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事業計画の用語 #5: イノベーター、アーリーアダプター、そしてキャズム

今回は、新商品が市場に普及していく過程を説明した有名な理論、「キャズム」について紹介します。


多くの新商品が途中で失速する理由

新しい商品やサービスが、発売当初は市場に熱狂的に受け入れられたのに、すぐに成長が停滞してしまうことがあります。

これは、製品を最初に支持する顧客層と、その後に続く大多数の一般顧客との間に、大きな隔たりがあるために起こる現象です。

例えば「セグウェイ」。
覚えているでしょうか?

2001年に発表された当初、「人類の移動形態を変える革命的な発明だ」と、スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスといった著名な起業家たちから絶賛されました。

しかし、市場全体にはまったく普及しませんでした。
最初に支持した顧客層と、その他の大多数の一般顧客との間には、深い溝があったのです。

キャズム――二つの市場の間にある深い溝

「キャズム」とは、米国のコンサルタントであるジェフリー・ムーアが、1991年に出版した著書『Crossing the Chasm』で提唱したマーケティング理論です。

この理論は、社会学者エベレット・ロジャースによる、社会に新しいアイデアや様式が広まる際の、人間行動の分類を前提にしています。

ロジャースは、新しいものへの反応の早さに応じて、市場を構成する人々を以下の5つのタイプに分類しました。

  1. イノベーター / Innovators (革新者):
    とにかく新しいものが好きな「探求者」

  2. アーリーアダプター / Early Adopters (初期採用者):
    未来への投資としてリスクを取る「先見者」

  3. アーリーマジョリティ / Early Majority (前期追随者):
    実績や安心感を重視する「実用主義者」

  4. レートマジョリティ / Late Majority (後期追随者):
    みんなが使うので仕方なく従う「保守層」

  5. ラガード / Laggards (遅滞者):
    最後まで変化を嫌う「伝統主義者」

ムーアは、この5つの顧客層のうち、と 2 番目のアーリーアダプター3番目のアーリーマジョリティの間に、越えがたい深い溝 (キャズム) が存在すると指摘しました。

この「深い溝」の正体は、顧客の価値基準、つまり「何をもって購入を決断するか」が全く異なることです。

1のイノベーター2のアーリーアダプターは、他人の評価を気にせず、「自分にとって得になるか」を自ら判断しリスクを取ります。

それに対し3のアーリーマジョリティは、「他のマジョリティが使っているか」という実績を重視し、失敗しないことを優先するのです。

この「他のマジョリティが使っているか」というのが厄介で、まさにニワトリとタマゴの関係になってしまい、セグウェイをはじめ、過去の多くの新製品がこのキャズムを突破できずに、この世から姿を消しています。

ムーアの『Crossing the Chasm』が出版されて以降、この「深い溝」を超えることの難しさが広く認知されるようになりました。
今では「イノベーター」「アーリーアダプター」「キャズム」といった用語は、事業計画や投資の議論にも頻繁に登場します。

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