事業計画の用語 #3: PMF (Product Market Fit)
前回は MVP (Minimum Viable Product) について紹介しました。
今回は、その MVP とも関連する重要な概念の PMF (Product Market Fit) について紹介したいと思います。
プロダクトビジネスにおける最大のリスク (再掲)
※ 前回と同じ内容ですが、重要なポイントなので丸々再掲します。
プロダクトビジネスにおける最大のリスク、それは「作ったものが売れないこと」です。
役務ビジネスの場合、先に需要の存在を確かめてから、役務を供給することができます。
たとえばコンサルティングであれば、クライアントの要望を聞いてから、提案と見積を提示し、成約してからコンサルタントが価格に見合う働きをする、という構図になっています。
プロダクトビジネスの場合は、この順序が逆転します。
まずプロダクトを作ってから、需要があるかどうかを確かめることになります。
たとえばスマホアプリであれば、「こういうアプリには需要があるだろう」という仮説をもとに作ってリリースしてから、初めて実際にダウンロードされるかどうかが確認できます。
半年や1年かけて完璧なアプリを作り上げても、いざリリースしてみたら「誰も使わない」「想定していた課題は実際には存在しなかった」ということが起こり得ます。その時点で投じた時間と資金は、ほぼ回収不可能になってしまいます。
「作ったものが売れない」原因の分解
「作ったものが売れない」のはなぜか?
「売れると思った」から「作った」、
なのに「売れない」。
つまり、どこかに認識の甘さがあるということになります。
作り手はどうしても自分のプロダクトについて楽観的になりがちです。
そこで、想定と現実が乖離していないかを
以下のように段階的に客観的に確認するのが
定石とされています。
Customer-Problem Fit:
想定している顧客が、本当にその課題を持っているかProblem-Solution Fit:
その解決策は、本当にその課題の解決策になっているかProduct-Market Fit:
作ったプロダクトが、本当に市場に受け入れられるか
この中でも最も重要で、かつ見極めるのが困難とされているのが、Product-Market Fit (PMF)です。
PMF (Product Market Fit) とは
PMF (Product Market Fit) とは、プロダクトと市場がフィットしている状態のことです。
この概念は、Andy Rachleff(Benchmark Capital共同創設者)によって提唱され、Marc Andreessenが2007年のブログ記事 "The Only Thing That Matters" で広く普及させました。
具体的には、「市場で顧客から熱狂的に支持されるプロダクトを作れている状態」を指します。
PMFが達成できていると、顧客がプロダクトを積極的に求め、口コミで広がり、解約率も低く、自然と成長していく状態になります。
一方、PMFが達成できていないと、マーケティングにお金をかけても顧客が定着せず、成長が鈍化してしまいます。
スタートアップや新規事業において、PMFの達成は「生死を分ける」最重要のマイルストーンとされています。
多くの失敗事例は、技術的な問題や資金不足ではなく、PMFを達成できなかったことが原因とされています。
MVPとの関係
前回紹介した MVP (Minimum Viable Product) は、この PMF を検証するために作るものです。
典型的な流れは以下のようになります。
プロトタイプを用いた顧客インタビューにより、
Customer-Problem Fit と Problem-Solution Fit を確認MVP (Minimum Viable Product) を作り、
一部の顧客に販売することで、
PMF (Product-Market Fit) を確認PMF が確認できたら本格的に市場に展開
参考情報
Marc Andreessen 『The only thing that matters』 (PMFを広く普及させたブログ記事)
田所雅之『起業の科学』(国内ベストセラーのスタートアップ解説書)
東大IPC『PMF とは?』 (図解付きのウェブ記事)
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