃないですか。それはどうやったって評価制度は関係なくある。だけどそれは当然としてプラスアルファのところで、例えば具体例で言うと、KAENはTAAANやUNIIINC.を通して営業チャネルをお客さんに売っている。それを自分たちで新規事業をやる場合や、既存事業のTAAANがUNIIINC.を使ったり、UNIIINC.がTAAANを使ったり、そういうのがある。
畠中:めちゃめちゃやっていますね。
梅木:この時に論点があるのが、仮にTAAANがUNIIINC.を通して商談を獲得したとしても、それをそのままUNIIINC.の売上として計上してしまうと会計的に循環売上げになってしまうので、そういった処理は当然できない。会社の中では現金は何も動いていないけど、でも商談獲得時にパートナー企業さんに活躍してもらうことで、支払いは発生しているから一件利益は減ってしまったように見える。そういう構造って、実際にPLだけを追っていくと評価されないじゃないですか。だったらそこには力をかけないってなるのかというと、それって本質的ではないじゃない。結果的に、ある事業が別の事業を支えてうまくいったら全員ハッピーになるという話が本当はできるはず。
本来の会計処理や、本来の評価制度だと、「これは自社の事業か、じゃあCSコストをかけなくていいや」ってなりがち。でもそうじゃない。全社数値で判断するんだから、余裕がある中で全力で他部署をサポートしていって、中長期的に全体に返ってくるといいよねという。そういうのが悩ましかったのも背景にあり、これがもしかしたら答えかもと思ってやってみた。
畠中:場合によっては本当にそこにコストをかけない方がいいんじゃないみたいなのって、普通に行われる話だし、普通にそれも合理的な判断として行われるし、ただKAENではそうじゃないというのがこの制度の一事例ですよね。
梅木:そうですね。
採用への向き合い方への変化
梅木:確かに。でも採用とかも前からしっかり見極めていたと思うんですけど、より見極めが熱くなるというかね。
畠中:そうですよね。だから結局のところ、やっぱりこの制度がある以上、この人と一緒に自分たちの果実を大きくできるかとか、一緒に大きくしていけるかとか、そしてそれを感情的なところも含めて分け合いたいと思えるかとか、そういうのってすごいみんながより本気で採用に取り組む一つのきっかけにもなっているんだなと思いますよね。
梅木:そうですよね。どういう評価をしているのか、前向きに厳しく自分たちの船に乗ってもらって、単純に今の果実を減らしてしまう人なのか、増やしてくれる人なのか、そういうのを多分冷静に見ますよね。
梅木:いやそうですよね。僕ちょっと余談なんですけど、僕が好きな元サッカー日本代表の岡田監督がよく話している話で、ある村で偉い人を迎え入れる、もてなすという機会があった時に、お酒が足りないとなって、村中の家から一杯のお酒を集めて、それでもてなそうみたいな話があったんです。それをみんなでお酒を樽に入れて、最終的に満杯になったんですけど、飲んでみたらほぼ水だったという話があって。これどういうことかというと、みんながちょっとずつ水を入れてお酒を薄めて入れていたという話なんですよね。最終的におもてなしができなかった。
これは本当にKAENの評価制度に通じるところがあると思っていて、やっぱり全員がベストなパフォーマンスを出してKAENの果実を大きくしようという前提がないと、すごく成り立ちにくい。そういう意味でもどういう人と一緒に働くのかというのが結構大事で、だからこそやっぱり仲間選びというところは、よりこだわるようになっていますよね。
まとめと次回予告
梅木:この辺が前回から引き続きの全員経営を、実際に制度に落とし込んだり、独立採算制をやってみたり、あとはみんなで交流を持つ場を作りまくっているとか、その流れの中で、でもやっぱり一番大事なのは人。そもそもの人の取り方、採用、仲間作りみたいなところに帰結するんだろうなと僕は思っているんですけどね。
畠中:そこがもう本当に全てと言っても過言ではないぐらいですね。ありがとうございます。評価制度・昇給賞与制度の話は、ちょっとこの辺にさせてもらって、次回は仲間作り・採用に関して最後お話しできればという感じですかね。
梅木:そうですね。
畠中:では今日はちょっとこの辺でというところで。
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本日はありがとうございました!
梅木:ありがとうございました!
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