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属人化をゼロにしようとする会社ほど、組織が弱くなります

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コンサルの現場で経営者と話していると、よく出てくる相談があります。

「うちは属人化が進みすぎていて、なんとかしたいんです」
「あの人が抜けたら、業務が回らなくなるのが怖いんです」

確かに、属人化を放置するのは危険です。
ただ、ここで気をつけたいことがあります。
属人化を完全になくそうとすると、組織は逆に弱くなります。

属人化には、2種類あります

「属人化」と一言で言われがちですが、中身を見ると2種類あります。

一つは、危険な属人化です。
その人がいないと業務が止まる。
その人にしか分からない情報がある。
その人が休むと、誰もカバーできない。

これは確かに、整理しないとリスクになります。

もう一つは、強みとしての属人化です。
その人だからこそ、お客さまから信頼されている。
その人の判断速度が、組織のスピードを引き上げている。
その人のセンスが、商品の質を担保している。

これは、なくしてはいけないものです。
属人化と聞いた瞬間に「全部なくす」と動くと、こちらまで壊しにいってしまいます。

標準化しすぎると、組織は「並」に揃います

属人化を全部解消しようとする会社で、よく起きる現象があります。
組織全体のパフォーマンスが、平均化してしまうのです。

これは構造的にそうなります。
標準化とは、誰でもできる手順に落とすことです。
誰でもできる手順は、当然ながら、特別優秀な人の動きには合わせられません。
合わせると、難しすぎて他の人が回せなくなるからです。

結果、組織は「誰でもできる仕事の集まり」になります。
動きはそろいます。
ただ、突出した強みがなくなります。

これは、業績の上限を自分で下げているのと同じことです。

やるべきは、属人化の「振り分け」です

ここで大事なのは、属人化を「整理する」か「育てる」かの振り分けです。

私はクライアントにこういう問いを立ててもらっています。

・その人が一週間休んだら、業務は回らなくなるか
・その人の動きを、別の人が同じ品質でやろうとすると、何倍時間がかかるか
・その動きは、教えれば伝わるものか、本人の感覚に強く依存しているか
・その動きは、組織の強みになっているか、それとも単に作業を抱え込んでいるだけか

これに答えていくと、属人化が「整理すべきもの」か「残すべきもの」かが見えてきます。

業務を抱え込んでいるだけの属人化は、整理すべきです。
組織の強みになっている属人化は、伸ばすべきです。
この振り分けが、仕組み化の最初の作業です。

整理する=必ずしもマニュアル化ではありません

ここも誤解されやすい点です。
「属人化を整理する」と聞くと、すぐにマニュアル化を思い浮かべる経営者が多いです。

ただ、全部マニュアルにする必要はありません。
場合によっては、もっと軽い整理で済みます。

たとえば、こういう整理です。

・その人が抜けたとき、誰が代わりに動くかを決めておく
・最低限の連絡先・取引履歴・進行中の案件だけを共有する
・トラブル対応の初動だけ、別の人にも教えておく
・本人がいなくても、決められる範囲を事前に決めておく

ここまでやれば、致命的なリスクはほぼ消えます。
全部マニュアル化しようとして力尽きるより、はるかに現実的です。

強みの属人化は、活かす設計を入れます

逆に、強みになっている属人化は、伸ばす設計を入れます。

その人の動きを、組織として後押しする。
他のスタッフが、その人の判断を尊重して動く構造を作る。
その人の時間を、本当に強みが活きる仕事に集中させる。

これができている会社は、属人化を活かしながら組織として伸びます。
逆に、強みの属人化を「不公平だから」とならして消してしまう会社は、伸び悩みます。

経営者の視点としては、組織を「平らに揃える」のではなく、「凸凹を活かす」ほうが結果が出ます。
凸凹がある組織は、外から見るとアンバランスです。
ただ、その凸凹こそが、競合との差を生みます。

仕組み化のゴールは「誰も困らない」状態です

ここが今日の本題です。
仕組み化のゴールは「誰でもできる」状態ではありません。
「誰が抜けても困らない」状態です。

この2つは、似ているようでまったく違います。

「誰でもできる」を目指すと、組織は平均化します。
「誰が抜けても困らない」を目指すと、組織は強くなります。

後者は、属人化を残しながら、いざというときのバックアップが効く状態です。
普段は強みを活かしてフルスピードで動き、誰かが抜けたときは別の人が最低限カバーする。
これが、属人化と仕組み化のバランスの取れた姿です。

経営者の役割は、振り分けの判断です

仕組み化を進めるとき、経営者がやるべき最大の仕事は、振り分けの判断です。

どこを標準化するか。
どこを属人化のまま伸ばすか。
どこに最低限のバックアップを入れるか。

この振り分けは、現場には判断できません。
全体の戦略・組織の強み・将来の方向性を見ている人にしかできない仕事です。

ここを経営者がやらないと、現場は「とにかく全部マニュアル化」に走ってしまいます。
そして、組織が平らになっていきます。

仕組み化の本質は、すべてを揃えることではなく、揃えるべき場所と尖らせる場所を見極めることです。

まとめ

・属人化には「危険な属人化」と「強みとしての属人化」があります
・全部解消しようとすると、組織のパフォーマンスが平均化します
・標準化は「並のレベルに揃える」作業になりやすい構造があります
・属人化は「整理するか」「育てるか」を振り分けるのが先です
・整理=マニュアル化ではなく、抜けたときの代替設計だけで足りる場合も多いです
・強みの属人化は、活かす設計を入れて伸ばします
・仕組み化のゴールは「誰でもできる」ではなく「誰が抜けても困らない」状態です
・揃える場所と尖らせる場所を見極めるのが、経営者の仕事です

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鍵谷健/ビーレジェンド社長/経営自動化コンサルタント あなたの応援が励みになります!ご購読ありがとうございます。