見出し画像

【終刊】図書新聞へのレクイエム 金持ちメディアと貧乏メディア



貧乏メディアは偏向する


図書新聞が10月1日に、終刊の社告を出した。


来年3月末をもちまして77年の歴史に幕を下ろします。


これはニュースにもなっていたけど、図書新聞は前から「潰れるぅ。潰れるぅ」と言っていて、半年前にも私は「図書新聞の断末魔」という記事を書いている。


長い断末魔だな、と。そして、まだ半年やるんかい、と。


それでも、元出版人としては、感慨がないではない。

書評はありがたいものだったからね。


私が出版界に入った頃、もう40年くらい前だけど、新刊の見本が出たら、必ず20冊くらいは、書評用に発送作業していた。

各新聞、通信社、週刊誌、文芸誌、そして図書新聞と読書人。あと、「ダ・カーポ」とか「ダ・ヴィンチ」とか「本の雑誌」とかの書評雑誌もあった。個人の書評家に送ることもある。

「ご高評をお願いします」なんて短冊を入れてね。


そして、本が発売されたら、しばらくは、そういう新聞、週刊誌、そして図書新聞と読書人に、欠かさず目を通していた。

書評が出ないかなあ、と思って。出たらバンザイ、出なかったらガッカリ。


書評が出たら、すぐ著者に連絡して、共に喜び合い、営業部とも分かち合い、広告に載せたりしてね。

書評が出なかったら、淋しいもので、著者と共に、世の中に拒絶されたような気持ちになった。

そういう時、地味に図書新聞とか読書人とかが拾ってくれて、短くても書評が出たら嬉しかったものです。


でも、少しずつ、書評用に送る見本が減っていった。

本が売れなくなり、予算削減でね。見本の数も減り、発送先も、影響力のないものから削っていった。

文芸誌なんて、誰も読んでないことがわかったから、送らない。

週刊誌の中には、潰れるものが多かった。週刊読売、週刊サンケイ、ダ・カーポ・・週刊朝日が潰れたのは最近だけど。

新聞も、部数が落ちて影響力なくなったから、あまり送らなくなった(老人が新聞を読んでいるから、老人向けの出版物は送るが)。

その分、Amazonなどネットでの告知に力を入れるようになる。


20年くらい前からかな。図書新聞や読書人に、本を送らなくなっていた。

影響力があまりないし、紙面が左傾化して読むに耐えなくなったし(たぶん会社でも、そのあたりで定期購読を打ち切った)。

同感の人は、X上でも多く見かけた。


中の人が分かってないんだなーと思うのは、業界誌なのに変なイデオロギーを表に出してくるから客が離れるという事実。
業界の情報が欲しいから買ってるのに、思想とかいらん。
今の労働組合がソッポむかれてるのと同じ理屈。本業やってくれ、としか思われてない。


図書新聞も、もともと左翼系だとは思ったけど、昔から今のようではなかった記憶がある。

図書新聞が変わったのか、世の中が変わったのか。両方だろうね。


10月1日の終刊を告げるXの投稿でも、「ヘイトに抗して」云々という紙面の文言が見える。

最近、左翼は、自分たちを左翼とは呼ばず、「反ヘイト」「アンチヘイト」とか呼ぶらしい。


窮乏化すると偏向がきつくなる、というのはマスコミでよく見られる現象です。

「ダ・カーポ」なんかも、終わり頃は左傾がひどかった。

今の毎日新聞が典型ですね。売れなくなると、少ないが忠実な左翼の読者に頼るようになる。社民党がラサール石井に頼るように、毎日新聞は松尾貴史の連載に頼っているらしい。見るも哀れだ。


おそらく右翼雑誌でも、同じ現象があるのではないかと思う。

誌面が過激化するのは、経済的な余裕がなくなった時で、それで文化的な香りも消えてしまう。


図書新聞も、もともと左翼な上に、売れなくなってますます左傾、それでますます売れなくなる、という悪循環にハマったのではなかろうか。

いずれにせよ、淋しい話で、お悔やみ申し上げます。


金持ちメディアは偏向するか


売れなくなると偏向する。

それで、思い出したのは、少し前、アメリカの上院議員、バーニー・サンダースが、「メディアが金持ちに独占されている」と非難していたことだ。


今、アメリカのメディアはこんな風になっている。

世界一の金持ち、イーロン・マスクがXを所有している。その次の金持ち、ラリー・エルソンが、CBS含むパラマウントを所有し、TikTokとCNNも手に入れようとしている。ジェフ・べゾスはワシントンポストとトゥイッチを所有する。マーク・ザッカーバーグはFacebookとInstagramの両方を所有する。

事実上、世界のトップ5に入る金持ちたちが、全てメディアの所有者であり経営者だ。

アメリカにおける独占は、収入と資産の格差だけの話ではなくなっている。



バーニー・サンダースの言いたいことはわかる。

金持ちがメディアを独占すると、メディアが偏向してしまう、という懸念だろう。

この場合は、金持ちに都合のいいように偏向する、と。


サンダースは、私が尊敬する左派の政治家だが、これは少し的を外しているのではないかと思った。

でも、よく聞く議論ではある。


日本の新聞社も、テレビ局も、

「外部の金持ちに買収されると言論の独立が守れない」

という論理で、自社の株式を事実上「死守」している。(新聞社は法律により株式を公開していない)


しかし、金持ちに買収されると言論の独立が守れない、という理屈の説得力はあやしい。

現経営者の自己正当化ではなかろうか。


そして、金持ちが触れると劣化する、というのは、それ自体が左翼イデオロギーっぽい。

もちろん、個々の出版社なり企業なりが、貧乏でも自分の主張を貫くからこそ、言論と文化の多様性が生まれる。それは尊重すべきだ。しかしここでいう「メディア」は、より公共性、社会的共有性が強い媒体を言っている。


現に、イーロン・マスクに買収されたことにより、Twitterは過去の左傾から解放されたと実感している人は多いだろう。

日本の新聞やテレビ局は、「外部の金持ち」に買収されないから、いつまでも偏向し放題だ、と思っている人も多いと思う。

新聞は株主の力が弱く、経営者のガバナンスも弱いから、共産党系の新聞労連のいいように偏向していることは、以前書いた。


つまり、上で述べたように、経営が安定しないと、偏向する。その傾向のほうが強いと感じる。

金持ちが、自分のメディアを自分の好き勝手に編集し始めたら、読者や視聴者を失うだけだ。結局、公平で信頼性の高いメディアが生き残る。


だから、上記のサンダースの投稿にも、

「サンダースさん、それは違う」

というコメントが多かったように思う。


かつてのソ連のプラウダとか、人民日報のように、国家がメディアを独占すれば、そりゃ偏向し、編集の独立を失うだろう。

でも、金持ちの「独占」は、それとは意味が違う。金持ちの資金によって経営が安定すれば、市場にさらされ、競争にされされている限りは、むしろメディアの独立と公平、そして質の高さを守るのではないか。


(ただし、メディアがコングロマリット化すると、政治権力との接点が多すぎて、権力の統制を受けやすくなる。言論以外のビジネスのために、言論で妥協せざるを得なくなる。強力なトランプ政権にメディア・コングロマリットが屈服しつつあるのは事実で、サンダースはそのことを言いたいのかもしれない)


イーロン・マスクのWikipedia公平化計画


それで連想するのが、イーロン・マスクが、Wikipediaの改革に乗り出しそうなことだ。

チャーリー・カーク暗殺をきっかけに、左傾メディアへの保守派の批判が盛んになっている。左傾メディアが、保守派への憎悪を煽って、暗殺につながったと見ているからだ。


イーロン・マスクが、Netflixの左翼偏向を非難して「解約」を呼びかけていることは、2日前に書いたとおりだ。(その後、この解約運動は、ますます激しさを増している)


同様に、Wikipediaの偏向にも、いま矛先が向いている。

イーロン・マスクは、以下の「Wikipediaが左傾して、保守への憎悪を煽っている」という趣旨の投稿を、自分のXアカウントで共有していた。


Wikipediaによる保守系メディアへの不正な検閲は今に始まったことではありません。

実際、このサイトは10年以上前から@FDRLSTをブラックリストに掲載しています。これはすべて、私たちがニール・ドグラース・タイソンを捏造家として暴露したからです。

検閲はコラムやウェブページの終わりで終わるものではありません。私が今日@nypostで詳しく述べたように、Wikipedia型の検閲は文明そのものへの脅威です。それは言葉から始まり、彫像や記念碑の破壊へと進み、最終的には実際の人々の殺害に至ります。


そして10月2日、イーロン・マスクは、xAIのGrokを使って、左翼のプロパガンダを排除した「Grokipedia」を作るべきだ、という提案を共有し、「これは文明にとって非常に重要だ」とコメントしている。



私自身は、Wikipediaがそれほど偏向しているとは感じないが、日本語版についても、偏向しているという声があるのは知っている。

世界一、いや史上最高の金持ちのイーロン・マスクが「Grokipedia」を作るなら、歓迎すべきではなかろうか。

その実現は、マスクのNetflix買収よりは早そうである。


<参考>


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集